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2. 本郷の文武両道
野村先生:
こちらの動画では、本郷の文武両道についてお話をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
先ほど学校長の挨拶の動画にもありましたとおり、本郷では、教育の三本柱としまして「文武両道」「自学自習」「基本的生活習慣の確立」というものがございます。この動画では、文武両道に関してお話をさせていただきます。
文と武、それぞれが示すものとは
それでは、初めに文武両道ということですが、文に関しましては学習。勉強です。武に関しましては、本校では学習以外で学校生活を充実させるものとしまして、その象徴的な存在はクラブ活動(部活動)になります。
部活動について
部活動のルールを簡単に確認させていただきます。
部活動――クラブ活動は、中学1年生は全員参加しましょうというもとで行っております。まず経験をしましょうと。中学2年生以降の参加は自由にしておりますが、毎年、中学校のクラブの参加加入率を見ますと、だいたい98%です。ほとんどの生徒が参加をしております。高校生に関しましても昨年度は85%で、ルール上は中学2年生はクラブ活動に入らなくてもかまわないんですけども、実際の生徒たちの感覚で言いますと「本郷に入学して部活動を6年間続ける」と、こういった文化が自然とあります。
次に、活動日と活動時間に関してお話しします。
中学生ですが、月曜日から土曜日までの6日間で3日以内の活動となります。1回の活動時間は2時間以内。たとえばですね、帰りのホームルーム、大体15時過ぎに始まります。帰りのホームルームが終わって部活動の活動場所に行くのがだいたい15時半過ぎでしょうか。15時半過ぎから2時間活動しまして、その後、教室に戻り着替えたり帰りの準備をして、中学生の最終下校時刻が18時となります。
高校生に関しましては活動日も活動時間ももう少し増えます。高校生は週7日のうち5日以内。必ず1週間で2日を休みましょうと言うもとで活動をしております。1回の活動時間は中学生と比べて+1時間となります。最終下校時刻は、中学生が18時だったのに対して高校生は19時最終下校となります。
本郷の文武両道とは?
それでは、本後の文武両道というのはどういったイメージかということで説明をします。
受験生が参加をする説明会でよくまず最初にこれを聞くのですけれども「文武両道というこの4文字を見てどういう印象を持ちますか?」と、参加をしている小学生に聞きます。
だいたい小学生の皆さんは、「文」はテスト・勉強で、テストで100点。「武」は部活動大会で優勝と。部活も勉強も両方頑張ることですよね?というこういったイメージを文武両道という4文字に持っている受験生が非常に多いと思います。ただ、本郷の文武両道は勉強も部活も頑張ることだけではございません。
本郷の文武両道のイメージをお伝えするときに紹介させていただいている作文になります。
こちらの作文は、卒業生に書いてもらったものです。本郷の中学・高校の6年間でどういった生活だったのかというものを作文にしてもらいまして、それを1冊にまとめ、冊子で在校生に配っております。
ある生徒の作文です。
第1段落・第2段落とございますので、ちょっと第1段落を拡大させていただきます。
この卒業生は、野球部に所属をしていた生徒です。中学校2年生の時にあるきっかけがあったということで、野球部の監督・顧問の先生がちょうど自分の授業の担当、英語の先生でもあったと。で、レギュラーを取るために彼はどうしたのかといいますと、野球を頑張るのはもちろんなんですけども、担当の英語の先生が監督だったということもあって、英語も頑張ったら部活動でも評価してもらえるんじゃないかということをきっかけに英語を頑張ったというふうに書いてあります。
実際に中学2年生の2学期ぐらいから、そのおかげもあって英語が得意になって、他の教科もがんばって、数学も非常に頑張れるようになったということが書いてあります。その後、中2の3学期ぐらいからは学年1位・2位が当たり前になったと。実際にこの卒業生はこのあと中3、高1、卒業するまで学年1位・2位を守り抜き、第一志望の大学に合格しました。
実はこの作文、第2段落にはこんなことが書いてありました。
学年1位・2位をとって勉強も順調に行ったと思いきや、実は、彼は中学3年生で挫折を味わっていたと。実際にレギュラーを取ったんだけれども、まったく打てなかったということ、ちょっと技術的なことが真ん中に書いてあります。この打てない理由に気づいたのが野球部を引退してからだったというようにも書いてあります。
とにかく悔しかったと。なぜ部活動、野球をしている最中に、打てない理由に気付かなかったのかと、彼の表現ですと「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と書いてありますけれども、とにかく悔しかったと。同じことを勉強では味わいたくないと、高校3年生の時にもっと勉強しておけばよかった、こういう風にしておけばよかったと思いたくないとそういう思いで、彼の表現ですと「勉強で借りを返そうと決意した」と書いてありますが、ここからさらに彼の努力のスイッチは加速して入りました。
本郷の文武両道、生徒たちには、特に中学1年生にはこういったイメージで取り組もうということで話をしています。
たとえば、部活動の先生が「筋トレは継続してするものだ」とこんな話をしたと。
こちら、たまにいるんです。
公式戦1週間前に、突然筋トレを始める生徒。
ただですね、実際1週間前に突然トレーニングを始めても、時すでに遅しと。
こういったトレーニングはもっと前からコツコツやるものだと。
かたや、授業中に、授業の担当の先生からは「テスト前日に10時間勉強するよりも、1時間ずつ10日勉強する方が大切だよ」と、こんな話をされたと。
こういうのも、よくあります。
テスト前日に徹夜で勉強する生徒。
実際に、本郷の生徒、こんな勉強をしても点は取れてしまいます。ただ、こういう勉強をしている生徒は、半年後、同じ内容の問題を解くと忘れてしまっている、解けないと言う状況になります。いわゆるその場しのぎの一瞬の記憶力での戦い、そういった勉強をしている生徒というのは、半年後同じ問題も解けなくなってしまう、忘れやすいという勉強法です。
部活動の先生から聞いた話と、授業の先生から聞いた話。この2つ、一見別々のアドバイスに見えますけれども、共通のキーワードがあります。それは「継続は力なり」です。
生徒たちには、部活の先生から聞いた話、それは君の部活動のヒントだけではなくて必ず勉強のヒントにもなっているよと。授業中に先生から聞いた話、これはその教科の勉強のヒントだけではなくて、ひょっとしたら君の部活動のヒントにもなっているかもしれないと。この2つは、必ずつながるはず。そういったことをイメージして部活動、授業を受けようと。
本郷の文武両道、必ず文と武のつながりをイメージして2つのことをしましょうという話をしております。先ほど作文を紹介させていただきました。あの生徒は、まさにこの文と武のつながりを意識して本郷で6年間を過ごした、そんなことが分かる作文と思って紹介をさせていただきました。
「縦の繋がり」を大切にするのが本郷
文と武がつながるということをお話させていただききましたけれども、つながりということで、もう一つ、本校では取り組んでいるものがございます。それは「縦の繋がり」というものです。
本校では昔から、6年間生徒たちが部活を続けているということがございます。部活を行っておりますと自然と先輩後輩がつながります。練習メニューやいろいろな内容を先輩から教わり、そして自分が先輩になったときには後輩の面倒を見るとこういう文化がございます。これを部活動だけではなくて勉強でもつなげてほしいということで、いろいろなことを行っております。
中1・2年生合同授業(数学)
今日この動画で紹介させていただくのは中学1年生と2年生の合同授業というものです。
こちらも説明会でよく受験生に聞きます。勉強でわからない問題があったら誰に質問しますか?と。中学受験の勉強をしていて受験勉強でわからない問題は誰に聞いているでしょうか。大体受験生は塾の先生に聞く、保護者の方に聞く、たまに学校の先生に聞いてみるというこんな受験生もおります。
ただ、説明会ではこういうふうに答えています。「本郷では、実はわからない問題があったら先輩に聞けるよ」と。ひとつ、その象徴的なものがこの合同授業です。簡単に、合同授業というものがどういったものなのかお話をさせていただきます。
中学1年生のあるクラスの出席番号1番の生徒と、中学2年生のあるクラス出席番号1番の生徒、2番の生徒と2番の生徒、これらがそれぞれペアになります。そしてそのペアで、中学2年生から中学1年生へ勉強のアドバイスをするという授業です。まず1つ映像をご覧ください。
(編集担当注:映像は省略いたします)
こちらは合同授業の映像になります。ちょっと動画のところまで早送りをさせていただきます。このような形で中学2年生が1年生にアドバイスをしているという授業です。このような形で、1対1でアドバイスをしております。
この合同授業ですけれども、どういった時期にどのような内容で行っているかと申しますと、まず初めは中学1年生の5月に行います。5月の下旬に、中学1年生にとって初めての大きなテスト、中間考査というものがございます。この中間考査をどのような努力をして取り組んだらいいのかという内容に関しましては、中1の担任の先生から詳しくということはあえてしておりません。この合同授業で中学2年生から教えてもらうということになっております。
こちらが、合同授業をやる前に、中学1年生に事前に配っているプリントです。
4月27日に配布しております。合同授業を行う時期が5月11日、5月の下旬に中間テストがございます。中学1年生に配って、実際に中2の先輩たちに質問したいことを5つ以上準備してきましょうと。中学2年生から一方的にアドバイスをもらうだけではなく中学1年生も何か疑問に思うことがあったらぜひ聞いてみようという、事前に準備してもらう授業ワークシートになります。
ちょっとご覧ください。
この生徒、中間試験前日は何時に寝るといいですか?と(聞いています)。先輩たちが一番最近(の定期試験の)前日に寝ていた時間を教えてくださいと。先輩に聞いてみたら9時半だったと。少し早い気もするんですけども、こういったことがやはり、中学1年生は気になります。
いろいろ考えてきた質問もあるんですけども、たとえば「テストの順位は公開されますか?公開されるのであればどのように、何位までですか?」と。実際は公開はしておりません。
プリントの最後は、合同授業が終わった後の感想、中学1年生の感想がこちらに載っております。「問題の内容だけではなく、定期考査前の生活や当日のことなども知ることができた」というふうに書いてあります。いろいろ教えてもらえて良かったという内容です。
この合同授業、数学の授業中に年4回ほど行っております。
後半に行くにしたがいまして数学の要素が少し強くなります。6月には、本数検という本校のオリジナルの数学のテストがございますので、このテストというものはどういったものなのかということを先輩から聞くことになっております。
秋には、中1の図形のテーマでもある証明の書き方を中学2年生から教わることになっております。2月、冬はJJMO――ジュニアの数学オリンピックの問題――を中1・中2に配りまして、解いてきたものをお互い答えを見せ合いましょうと、そんなふうに授業をしております。
こちらは中学2年生の感想です。
この中学2年生は「いろいろなことを合同授業で学びました」と。「去年、中1の時は質問したり学ぶ立場でしたが、今年は中学2年生になって教える立場になってみて初めて、教員の仕事とはとても難しいことだと思いました」と。最後に、「1年生が来年教える立場になった時にしっかりと教えられるように、自分が見本になってしっかりと教えたいです」というふうに書いてあります。赤い文字は担任の先生のコメントです。
このように合同授業は、中学1年生にとっていろいろアドバイスがもらえるという場として最初は行いましたが、合同授業を行ってから我々特に感じるのは、中学2年生にとっても非常に大きな場だなと。自分の経験を後輩に伝えることを感じる貴重な場になっているんだなということを改めて最近思います。
お話させていただきました文武両道、「文」と「武」がつながる、そして部活を行うことによって生まれる先輩後輩との関係、それがさらに、勉強でもつながると。これがひとつ、本郷の文武両道の特徴であります。
カッコ良い先輩に出会って、自分自身もカッコ良い先輩になりましょうと。いろいろ自分を高める場というのもは、もちろんたくさんございます。ただ、自分だけを高めるだけではなく、先輩とも後輩ともお互いを高め合う、そういうことを感じる6年間にしようということで、本校は文武両道を1つのテーマで行っております。
簡単ではございますが、本校の文武両道のイメージを動画で説明させていただきました。