かえつ有明中学校 学校説明会

2. かえつ有明オリジナル教科「サイエンス科」

田中先生:
皆さん、こんにちは。かえつ有明中・高等学校の田中と申します。私からは、本校オリジナル教科の「「サイエンス科」を中心にお話をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

私以外にも今日は、ちょっと雰囲気を知ってもらえたらなと思って、2人の生徒をお呼びしております――ちょっと軽く自己紹介をしてもらおうかな?学年・クラス・一言いただけたらと思います。ではTさんからお願いします。

Tさん:
2年〇組のTです。今日はかえつの良さを知ってもらえるように頑張ります。

田中先生:
ありがとうございます。よろしくお願いします。S君くん、お願いします。

S君:
高校2年〇組のSです。今回はサイエンス科の高校バージョン「プロジェクト科」について説明したいと思います。ぜひ聞いて下さい。

田中先生:
ありがとうございます、ではよろしくお願いします。

サイエンス科とは 

サイエンス科と言われると「理科なのかな?」と思われてしまうことがあるんですけれども、人文科学・社会科学の科学(サイエンス)です。私たちかえつ有明では、すべての教科やすべての学びにおいて共通するスキルであったりとか学び方、マインドがあると考えております。サイエンス科では、それらの学びに共通するようなスキルやマインドのトレーニングをすることに特化した教科ということになっております。なので、担当している教員もさまざまで、私自身は普段は英語を教えているんですけれども、サイエンスも教えているという感じで、色々な教科の先生が担当しているのがサイエンス科です。

かえつ有明と言えば、中学サイエンス、高校プロジェクトの授業が自慢です。アクティブラーニングをこの授業だけでやっているのではなく、この授業が土台・中心となり、学び方のスキルとマインドセットを行い、各教科に広げていっています。

(広報部長・宇野先生のチャットコメントより)

考えるための「方法」と「スキル」を学ぶ 

この、考えるための方法とスキルというのがあるんですけれども、たとえば私の英語の授業だと、英語の授業においてもリサーチをしてもらって、そのリサーチしてもらったものをちょっと分析してもらって、最後、プレゼンテーションをするということがあったりします。同様の取り組みは、社会の授業でも理科の授業でも展開されることがあります。でもこの情報の収集の仕方であったり、たとえばグループでディスカッションしてくださいということであったり、プレゼンテーションをするということであったり、これらのことに特化した授業というのがサイエンスということになります。私たちは授業の中でも子供たちによく「考えて」とか「アイディアを出して」というふうに言ったりするんですけれども、このアイデアの出し方であったりよく考える考え方であったり。そういうことに特化した事業というのが、日本の普通の(教育)プログラム中にはないかなと考えていて、サイエンス科ではそれらを抽出してトレーニングをするということをしております。

方法+スキル+わくわく感で学ぶ

ただトレーニングをするだけだとちょっと退屈になってしまうので、それぞれ、プロジェクトにするようにしています。そのプロジェクトとも毎年毎年新しいものを企画していて、子供たちがワクワクして楽しく取り組めるようにというのを、各学年工夫して展開しております。

今日これからこのあと、Tさんに発表してもらおうかなと思っています。Tさんに発表してもらおうと思っているのは、このスライドの上から4番目の「未来予想図 from 2020」という中学校1年生の終わりに彼女の学年が取り組んでいたものです。具体的に何をするかというと、2020年の10年後=2030年の未来にあることを考えてもらって、授業の中でどんな未来があるかなということをディスカッションをしたりしました。その後、子供たちはフィールドワークに出かけてもらっています。それぞれ考えてもらったテーマをもとに、臨海地区が中心だったんですけども、臨海地区にあるいろいろな場所にそれぞれフィールドワークに出かけました。その後にフィールドワークや、その時に多分インタビューとかもしてもらっているのかなと思うんですけれども、それで得られた情報をもとに、2030年の未来にどんな新しいサービスや商品があるだろう?ということを提案してもらうプロジェクトになります。

ではこれからTさんに発表してもらいたいと思います。皆さん拍手でお迎えください。

サイエンス科で学んだこと~生徒さんの発表「未来のAI.機械

私たちは未来のAI・機械について考えました。
まずお台場にあるTyffoniumに行ってVRを体験しました。

VRを体験して思ったこと:周りがすごく本物みたいで、技術がどれだけ進化しているかを体験することができました。
次に日本科学未来館に行きました。
まず、AIやロボットの歴史について学んで、それを踏まえて、これからどのように発展していくかを考えやすくしました。
そして科学に詳しい科学コミュニケーターの方に、未来の機械がどのように進化しているかという予想を聞きました。
今までのことを踏まえて私たちが予想する未来の商品は、
各家庭に1つ置ける、ドラえもんのような機能が優れたロボットです。
このロボットはドラえもんのように道具は出さないけれども、会話や簡単な診察など人の役に立つことができます。
でもAIは怖いところもあるので注意が必要です。
このように、今ではAIがどんどん進化していっていて、AIにはいっぱいいいところがあるけれど、逆に怖いところや危険なところもあります。私たちが見ていないところで彼らはとてつもない進化を続けているかもしれません。これで終わります。

かえつ有明の生徒は、プレゼンが上手です。保護者や外部の方にプレゼンする機会が多いのですが、教員がびっくりするほど上手です。中1生も年々、自分軸を持っている生徒が増えているような気がしています。これは、アクティブラーニングの学校であること、国際生が4人に1人であること、一人ひとりの個性や思いを尊重しているからだと思っています。

(広報部長・宇野先生のチャットコメントより)

サイエンス科の授業について ~生徒さんへのインタビュー

田中先生:
ありがとうございます(拍手)。
それでは、ついでなので、サイエンスの授業についても聞いてみたいと思います。Tさんはサイエンスの授業で――この「未来予想図」じゃなくてもいいんですけども――1番印象に残っている授業があったら教えていただけますか?

Tさん:
私が一番印象に残っているのは、カップラーメンの授業です。カップラーメンの授業とは、カップラーメンを作っているニュータッチさんという会社の方々から、かえつの1年生(当時)だった私たちに「新しいカップラーメンを作って欲しい」と(依頼され)、今までになかったカップラーメンを提案するという授業でした。まずクラスがグループで分かれて案を出し合って、クラスの中で1つ選んで、それで各クラス=6クラスで出た6個の意見を学年の前で発表し合って、それで、ニュータッチさんが最終的に1個選ぶ、という感じの授業で。すごく楽しくて面白くて印象に残っています。

田中先生:
ありがとうございます。今まさにTさんが説明してくれたとおりなんですけども、実際にカップ麺を作っている会社の方からフィードバックをいただいて、子供たちも、印象というか思い出に残っているというものがあります。ちなみに、このカップめんの授業は「アイディアの出し方」という授業の中で(実施したものです)。アイディアの出し方には、プレスト(ブレーンストーミング)とかマンダラート(マンダラチャート)とかいろいろな手法があるんですけれども、それらを勉強しながらアイディアをたくさん出してもらって、最終的にカップ麺を作ってもらうという感じでした。

今、発表してもらった「未来予想図」のほうは、フィールドワークであったりインタビューの仕方であったり、このインタビューをしてきた子たち――どのグループもインタビューをしてきてくれたんですけれども――その(インタビューの)アポも全部自分たちで取って。Tさん達は当日突撃した感じかな?

Tさん:
はい。

田中先生:
当日突撃インタビューをしたりとか、そういう感じで、子供たちがどんどん自分たちでリサーチをするということができるようにサポートをするという感じです。
ではTさん、もう1つ聞いてもいいですか?今、オンラインで授業が進んでいると思うのですけれども、オンラインでの授業がどんな感じなのかということを共有してもらっていいですか?

Tさん:
授業の方法はzoomの授業とGoogle Classroomとかで出された課題をやる時間、主にこの2つがあって、zoomだったらブレイクアウトルーム――たぶんこのあと使うと思うんですけれども――ブレイクアウトルームという機能があって、それを使って、たとえば歴史だったらなんでこのようになったのかというのをグループで分かれて意見を出し合ったり。それで発表するとか、そういう授業もやっています。

田中先生:
ありがとうございます。ちなみにサイエンス科の授業だとどんなことをオンラインでしまししたか?

Tさん:
schoolTaktというアプリみたいなもので――そのアプリは書き込んだりとか、先生が課題を出して、たとえば謎解きのような脳を使うものとか、あとは(初めの方は)自己紹介カードを作ったりとかしています。

田中先生:
ありがとうございます、そうですね。今は学期の初めなので、それぞれのオンラインのツールの使い方からスタートして、ちょっとゲームをやったり、お互いの自己紹介をやったりということをしている感じですね。ありがとうございます。

プロジェクト科で学んだこと ~ 生徒さんへのインタビュー

田中先生:
それでは、今度は高校のほうの話も少しできたらいいのかなと思うんですけども、中学の「サイエンス科」が高校に行くと「プロジェクト科」という名前に変わります。プロジェクト科だともうちょっと内省をしたり、あまり先生たちが――今みたいに「未来予想図プロジェクト」とか「カップラーメンを作ろうプロジェクト」というふうに提案するのではなく、子供たちが基本的に考えるというスタンスになっています。実際に1年間プロジェクトの授業を受けてきたS君にちょっと説明をしてもらおうかなと思います。どんな授業があったか、教えてもらってもいいですか?

S君:
わかりました。授業的には、結構、対話とか議論、ディスカッションとかそういうのが多かったです。それはもともと――さっき小畑校長先生が言っていたように――3つの観点という「自分軸を確立する」「共に生きる」「学び方を学ぶ」それを深めるには結構大事な、ディスカッションやプレゼンテーション、発表を通してそういう能力を学んでいくので、そういう授業をたくさんしました。

田中先生:
ありがとうございます。S君はちなみに今どんなプロジェクトに取り組んでいるのか教えてもらってもいいですか?

S君:
今はこの1年間を通して自分自身に気付いて――自分は結構人助けに向いているなぁって、自分の中でそれが興味があるなぁと思って、それと、友達でもう1人、地域の町おこしとかに興味があるという人がいて、その人と協力して今、復興支援のプロジェクトを考えて企画しているところです。

田中先生:
おお、復興支援。ちなみになんで復興支援がいいと思ったのですか?

S君:
コロナウィルスのことが今、皆さん、頭の中にあると思うんですが、その中で忘れてはいけないものが(あって)――色々な災害とか、たとえば、去年の千葉の台風だったり、東日本大震災だったり。今、世界がコロナウイルスで混乱に陥っていますけれど、そこを忘れてはいけないんじゃないかということを2人で気づきあって、それを企画しているところです。

田中先生:
ありがとうございます。プロジェクトの授業では、子供たち自身が本当に何をしたいのかというのを探究して、子供たち同士で対話することを通じて、自分たちがやりたいプロジェクトに出会って、どんどん行動していくということをサポートするようなプログラムというイメージを持っていただけると良いのかなと思います。

では最後に、TさんとS君、今日は受験生の方も見えているみたいなので、受験生の方にメッセージをいただけたらいいかなと思います。ではTさんからお願いします。

Tさん:
私は思考力で(入学試験を)受けたんですけども、やっぱり緊張をしていると頭が混乱してうまく(問題を)解けなかったりとかする時とかもあるので、まずは緊張をちょっとでもいいからリラックスしてほぐすことが大事だと思うので。頑張ってください。

田中先生:
ありがとうございます、温かいメッセージ。ではS君、そうしましたら、メッセージと共に、プロジェクトとかの授業を受けてみて、ご自身に何か変化とか、こんなところがちょっと変わったかなみたいなことがあったら併せて話していただけると。

S君:
まず変化の方から話させていただけますか?自分は、入学した時と比べて、結構、発表とか意見を言えるようになったりとか、自分に自信が持てるようになったというのが、まず1つ変化したことです。それから、色々な話を聞くんですよ。クラスメートだったり、先生だったり、他の団体の人だったり。それによっていろんな価値観、考え――自分の中で知らなかった考えを聞くようになって、色々な良さに気付けるようになりました。たとえば、この問題は「自分の中で見てこれはだめだから×(バツ)」ではなくて「他の人から見たら実はこれがいいんじゃないか」というところに気づいて。なので、メッセージとしては、もしプロジェクト科に進めるとしたら、自分に自信が持てる、色々な良さに気付ける、それは結構自分の中で将来すごく役に立つと思うので。頑張ってください。

田中先生:
ありがとうございます。エールをいただいちゃいました。という感じで、ちょっと今はオンラインでしか皆さんとお会いすることができないんですけれども、また学校に遊びに来ていただくことができるようになったら、ぜひサイエンス科やプロジェクト科の実践を見に遊びに来ていただけたらなと思います。私とTさんとS君からは以上です。本日はありがとうございました。

S君:
ありがとうございました。

Tさん:
ありがとうございました。

――ありがとうございました。本校の学びの基本であり、核になっている「サイエンス科」それから「「プロジェクト科」のお話をさせていただきました。TさんとS君、本当にありがとうございました。これで(zoomを)退出していただいても大丈夫です。

次の話題に移りたいと思いますが、その前に、チャットのほうに少しずつ情報が書き込まれていますので、もしよろしければそちらもご確認いただきながら、説明を聞いていただければと思います。


では続きまして「グローバル」というテーマでお話をさせていただきます。
山田先生、お願いします。

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