東京電機大学中学校 学校説明会

2020年5月24日に実施された、東京電機大学中学校の学校説明会の内容を書き起こしでお伝えします。 

学校ホームページ:https://www.dendai.ed.jp/

1. TDUが考える「これからの時代に必要な資質・能力」とは

大久保校長先生:
私からは、学園の――東京電機大学中学校・高等学校それから大学――のご紹介をしておきたいと思います。

建学の精神・教育理念

大久保校長先生:
東京電機大学の建学の精神・教育理念でありますけれども、本校は、1907年に設立された電機学校という学校が母体になっていて、実学の尊重と、技術で社会に貢献する人材を育成するという建学の精神の下で、現在は中学校から大学院まで約11,000名の学生・生徒が学んでいる理工系の総合学園の中学校と高等学校であります。

小金井市――JR中央線の東小金井駅から徒歩5分のところにキャンパスがございます。

実学、すなわち、社会や人間にとって役に立つ学問の、教育研究理念として、私たち教職員あるいは卒業生がずっと受け継いできている言葉に、東京電機大学の初代学長であった丹羽保次郎先生が言われていた「技術は人なり」という言葉がございます。丹羽先生は、Faxを発明された方です。

技術者は常に人格の陶冶を必要とする。つまり、技術だとか――あるいは知識と言ってもいいかもしれません――そういうこと以前に、優れた人間・人格であるよう、それを第一にしなければならない、という丹羽先生のこの言葉、「技術は人なり」。これを受けまして、中学校・高等学校の校訓も「人間らしく生きる」と定めています。

「人間らしく」というのはいったいどういうことなのか。それは、人それぞれ、色々な解釈があって当然です。しかし、私たちは、多感な思春期の時期に、「人として、何を大切にして生きていくべきなのか」ということを考えながら行動して欲しいと、そういうことを常に生徒諸君には伝えているところです。それが学園の創立者たちの想いであります。

変化が激しく不確実、複雑で曖昧な時代

大久保校長先生:
さて、今、小学生の子供たちは、おそらく22世紀の初めごろまで人生を歩んでいかれるのではないかなと思いますが、21世紀というこの時代を生き抜いていくために、子供たちにとって必要な資質や能力――あるいは学力と言ってもいいと思いますけれども――にはどんな力があるのか。

まさに今、コロナの影響でちょっと先のことも見通すことができない、非常に予測困難な中を私たちは生きています。非常に変化が激しくて、不確実で、ものごとが複雑に絡まり合っていて曖昧な時代。それが21世紀です。

この21世紀を生き抜いていくためには、従来の価値観にとらわれない柔軟な発想、臨機応変な、しなやかな感性が必要だと私は思います。

あらかじめ決まっていること、あるいはわかっていること、そういう「正解」があることを正確になぞるように実行できる能力――これは20世紀の時代は必要だったのだと思いますけれども、21世紀の時代においては、あまり意味がないことだと思います。そうした、答えがあらかじめ用意されているような仕事の多くは、もはや、これからはAIが担っていくわけですから、そうではない部分で我々人間が活躍する場があるのだと思います。

自分の人生をデザインし、生涯学び続ける能力が必要


大久保校長先生:
では、人間として、人間にしかできないこととは、何なのでしょうか?

それは、社会や世の中にとって、そして一人ひとりの人間にとって、何物にも代えられない大切な価値。人生や生活の豊かさを実感させること。あるいは、ものを創造することだと思います。

大久保校長先生:
そのためには、自分の価値観をしっかり持つこと。自分の人生や生き方を自分でデザインして、それを具体化する能力だと思います。

スライドのほうに「自分の人生を自分でデザインする能力」とあります。「デザインする」「構想する」そういう能力こそ、今、盛んに言われている「課題解決能力」と同じ意味だと私は思っています。

また、予測困難な時代を生き抜いていくためには臨機応変な対応力が必要だと申し上げましたけれども、非常に変化が激しい時代でありますから、学校時代に習ったこと――大学を卒業するまでと考えれば人生の最初の22年間に学んだ知識だけで、残りの70年間とか80年間の人生を生き抜くことはもはや不可能だと思います。

時代の変化、あるいは時代の要請に合わせて、必要となっていった新しい知識や技能を、自分自身の考えに沿って身につけるために、生涯学び続ける能力。(すなわち)探究心や向上心も、極めて重要な資質であると考えます。

「5つの力」を身につけよう

大久保校長先生:
これからの時代に求められる資質や能力、学力をどのように育成していったらいいのか。

ひとことで言えば、私は、問いを立てられる人間になって欲しい――子供たちには問いを立てられる人間になって欲しいと思っています。自分で考えて、問い、すなわち、課題を見つけられることこそ思考力であり、思考することの出発点だと思います。

そして、問いを立てるためには、中学・高校時代に、ぜひとも本校で定めている「5つの力」というものを身につけていただきたいと思っています。

5つの力とは何かと申しますと、

1. 視野の広さ
他の人の意見に耳を傾けて、多角的にものごとを見る視野の広さ

2. 冒険心
失敗を恐れずに、なにごとにも積極的に挑戦する冒険心。

3. 向上心
自ら目標を設定して粘り強く努力を続けていく向上心。

4. 共感力
お互いを認め合い、それぞれの力を生かし合う共感力。

5. 専門性
自分の適性を見定めて、得意な分野を持つ専門性。


この5つの力を持っていることがとても重要であると考えています。

本校では、この5つの力を、授業を通じて、あるいは本校独自の探究学習の組織である「TDU 4D Lab(ラボ)」という活動を通じて身につけさせていきます。

教室での学びを通じて物事を論理的に把握する。そして自分の考えを他者に伝える表現力を身につけること。さまざまな人と出会い、あるいは多くの経験を重ねることで、世の中には自分とは異なる考え方や感じ方があるということを肌で覚えること。その両方を身につけることで、先行き不透明なこれからの時代を、希望と期待を持って生きることが可能になると考えています。

以上、簡単ではありますけれども本校の教育理念をご紹介しておきました。

これからあと、具体的な教育内容について阿部のほうからご説明をさしあげます。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。

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