私立への通学時間は何分までが許容範囲?~片道90分通学のメリット・デメリット

子どもを通わせたい学校、気になる学校が見つかった!――でも、調べてみたら、我が家からはちょっと遠い…。うちの子、電車を乗り継いであんな遠くまで毎日往復できるの?通学時間が長いと疲れてしまうのでは?

――こんなふうに、志望校への通学時間についてお悩みではありませんか?


オンライン合同学校説明会では、現在、中高一貫校にお子さんが通っておられる保護者さんにアンケートをとり、通学時間についてお聞きしました。

この記事では、アンケート結果と我が家の体験談(電車通学で約90分かかる学校に1年半子どもを通わせた後、学校まで自転車で約10分の場所へ引っ越しました)を踏まえ、私立中学への通学時間について考えていきます。

通学時間、どのぐらいかかっていますか?

まずは、アンケート結果です。

一番多いのは「30分以上60分未満」とのご回答(53.3%)でしたが、60分以上かかるというご回答も合計で3割を超えていました。

お子さんがたは頑張って通学し、親御さんたちがそれを支えておられる様子がうかがえます。

通学90分で大変だったことは

さて、この記事を書いている私には現在、都内の私立中高一貫校に通う中学3年生の娘がおります(2021年4月現在)。

娘が通っている学校へは、中2の9月まで住んでいた家から電車通学で約90分かかっていました。ご参考のために、そのころ大変だったことをお伝えしておきたいと思います。

親が睡眠不足になる

下のQ&Aにもありますように、給食や食堂がある学校はあまり多くはありません。また、食堂があったとしても中学1年の春から使える学校は少なかったりします。娘の学校もその例外ではなく、お弁当の準備は必須でした。

お弁当を作ってよく冷まし、朝食を食べさせ、朝6時半までに送り出さなければ…!と思うと、私は緊張して朝早くから目が覚めてしまいました。仕事で就寝が遅くなった時は、翌朝起きられるかが心配になり、なかなか寝付けませんでした。

そんな日々が週6日続いたため、慢性睡眠不足になってしまいました。

朝学習がある学校はさらに朝が早い

それでも、娘の学校は朝学習がないぶん、まだラクなほうだったと思います。

下のQ&Aを見ると多くの学校さんが、始業前に朝学習や朝読書を行っていると回答されています。そうした学校の場合、決められた登校時間よりも早く学校についている必要がありますので、お子さんが朝、家を出る時間もそれだけ早くなります。

遠方の学校を志望される際は、朝学習の有無も確認しておくことをおすすめいたします。

カバンが重くて体がつらい

中学生のカバン、とにかく重いです。
下のQ&Aを見ますと、ある程度「置き勉」をしても良いとの回答は多く、学校にロッカーもある学校さんも多いです。

ただ、娘が通う学校の場合は、日々の宿題や予習・復習をしようと思うと、結局は大半の教科書や資料集、ワークを持ち帰る必要がありました。

そこにお弁当や飲み物、副教材なども加わりますので、娘のカバンの重さは常時10~11kg以上あります。

リュックが使えるので少しは楽だろうと思ったのですが、学校指定のものは腰ではなく肩で支えるタイプのものですので、やはり肩が痛いそうです。

通学時間が長く、座れる区間が短いと、重い荷物が体に与える負担は大きくなります。

放課後の活動を楽しむ時間がない

最終下校時刻(夏時間)は、多くの学校で17:45~18:00頃になっていると思います。

でも娘の場合、18時に学校を出ると自宅に着くのは19時半。帰宅ラッシュで混みあう電車なので、とても疲れてしまいます。

この時間をさけるために早めに学校を出るようにしたら、部活動も放課後のおしゃべりも途中で切り上げて帰らなくてはなりません。せっかく友達ができてもなかなか一緒に過ごす時間がとれないことを、娘はいつも残念がっていました。

家庭学習に使える時間が少ない

帰宅して夕食を食べ、お風呂に入り、少し休憩したら就寝時間までにとれる時間はあまり多くありません。しかも、長時間の通学で疲れていますので、あまり長い時間、勉強に集中することはできません。

学年があがるにつれて家庭学習の時間も増やさなければならないのに、このままで大丈夫なの…?と不安になったりしていました。

長い通学時間にはメリットも

ここまでは通学時間90分で大変だったことを書いてきましたが、実は、通学片道90分だったからこそできたこと、良かったことも確かにありました。

以下ではこの点をお伝えしていきます。

読書習慣がつき、たくさん読めた

娘の学校は、登下校時のスマホは禁止。
学校に許可申請を出せば緊急連絡用として持たせることはできるのですが、スマホを持っているとつい触りたくなるので、自宅に置いておくことにしました(代わりに、GPSで登下校時の位置確認ができる見守り端末を持たせていました)。

スマホをいじることができないので、娘は、通学時間に本を読むようになりました。急に電車が止まっても学校で空き時間ができても良いように、文庫本や新書を常に数冊所持。どんどん読んでいったおかげで、1年間で語彙がぐっと増えました。

試験勉強に集中できた

電車通学では乗り換えがあり、適度に時間が区切られていましたので、暗記物には最適でした。

「〇〇駅につくまでに●●を覚える」のように時間を区切って暗記をすると、効率よく覚えることができたようです。

試験期間になる前の学習も、大切です。その日の授業の予習・復習もできるだけ電車内で進める習慣がついたことは、試験対策にもなりました。

帰宅するとスマホやテレビなど、なにかと誘惑があります。ですので、家に着くまでに限られた時間で学習できることは、娘にとってはよかったようです。

体力がついた

重い荷物を持って週6日の通学をしたことで、だんだん体力がついてきました。

体力がつくと、通学時間もより有効に使えるようになります。

結果、自宅ではくつろぐ時間もとれるようになり、メリハリのある生活を送ることができるようになりました。

スマホ漬けを防げた

通学時にはスマホを持たず、自宅で過ごせる時間はかなり限られていたため、平日は、スマホを使う時間がほとんどありませんでした(YouTubeを見たりSNSをしたりする時間は本当になかったのです…)。

このため、スマホは必要な時以外はさわらない習慣が身についたことは、今も学校生活を送る上で大変役立っています。

親の時間がとれるようになった

早起きは大変でしたが、朝6時半に娘を送り出したあとは、他の家族が起きてくるまで少し時間があります。

この時間に前日のやり残しや予定のチェック、家事の先取りなどができるため、ゆとりをもって一日を始められるようになったのは、私にとっては大きなメリットでした。

まとめ

アンケート結果によれば、首都圏の私立中高一貫校に通っているお子さんの通学時間として一番多いのは30分以上60分未満(53.3%)であり、60分以上かかると回答された方も3割以上おられます。

長い通学時間には親子ともにいろいろ大変な点もありますが、通学時間をうまく活用できればメリハリある生活に役立つところもあると私は感じておりますし、アンケートにお答えくださった皆さんも、その両面を感じつつ頑張っておられるのではと思いました。

この記事が、志望校選びのご参考になりましたら幸いです。