日本女子大学附属中学校 椎野校長先生のお話・穴埋め式まとめノート④

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
日本女子大学附属中学校(神奈川県川崎市多摩区)の校長である椎野秀子先生のお話(全4回)の第4回です。

※その他の回をお読みになる場合は、下記リンクをご利用ください。(配信後、順次追加していきます)
第1回  第2回   第3回


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

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Topics1:親御さんへのメッセージ

惑ってこその中高時代

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
(前略)今回は4回目、最終回になります。この正解がない、先行き不透明だと言われている時代に子育てをしている親御さんたちに対して、アドバイス、メッセージをいただければと思います。

日本女子大学附属中学校
椎野秀子
校長(以下、椎野):
ちょっと具体的でなくて申し訳ないのですが…ひとことで言うと「惑(まど)ってこその中高時代」というふうに親御さんも覚悟していただくとありがたいなと思います。

おおた:
惑ってこその中高時代。

椎野:
はい。「迷ってこその」と言うと――迷うって”あちこち入り乱れる”という感じですが、もっとなんでしょうか、「(1)」ですよね。中高時代って。

「惑ってこそ」という――悩んだり、考え違いをしたり、方向を見失って途方に暮れて泣きたくなってしまったり…というような時代こそが中高時代のなんだよというようなことを、最終的に見守る私たちがわかっていることで、(お子さんたちが)安心して惑えるのかなと。真剣に悩んで、真剣に惑って、真剣に自分の道を選ぶ…というふうになるのかなと思っています。

おおた:
見ている周りの大人たちが「ほら、なにをやっているの!余計なことをしていないで最短距離を行きなさい!」ではなくて、惑うものなんだよと(理解する)。迷うというと「どちらにしようかな?」という感じですが「惑う」というと、なんだかすごく、宇宙空間のような…(笑)

椎野:
(笑)はい。混沌でございます。

おおた:
それでいいんだよという視点で周りの大人が見守ってあげることで、(子どもたちは)安心して惑う(ことができる)。惑うって、中高時代の特権ですからね。それを謳歌してもらうために、周りの大人がまず理解してあげようよという、そういうメッセージですね。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる数字は何でしょう?

テスト

親や教師は寄り添って聞く」存在でありたい

椎野:
惑っている若者を、親として教師としてどういうふうに…と思った時に――私は大江健三郎のファンなのですが――大江健三郎が姉のように慕っていたシモーヌ・ヴェイユというフランスの哲学者の言葉を(中略)何かの作品にちらっと(大江健三郎が)書いていて。

正確ではないのですけれども「(中略) 苦しんでいる人に『あなたはどのようにお苦しいのですか』と寄り添える人こそ本物の勇者である」と確か言っていました。つまり解決してほしいのではなく、「あなたはどのようにお苦しいのですか」という声がかけられるかどうかだと思います。

おおた:
なるほど、深いですね。親子関係で言えば、多感な時期ですから 子どもが時々つらそうにしていたりもやもやしたりしている様子を見ると、親としてはついつい、幼児の頃に世話を焼いていたのと同じような感覚で何かしてあげたくなってしまう。親の力で解決してあげたくなってしまう。

椎野:
そうなんです。私など、親ですし、教師という余計なものの経験もあるので、わが子に「どうやったら」というふうにまさに「迷って」しまっているのですけれども、でもやはり、子どもの(2)力を信じられるかどうかですよね。そして「どのように苦しいの」ということに寄り添って聞ける存在でありたいなと思います。

<確認クイズ>
(2)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

気付いているよ、よかったら聞くよ

椎野:
それともうひとつは、その段階を経て、この道に決まったと(いう時)。もしかしてすると今、一番(保護者さんが)心騒いでいらっしゃるのは「A校に行きたかったけれども(進学先が)B校に決まった」というようなことかと思いますが、そんな時も、「私が歩む道」と決まった道を、肯定していく。納得する生き方に、ちゃんと自分の力で(3)いく、そういう力はもっと大事かなと思います。

おおた:
わかります。私もそう思います。

今のお話は中学受験を含めておっしゃっていただいたと思うのですが、これ、たとえば、中学受験生の親御さんに相談をされた時に(私が)よく言うことなのですが。たとえば、お子さんがすごく頑張って今回こそはいい点数がとれると思って模試を受けたのですが、結果が返ってきたらそれほどでもなかった、すごく落ち込んでいる、どうしたらいいかと言われた時に、成績が落ちて悲しんでいるのだから「成績が上がる方法を教えてあげよう」とか「新しい問題集を買ってこよう」とするとなかなかうまくいかなくて。

そうではなくて、それこそ、落ち込んでいる時に「ケーキでも買ってきたから一緒に食べようか」というふうに、「あなたの今のつらい気持ちはわかっているよ」ということを、直接的な言葉でなくてもいいから、肩に手を置くだけでもいいから、それを伝えるだけで、(お子さんは)それで「わかってくれた」と勇気がわいてくる。それが一番の励ましで。そこから(お子さんが)自分で困難に立ち向かっていく勇気が湧いてくるということはありますからね。それがやはり、子どもに対して周りの大人ができる励ましなんだろうなと思います。

椎野:
おおたさんのようにケーキではなかったのですが、私は娘と一緒にお風呂に入りました。大昔ですが。

おおた:
そうですよね、言葉もいらなかったりするんですよね。(親としては)何かうまいことを言ってあげようとか、どうやって励まそうかななんて思ったりもしてしまうのですが、実は言葉もいらなくて。素直な気持ちを自分なりの表現で、親子だけの表現で伝えることができれば。

それが先生と生徒だったら、そういう関係だからこそできる表現で「わかっているよ」「100パーセントはわからなかったとしても、あなたがつらい思いを、何かを抱えていることは気づいているよ。よかったら聞くよ」と。そういう存在がいれば、子どもって、頑張れてしまうたくましさを持っているんですよね。

<確認クイズ>
(3)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

誇るなく また恥ずるなく

椎野:
私、大昔の話ですが、大学を卒業する時の卒業旅行の帰りに、恩師の――大学の教授のところに行ったら、ひとつの歌をはなむけにとプレゼントしてくれたんです。(中略)「誇るなく また恥ずるなく 生き死にの かの野の花に 似なばやと思う」 つまり、自分自身のことを誇ったりするだけでなく、でも一方で恥じることなく、生きていく。野の花のようにいたいものだと思う、と。

実はその先生は、本学の学長にもなった青木 生子(あおきたかこ)なのですが、自分を「恥ずるなく」というのが なかなか人間はできないのです。戒めとして「誇ることをやめましょう」というと「はい、わかりました。おごらないようにしましょう」と言いますが。

「恥ずるなく」というのは自分を否定してしまうというそういうことではなく、自分を(4)術を持つことが生きていく上では大事。そこから何がはじまるかということだと思いますので、やはり親のスタンスは、「惑ってこその中高時代」に恥ずることなく野の花のように…ということを示せるかどうかかなと思います。

おおた:
素晴らしい、深い話をありがとうございます。
惑ってこその中高時代なんだから、そういうものだと思って(子どもたちが)安心して惑えるように周りの大人は見てあげましょう、そして、その中惑いながらも選び切った道を(周りの大人は)肯定的にとらえてあげて、見守ってあげましょうというメッセージでした。

校長室訪問、今月は、日本女子大学附属中学校の校長、椎野秀子先生にお話をうかがいました。
椎野先生、ありがとうございました。

椎野:
本当にありがとうございました。

<確認クイズ>
(4)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

いかがでしたか?
このPodcastと書き起こしが、日本女子大学附属中学校さんについて理解を深める一助となりましたら幸いです。

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(私たちが責任をもって文化放送さんにお届けします)


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