【2020】オープンスクールの見どころをお聞きしました⑤新渡戸文化中学校

夏休みを活用して、学校見学会やオープンスクールを開催する学校さんは多くあります。

前から気になった学校はもちろん、今まで知らなかった学校の中にも良さそうなところがあれば、今のうちに見学して選択肢を広げておきたいなぁ…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。このミニ特集「オープンスクールの見どころをお聞きしました」シリーズでは、8月にオープンスクール/学校見学会/授業体験会などを実施される学校さんに、おすすめの見学ポイントや特に力を入れている点などをお聞きしていきます。皆さまのオープンスクール選びのご参考になりましたら幸いです。


シリーズ5回目は、新渡戸文化中学校です。
8月29日(土)の学校説明会は、統括校長補佐の山本先生から「子どもを自立させる魔法のことば」と題する講演があったり、新渡戸での学びの体験があったり、集団面接体験「レゴブロックで幸せを作ろう」があったりと盛りだくさん。これはオープンスクールに近いのでは…?と考えましたので、これらはいったいどんな内容なのか、奥津先生にお聞きしてみました。

自ら学ぶ自律型の子どもに育てる秘訣が聞ける

―― 8月29日の学校説明会、午前の部・10:05 講演からの講演「子どもを自立させる魔法のことば」はどのような方におすすめの内容となっているのでしょうか?

奥津先生:
そうですね… 「家でゲームをずっとしている」「動画を見出したら止まらない」こんな子どもの姿を見るとついつい「勉強しなさい!」と目くじらを立ててしまうことはありませんか?

―― 心当たりがありすぎます…。

奥津先生:
今回の講演では、「子どもに勉強して欲しければ『勉強しなさい』と言うのをやめることから始めましょう」と提唱する本校統括校長補佐の山本崇雄が、自ら学ぶ自律型の子どもに育てる秘訣をお話しします。「なぜ『教えない授業』が学力を伸ばすのか」「学校に頼らなければ学力は伸びる」の著者でもある山本が、自身の子育ての経験も踏まえ、ある「魔法の言葉」をかけ続けることで子どもが変わる子育て法をお伝えしますので、どうぞご期待ください。

統括校長補佐  山本崇雄先生について

1970年東京都生まれ。1994年より東京の公立中学校で英語教師として教壇に立つ。2006年から東京都立両国高等学校に赴任。同年新設された附属中学校でも英語を担当し、中学1年生~高校3年生までの6年間「教えない授業」を実践。

2019年より、新渡戸文化小中学校・高等学校、横浜創英中学校・高等学校で英語教師として教鞭をとる傍ら複数の企業とも契約する兼業教師として活動。「未来教育デザインConfeito」を主催し、教員が企業と交流できる場を設けている傍ら、自身も企業とともに教材開発を行うなど、積極的に協働している。

新渡戸文化中学校では「統括校長補佐・中学校教育デザイナー」として中学校全体の教育を再構築。「すべての主語を生徒にする」という方針のもと、これまでにない教育のスタイルを構築している。

著書に『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』(日経BP社)、『「教えない授業」から生まれた英語教科書魔法のレシピ』(三省堂)『「教えない授業」の始め方』(アルク)、『学校に頼らなければ学力は伸びる』(産業能率大学出版部)などがある。

また、2020年度は日本教育新聞社と株式会社ナガセの主催する第7回「夏の教育セミナー 〜逆境に勝つ! 大学入試改革〜」にて英語の共通テスト解説、共通テストに向けた授業実践例報告の登壇者も務めた。

レゴを用いたワークでプレゼン能力も伸ばせる

―― 8月29日の学校説明会では午後に「レゴブロックで幸せを作ろう」という集団面接体験があるそうですが…これはどのような内容なのでしょうか?

奥津先生:
このワークでは、「”誰か”や”何か”を幸せにするためのアイデア」について考えます。たとえば「生産者をHappyにするためのレストランを考えてみよう」など、本校が目指す「Happiness Creator」に向けた思考や協調を学ぶことができる内容です。

―― そこでレゴブロックを使う理由は?

奥津先生:
レゴブロックは「表現の一つ」です。すでに形があるものを組み合わせるだけで作れるレゴブロックは、誰でも簡単に「表現」ができるためのツールです。

考えを発信することは、もちろん文字や絵で表現することもできますが、レゴブロックの場合「目の前にあるもの」を「言語化する」ことで表現できるため、表現のハードルが下がります。さらに、その考えを伝えるときに、「レゴブロック」と「言葉」の2つで表現できるため、レゴを用いたワークはプレゼンの能力も伸ばすことができます。

―― プレゼン力が伸ばせるのは嬉しいですね。

奥津先生:
学校説明会の際にこのようなワークを複数回実施することで、「体験授業を受けることで、本校や他校の入試に向けた力をつける」ことも、ねらいの一つです。

ICTで距離と時間を超越した出会いをつくる

―― 「新渡戸での学び」については新聞等でも何度か採り上げられているのを見たことがあります。特にどのような点が注目されているのでしょうか?

奥津先生:
2019年度から、「リアルな社会との出会い」を大切にした授業に取り組んでいます。社会人との掛け算で生まれる学びが、大きな注目を浴びています。それぞれの教員のつながりから、様々な出会いのある授業に取り組んできました。

特に今年度は、新型コロナウイルス感染症に伴い学校への登校が困難になってからは、ICTを効果的に用いる授業が大きく取り上げられました。

ICTを効果的に用いた授業を紹介した新聞記事の例

・『オンライン授業で広がる世界』朝日新聞7月27日(紙面掲載) 
 → 本校高校の山藤旅聞教諭が檜原村で取り組む綿花のプロジェクトを紹介

・『都内学校「休校難しい」 新型コロナ、警戒レベル最高』 日本経済新聞2020/7/16
→オンライン授業を継続する学校として紹介

・『【山本崇雄教諭に聞く】オンライン授業で育む自律型学習者』教育新聞2020年6月18日
→自律型学習者を目指す教育を紹介

・『[教育ルネサンス]オンラインで学ぶ<1>1日6コマ遠隔授業』読売新聞2020/6/11
→コロナ禍におけるオンライン授業の取り組みを紹介

・『高校生ARTに託す』東京新聞2020/5/2(紙面掲載)
 →オンライン授業で取り組んだコロナに関するクリエーションの取り組みを紹介

・『オンライン授業でコロナの危機を乗り越える…新渡戸文化』読売新聞2020/04/24
→ オンライン授業導入に関するポリシーや流れを紹介

―― 教育新聞の記事の冒頭で(※冒頭部分は無料で読むことができます)、山本先生が、オンライン授業は「そもそも“遅れ”や“取り戻す”が最優先事項ではない」と話しておられたことに共感しました。オンラインにより大きな可能性を見ていらっしゃるのですね。

奥津先生:
ICTの利点である距離と時間を超越した出会いは、まさに本校が考えていた教育と合致したものでした。

中学校で行われているHappiness Bridgeでは、現在までに延べ200人以上の大人に参加してもらい、子どもたちと対話を重ねています。高等学校で行われているクロスカリキュラム授業では、都内の畑や檜原村の森林など、様々な場所からの中継授業を行っています。


本校教諭が講師となって行ったイベントも多数あります。統括校長補佐の山本崇雄、山藤旅聞を始めとし、自立型学習者、オンライン授業、ICTへの取り組みなど、様々な講演を行っていることも、注目をいただいているところかと思います。

―― 本日はありがとうございました!

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2021年度入学試験のすべての受験料無料化、「好きなこと入試」(オンライン入試あり)や適性検査型入試導入について、新渡戸文化中学校の奥津先生にお話を聞きました。

さらに知りたい方へ

2020年の掲載記事(新聞記事以外)は下記の通りです。ご関心にあわせてお読みください。

・『SDGsを学ぶ/下 子どもの発想の柔軟性に期待 新渡戸文化小中高教諭・山藤さん』毎日新聞2020年8月10日
→ SDGsを取り入れた授業として紹介

・『学校でのオンライン授業に向けて必要なこと――理念の共有とサービス選定
→ オンライン授業を導入するまでの流れを紹介(8回連載の第1回)

・『「withコロナ」時代の学校の「あり方」を模索する ミネルヴァ大学大学院と新渡戸文化学園の事例から』Yahooニュース 6/23(火)
→ コロナ禍における取組を紹介

・『オンライン教育最前線…新渡戸文化学園の取組み紹介』リセマム2020.5.11
→ オンラインイベントの取り組みを紹介

・『介護テーマ「ドーナツの歩道橋」で読書会、作者ら招き…新渡戸文化
→ ポプラ社の担当を呼んで行われた読書会の様子を紹介

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