八王子学園八王子中学校 学校説明会

質問回答① 学習

Q:ICT/デジタル活用の現状

今回皆さまからお受けした質問の中に、ICT活用、デジタル活用――私としては同じものと理解いたしまして――こういったものの現状を教えて欲しいというご質問がございましたので、この場で共有をさせていただきます。

本校では、電子黒板は各教室にあります。そして生徒は一人1台タブレットを持っています。教員もノートPC・タブレットを持っています。生徒たちのタブレットはChromebookです。そして各教室にWi-FIが備わっておりますので…

…日々の日常生活の部分では、Google Classroomをプラットフォームにして、ご家庭と学校との情報共有ツールとしてClassroomを使っています。

また、今回の休校期間中につきましてはGoogle Meetを使ってリアルタイムの授業をやったり、あるいは――全クラスで行いましたが――二者面談を行ったりしました。そして、ご存じでしょうか、ロイロノートというアプリがございまして、後ほど実際の画面をご紹介申し上げます、日々こういったものを使いながら学校生活を過ごしております。

そして先ほど少し話題になりましたが、本校でも4月・5月、約2か月にわたって休校としたわけですけれども、おかげさまと申しましょうか、こういったプラットフォームを常日頃から使っておりましたので、休校期間中の対応というのもそれほど平常時と変わらずある意味スムーズに対応できたのではないか、そんなふうに考えております。

一例をあげましょう。

中学1年3組・東大医進クラスの休校期間中のある日のページです。このように休校期間中には、各担当がそれぞれ連絡事項を、あるいは担任からのコメント、そういったものを毎日更新して載せていました。また、スプレッドシートを使って体温を測ったりGoogle Formを使って色々な質問――教科や生活の質問を受け付けて回答をするような、そういったこともGoogle Classroomを通して行っていました。そしてこの青いところ、ここをクリックするとその日の授業動画を見ることができます。我々が動画を撮って所定の場所に入れて生徒がそれを視聴する、といったことを2か月やっておりました。

これは私の、中学3年生向け歴史の授業のひとこまです。

そしてロイロノートについてもここでご紹介申し上げます。

ロイロノートというアプリは、クラスごとに教員と生徒がグループになります。そしてここに見えている一つひとつのシート、これは自由に書き込んだり動画を入れたり写真を入れたりすることができます。これは実際に私の授業の板書用シートなのですが、たとえばこれを確認テスト・小テスト、あるいはミニレポート用紙として使って、この(赤枠の中の)下2つを使って教員-生徒、生徒-教員のやりとりができます。ですのでこのロイロノートについては、普段の授業の板書、あるいは確認テスト・小テスト、あるいは私などは、こちらはPDFのファイルを取り込めますのでたとえば宿題などをPDFにしてここに入れて生徒に送り、そして生徒はここから提出するということも日々行っております。

Q:ICT・デジタル活用によって定期テストやノートはどう変わる?

これに付随する質問なのですが、定期考査はどういう形式か?紙なのかオンラインなのかということですが、基本的に定期考査(テスト)は「紙」です。紙に鉛筆で自分の考えを書くということを、このデジタル活用が進んでいるからこそ、ICTの環境が普及しているからこそ、自分で筆記用具を持って書くという作業はとても大切だと私は考えています。

同様に、ノート。ICT、デジタル活用が進む中でノートはどうなっているのか?ちゃんととっているのかということなのですが、繰り返します、このような時代だからこそ、自分で考えてノートをとる活動はとても大事だと思います。それはなぜかと言いますと、私の授業ではノートをとる時にただ板書をとるだけではなくて私が言ったこと、あるいは自分の考えのメモを取りなさいと言っています。ですから私にとっていいノートというのはきれいなノートではありません。色々なことが書き込まれているのがいいノートだと思います。

大事なのはその書き込み。ただ板書を写すのは作業です。ところが、メモをとる、あるい自分の考えを書くことは、自分の考えをめぐらす、つまりノートを取ることで、ただ授業を見たり聞いたりしているだけではなく、そこに考えるという活動が生まれる、そのツールとしてのノートは、どんなにICTが普及しても大事と私は考えます。

Q:教員に質問しやすい雰囲気か?

続けてまいります。すみません。ちょっとこのテーマとは関係が薄いのですけれども、ここに入れました。生徒は教員に質問しやすい雰囲気ですか?というご質問がありました。これについてはシンプルにそうだと思います。

たとえば昨年度。色々なイベントでアンケートを頂戴したときに、八王子学園は生徒と教員の距離が近いというありがたいお褒めの言葉をいただきました。私立学校の場合、どこの学校さんでも距離感は近いと思います。そしてイベントに来校された方も色々な学校を見ておられるので比較検討ができると思います、そうした中で、あえて本校の特長として生徒と教員の距離が近いということを書いてくださっていますので…

質問に戻ります。この、質問のしやすい・しにくいもご理解いただけるのではと思います。

Q:学校は何のためにあるか

せっかくの機会ですので、これは直接皆さまからいただいた質問への回答ではありませんが、このICT・デジタル活用の内容としてふくらませて、皆さまと考えを共有していきたいと思います。

この4月・5月の休耕期間中、私どももオンライン授業を展開してきました。その時に私、ふと、あることを考えました。このオンライン授業は、生徒は教室にいません。我々教員も動画をつくる、あるいはリアルタイムの場合教室にいるわけですが、でも、教員と生徒がそこに一緒にいるわけではない。でも授業が成立している。

とするならば、こういう疑問です。(=学校とは?)
わざわざ時間をかけて生徒たちがひとつの場所に集まる、時間・空間としての学校というのは本当に必要なのだろうか?あるいはもし必要だとすると、何のために必要なのか?ここです。

少し深い話になりますが、この休校期間中、あるいは自粛期間中に私たち学校、あるいは学校関係者はそもそも学校の存在意義とは何かということを考える、ある意味そのきっかけになった2か月だったのです。

そしてそれに対して私はこう思います。結論から先に申し上げますと、これから先どのような状況になっても、同じ時間・空間を教員と生徒が共有する場としての学校というものは必要だと思っています。とすればそれは何のためか?という話になるのですが、八王子学園八王子中学校・高等学校では、そこに集うすべての教職員・生徒が大切にしている3つの営み=活動があります。

同じ時間・空間を共有する生徒・教職員は、日々、考える。そして話し合う。そこには意見の食い違いもあるかもしれません。場合によっては口論・対立があるかもしれません。ですがそれを乗り越えて合意形成に向かっていく。この3つの活動を本校では最も大事にしています。

それはなぜか。

学校紹介動画の内容と重なりますが、本校では、戦後70年以上大切にしている言葉があります。学園モットー、「人格を尊重しよう」「平和を心につちかおう」。

二度とあの戦争という悲劇を繰り返さない・させない。そういう人材を育てる、あるいは育っもらうにはどうしたらいいか。自分と異なる意見を持っている他者をそれだけを理由に排除しない、そういう人間になってもらいたい。ではそういう人間になってもらうにはどうしたらいいか。

日々の学校生活、授業、部活動、学校行事、そのあらゆる場面で、日々考え、話し合い、合意形成をするためには、やはり同じ時間・空間を教職員・生徒が共有する場としての学校、共有する場としての八王子学園。そんなふうに考えます。

ですので、繰り返します、これから先どのような状況になったとしても、このような、皆が集う場としての学校には存在意義がある、私はそう思いますが、皆さまはいかがでしょうか。

もちろん、オンライン授業の展開で、わざわざ学校でやる必要がないということもわかりました。たとえば授業動画を撮っておいてそれは家で見るとすると学校はどのような場になるか。それを見た上でみんなで話し合う、そんな学校にこれからなっていけたらいいなとそんなふうに思っています。

Q:通塾の必要性

今回も、そしてこれまでにもたくさん寄せられた質問です。通塾の必要性、あるいは通塾率について。

まず基本的な考えを申しますと、本校では基本的に塾に通う必要はない――中1から高3まで通う必要がない。だからこそその分、生まれた新しい自由な時間を使って行事、部活動、キャリア教育などに取り組んでもらいたいというふうに考えています。一方で塾に行ってはいけないとかそういった強制をする文化の学校ではありませんので実際には通っている生徒はいると思います。ですがおおよそ――すみません、細かい調査をしているわけではないのでおおよその数字でお許しいただければ――1学年にざっと100人の生徒がいたとするとだいたい10-20人ぐらい、そのぐらいの割合だと考えています。

また、中1から高2までは部活動や行事が色々ありますので、あまり通っている生徒はいないとそんなふうにも思っています。

そして、何よりも大事なことは、塾に通うかどうかというよりは、その勉強の手段を自分で選ぶかどうか。つまり自分でそれが必要だと思えば、塾に行くことを学校は止めない。また、自分でいらないと思えば、学校の授業を集中して聞けばいい。これが大事です。そんな生徒に、大人になってもらいたい。そんなふうに、こうしたテーマに触れるたびに思う次第でございます。

Q:講習・補習

今の話に関連して、本校は授業以外にも講習を――放課後、長期休暇中。中一から高2までまた高校3年生は午後、いろいろな受験科目に合わせて3年選択科目と言う事業を用意していますので、つまり午前中の授業が終わったら午後予備校に行かないでそのまま学校予備校に通うそんなイメージです。

また、CRP。こちらは英語・数学・国語の教科別に授業をやります。単元ごとに確認テストを行って、その確認テストで合格点に届かなければ放課後、指名制で教員がついてフォローアップをするということをやっています。ですから、繰り返しになりますが、このような授業・講習・CRPその他諸々のプログラムによって基本的には塾に通う必要がないと考えております。

Q:クラス分け

クラス分けはどうしているかというお話がありました。こちらは一般化してご説明申し上げます。

本校では中1から高2まで、同じ名前/同じ性格のクラスが1クラスであれば当然クラス分けはありませんし、複数クラスに分かれればあります。ですから東大医進と一貫特進に中学校は分かれていますけれども、その同じ名前の東大医進とか一貫特進のクラスがその学年に複数あれば当然クラス分けをする形になります。ですが、高校2年に上がった段階では、高2・高3は同一クラスつまりクラス分けをしません。これが原則となります。以上でございます。