発達障害がある子供の学校選びは、どの親御さんも慎重になるもの。発達障害の場合、ストレスを受けやすいお子さんも少なくありません。志望校を選ぶ際は、教育方針や校風などがお子さんに合うかどうかをしっかり見極めることが大切です。こちらでは、発達障害の特性と合理的配慮について、また発達障害があるお子さんの学校選びに役立つICTの活用例をご紹介します。中学受験の学校選びに役立つ情報収集は、オンライン合同学校説明会をぜひご活用ください。
発達障害とは?種類とそれぞれの特性
発達障害のあるお子さんの進路を決めるにあたって、まずは発達障害とはどのようなものなのか、タイプ別に特性を見ていきましょう。
発達障害とは
発達障害とは、生まれながらに持つ脳機能の発達の偏りによる障害のことです。発達障害は、発達障害者支援法により「自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害のほか、これらに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
発達障害について:厚生労働省
発達障害の種類
・自閉スペクトラム症(ASD)
こだわりが強い、対人との関わりや空気を読むのが苦手、特定の行動を繰り返すといった特性を持つ発達障害の一つです。コミュニケーション力・想像力・社会性に問題があるケースが多いとされています。自閉スペクトラム症には、自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群なども含まれます。自閉症の場合は知的な発達の偏り・遅れが見られますが、高機能自閉症・アスペルガー症候群は基本的に知的な発達の偏り・遅れはありません。
・学習障害(LD)
知的な発達の偏り・遅れはないものの、「聞く」「読む」「書く」「計算する」などに困難が生じる発達障害です。全く読めない、書けないわけではなく、読むのが苦手、書くことが困難など、人によって障害の程度や現れる症状は異なります。
・注意欠如・多動症(ADHD)
注意欠如・多動症(ADHD)は、その言葉どおり、不注意・落ち着きのなさなどの特性を持つ発達障害です。具体的には、忘れ物が多い、集中力に欠ける、静かにできない(じっとできない)などの特性が挙げられます。注意欠如・多動症は成長とともに症状が安定してくる場合もあります。
発達障害の「グレーゾーン」とは
発達障害の「グレーゾーン」は正式な医学名称ではありません。発達障害のグレーゾーンは、ASDやLDなどの発達障害特有の症状は見られるものの、発達障害の診断がつかず「その傾向がある」という状態を表す言葉です。発達障害の診断基準に満たない方がグレーゾーンに該当します。
中学受験をお考えのご家庭の中には、上記の症状に自分のお子さんが当てはまったり、既に診断を受けたりしているケースもあるでしょう。私立中学校の中には、発達障害を個性の一つと捉える学校もあります。選ぶ学校次第で、学校生活の充実度からその後の進路、そして将来の社会生活まで影響してきます。発達障害の疑いや診断を受けたお子さんの中学受験にお悩みの方は、まずは各学校へ個別相談をしてみるとよいでしょう。
オンライン合同学校説明会でも、今後発達障害への指導方針や対応、設備などについて参加校さんにお話を伺い、情報を提供していきたいと思います。
学校園における合理的配慮の義務化
発達障害のあるお子さんが楽しく学校に通えるようにするためには、発達障害の特性を受け入れてくれる、そしてサポート体制が整っている環境であることが重要です。そこで、国公立の学校において義務づけられたのが、「合理的配慮の提供」です。
2016年4月1日に施行された「障害者差別解消法」により、「障害のある子供がほかの子供と平等教育を受ける権利」の享有・行使を確保することを目的として、必要に応じて合理的配慮を提供することを義務化しました。これは、視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・言語障害・発達障害だけでなく、グレーゾーンの子供も該当します。
発達障害・グレーゾーンへの合理的配慮の提供の具体例は以下のとおりです。
学習上または生活上の困難を改善・克服するための配慮
- 発達障害の特性を考慮して、達成可能な教科選定や指導目標の設定
- 二次障害の発症の有無を見極めて、適切に対応する
学習内容の柔軟な変更・調整
- 教科内容の理解力や学習の持続力などに応じて、授業内容の焦点化を図る
- 発達障害の特性に応じて、音量調整や学習室の変更を行う
情報・コミュニケーションの配慮
- 発達障害の特性に応じて、写真や図面の活用、アンダーラインや振り仮名などの補助といった、得意な情報処理形式を活かして情報提供を行う
- 話し方の工夫、話す速度や文の長さの調整を行う
体験学習の確保
- 発達障害の特性に応じて学習レベルや内容に工夫を凝らし、体験学習に取り組めるように配慮する
- 宿泊体験や調理実習など、実際の生活にも役立つ体験学習を取り入れる
心理面・健康面の配慮
- 発達障害の特性に応じて学習時間を調整する
- 順序立ててゆっくりわかりやすく話す
- ほかの生徒にも発達障害への理解を深めていく
専門性のある指導体制の整備
- 発達障害に対して専門性のある指導体制や指導者を確保する
- 必要に応じて特別支援学級の教員や支援員の導入、福祉機関との提携を行う
発達障害の状態及び特性などに応じた指導やケアができる施設・設備の配慮
- 十分に学習に取り組めるように教材や教育機器の導入、施設の整備を行う
- クールダウンやカウンセリングを行う場所、安全性を確保できるスペースを設ける
災害時などへの対応に必要な施設・設備の確保及び支援体制の整備
- 発達障害のある生徒一人ひとりに応じて指導できる施設・設備の配慮
- 発達障害のある生徒の状態を考慮し、避難方法や経路の整備など災害時のマニュアルを作成する
ICTの活用は一つの解決策に!発達障害のある子供への活用事例
発達障害のある子供への合理的配慮の提供が義務化されたとはいえ、学校によって対応の質や内容は異なります。そこで、発達障害のあるお子さんの学校選びの判断材料としておすすめなのが、ICTを活用した学習環境です。
ICTとは、パソコンをはじめ、スマートフォンやタブレットといったIT機器を用いて、デジタル化された情報をやり取りする技術です。ICTの活用が発達障害を持つお子さんのどのような困難に役立つのか、ここではいくつかの事例を見ていきましょう。
聞くことはできるが読むのは苦手な場合の活用例
電子化されたデジタル教科書を音声で聞くことにより、文章を把握できるようにサポートしていきます。これは、音声読み上げ機能の活用です。情報量が増えたり、学習の幅が広がったりなどの効果も期待できます。
聞くことはできるが理解力が乏しい場合の活用例
音声だけでなく、画像・映像を見ながら文章を読んでいきます。聴覚に視覚がプラスされることで、理解力が向上する、一人で作業を完了させることができるようになります。
話すことはできるが書くのは苦手な場合の活用例
鉛筆を使うのではなく、タブレットに直接書く「書き込み機能」の活用や、パソコンを用いてキーボード入力を行います。ICTの活用により、書くことが苦手な場合でも授業や試験を受けることが可能となります。
話すことはできるが自分の意思を伝えるのは苦手な場合の活用例
デジタル化された絵カードを使って自分の気持ちや考えを選択し、音声出力を行います。それによって自分の意思を伝えることが可能です。
発達障害のタイプや症状の程度に応じて適切なICTを活用することにより、充実した学習環境を確保できるようになります。パソコンをはじめ、タブレットや電子黒板、プロジェクターなど、授業の教材としてICTの導入が進んでいる中学校も年々増えています。学校選びの判断材料として、ICTに注目してみてはいかがでしょうか。
中学受験はその子に合う学校選びが大切!指導体制・校風が知りたい方はオンライン合同学校説明会へ
発達障害の有無にかかわらず、思春期の子供は精神面で不安定になりやすいものです。心身に負担がかからない学校環境が大切といえます。特に障害のあるお子さんが楽しく学校に通えるようにするためには、そういった子供の特徴や個性を受け入れてくれる学校であることが重要です。お子さんとの相性を見ながら学校を選ぶようにしましょう。
中学受験の学校選びにお悩みの方は、ぜひオンライン合同学校説明会をご利用ください。オンライン合同学校説明会では、中学受験の学校選びに関するお悩みの解決を目指しています。発達障害のあるお子さんへの指導方針や対応、設備などについても、各学校の情報収集に努めてまいりますので、学校選びの参考にしていただけましたら幸いです。
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代表 | 川上 慎市郎 |
設立 | 2018年9月3日 |
資本金 | 100万円(2020年5月現在) |
住所 | 〒105-0013 東京都港区浜松町2丁目2−15 ダイヤビル2F |
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