女子美術大学付属中学校 石川校長先生のお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
女子美術大学付属高等学校・中学校(東京都杉並区)の校長である石川康子先生のお話です。


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。

Topics1:大切にしていること

お絵かき・ものづくりが大好きな生徒が集う学校

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは、女子美術大学付属高等学校・中学校の校長、石川康子先生にお話をうかがっていきましょう。石川先生よろしくお願いします


女子美術大学付属高等学校・中学校
石川康子
校長(以下、石川):
どうぞよろしくお願いいたします。

おおた:
まず、女子美中高さんはどういうことを大切に教育を行なっているのでしょうか。

石川:
女子美術大学の付属高校・中学校でございます。美術大学の純粋な付属中学校・高校というのは日本で唯一、女子美だけだと思います。何しろお絵かきが大好きでものづくりが大好きという個性豊かな生徒が中高合わせて1,050名以上集まっていますので、本当に特殊な学校、変わった学校だと思います(笑)。

おおた:
ひとつの大きなポイントとしては、美術大学の付属なんですけれども、美術学校ではなくてあくまで普通科の学校なんですよね。

石川:
そうなんです。美術の力を活かすというのが第一の目的ですし、子供たちも9割以上の子が高校卒業後、美術系の方面に進んでいきます。でも、その美術の力を育てるには、すべての(1)が大切だということを強く思っている学校です。なのであえて、普通科にしております。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics2:校風

個性的で魅力的なワンダーランド

おおた:
校風や教育理念はどういったところが特徴になりますでしょうか?

石川:
先ほども申しましたけれども、お絵かき大好き・ものづくりが大好きという個性的な子がたくさんいますので、校内にはいたるところに作品が展示されておりまして、まるで美術館のような雰囲気の学校です。本校をひとことで言えば「創造性に満ちあふれた生徒が集う個性的で魅力的なワンダーランドという感じの学校」です。

おおた:
ワンダーランド。

石川:
はい。明るくて元気の良い多彩な生徒が、(2)するように学校中を楽しんでおります。

おおた:
(2)するようにってすごくいい表現ですね。なんだかイメージが湧きます。

石川:
本当に楽しそうなので、校長もびっくりしちゃうんですけれども(笑)。この放送をお聴きの皆様、コロナ禍が収束しましたらぜひ一度、学校に来ていただきたいと思っています。本当に面白い学校ですよ。

<確認クイズ>
(2)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics3:沿革

美術で経済的自立ができる教育を目指して設立

おおた:
そういったユニークなワンダーランドのような学校は、どのようにして作られてきたのでしょう?

石川:
本校は、美術をこころざす明治の女性・横井玉子先生が創立した学校です。今から122年前に女子美の前身である「女子美術学校」が創立されました。当時、美術を学ぶには現在の東京芸大である上野の美術学校(=東京美術学校)ともうひとつ、京都に画学校(=京都府画学校)があるだけでした。しかも男子だけしか入れなかったんですね。

(そこで)女子でも学べる美術の学校を作ろうと、横井玉子先生が発奮して。しかもただのお稽古ごと――お嬢様のお稽古ごとになるような学校ではなく、当時から「美術で経済的自立ができる教育」というところで設立した学校です。

当時からそんなふうに革新的でしたし、今でも前を前を向いて歩いております。その精神を受け継いで、いつの時代も最先端を行く(3)学校。生徒たちもそれを受け継いでいるなと思っております。

おおた:
ホームページの沿革を拝見すると、ずっと付属の美術中学校高等女学校というふうにはなっていなかったんですね。

石川:
ええ。美術学校――今の大学の次に、高校ができます。そのあとに中学もできるんですね。

おおた:
そしてしばらくは佐藤高等女学校という名前で、この女子美術大学付属高等学校・中学校に改称したのは戦後のこと…

石川:
女子美術学校が創立されてすぐに、横井玉子先生がお亡くなりになります。その時に助けを求めたのが、順天堂――今の順天堂大学の堂主である佐藤様の奥様・佐藤志津さんです。佐藤志津先生が、女子美の高校を佐藤女学校という名前で。

おおた:
なるほど、そういうことでしたか。もともとどういったバックグラウンドがあってこの女性のための美術学校というのを作ろうとされたのですか?

石川:
佐倉藩の武士のお家柄でお父様も、のちに男爵に推薦されたりするような勉強の好きな。現在の女子学院で先生もしていらしたことがあって。女子教育にもともと意欲があり、特に美術がお好きだったんですね。美術教育というものが女子に必要で、芸大しかないなら(新しく学校を)作っちゃおうという(3)方でした。

<確認クイズ>
(3)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics3:親御さんへの子育てアドバイス

智の美・芸の美・心の美

おおた:
そのような、明治の当初からユニークな教育を行ってきた、当時から美術の力で経済的にも女性が自立をという教育を行ってきた、女子美中高流の教育のエッセンスを取り入れるヒントをいただければと思うのですが。

石川:
女子美は教育目標として、美術の学校らしく3つの「美」――「智の美・芸(読み方:(4))の美、心の美」を大切にしています。智の美は、感性を伸ばすには知性が必ず必要である――感性だけではうちの学校は成り立ちません――知性は感性を補完するという考えです。

子供を育てていくには、知性はとても大事、勉強はとても大切だと思います。でも、知性だけではだめですね。AIの時代になってよりはっきりしたと思うのですけれども、知性だけでは世の中を渡っていけない。コンピュータが皆やってくださいますので。それで感性も伸ばすというところを大事にしている学校です。智の美(知性)と芸の美(画力/美術の力)を高め、この2つを高め、一生懸命やっていくと心の美も備わっていくというところを大切にしています。

私は、(これらが)子育てに今頑張っていらっしゃる親御さんにとても必要だなと思っています。

おおた:
この3つが必要。

<確認クイズ>
(4)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

親は本気で子供に向き合ってはいけません

石川:
はい。たとえば…ちょっとおこがましいのですけれども――私は、子供たちを長年見てきた教員生活を通じて色々な親御さんやご家族を見てきましたけれども、中学生になる思春期のお嬢様・お坊ちゃまがとても大変な(ことがあります)。小さい時はいいんですね。親が必死になれば子供もついてくる。親の(5)と子供の(5)が一緒です。だから中学受験なんかは、ほんとにどの中学を目指していても親と子が手を取り合って一緒に頑張るという姿をお見受けいたします。

でも、中学に入ったらそうはいかない。思春期というのはほんとにややこしくてですね、私はお父様お母様にひとつお伝えするならば…「親は本気で子供に向き合ってはいけません」。


おおた:
本気で向き合ってはいけない。なるほど。

石川:
命の危険があるときだけは本気で向き合って怒ればいいと思いますが、中高生、思春期の第二次反抗期に突入したお子さんたちには、親は演技者・役者であるべきだと思っています。なんだか子供がややこしい要求とか、絶対間違っていることを言い出してケンカになったときには、本気で正論を言う親――特にお父様――のことは聞いてくれませんから。

<確認クイズ>
(5)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

思春期の子供が反抗して大変な時、向き合い方のコツは…

おおた:
正論が通じないと。

石川:
はい。中高生は実は結構賢くて、そんな親のいう世論なんて本当はわかっていると私は思っています。でもなんだか心がモヤモヤしてぶつけたいところがあるんです。

お父様・お母様、本当にお子さんが反抗して大変なときには、具体的に(次のようにしてください)

①体を1回後ろに向けて、子供に背中を見せる(大人は3秒で落ち着きます)
②大きく深呼吸
③口角を上げて振り返り「それで?」って笑う。

私も自分の子育てでやったことがあります。
(中略)
子供のことは――腹を痛めて産んでも、大事に大事に手をかけて育ててきても――「親の心は子知らず」というのは本当にことわざ通りだと思っています。なのでね、(もう大人になった私の)子供が「お母さんは私の事はちっとも理解してくれなかった。でも、理解しようとしていたことは認める」と言ってくれたんですが、それでいいんだと思います。

おおた:
突っかかってくるような態度を見せられても、これを同じ土俵に乗ってムキになって正論をぶつけて説き伏せようとするのではなくて、むしろ、子供が親の胸を借りてぶつけたい気持ちを持っているんだというその気持ちを受け止めてあげるという…

石川:
そうですね。でもね、大変なんですよ、実際やるとしたら。ほんとに背中を向けて深呼吸をして、そして作り笑いをして「わかった、あなたの気持ちはわかった。理解はできないけど一生懸命なことはわかった」と口に出していうのはもうかなり努力が必要なのです。(でも)(6)になりきってください、親御さん。

おおた:
なるほど、ありがとうございます。
プロの先生であってもそれだけ難しいと。

石川:
はい。

おおた:
初めて親をする一般の親御さんたちがそこでついついかっとなってしまう自分を抑えられない、それはもうどこでも起こっていることであって、そんな時に今日の先生からのアドバイスは「(6)になれ」ということだったわけですね。

<確認クイズ>
(6)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

本物の芸術に触れさせる体験を大切に

石川:
(アドバイスは)あともう一つあります。子供たちを育てるときに――うちは美術の学校でもありますけれども――本物の芸術に触れさせるということは、小さい時から努力をして親が経験をさせないとなかなかチャンスがないんですね。

どうせ子供にはわからないだろうと思わずに、やはり本物を見せてあげる。音楽でも書道でもいいと思うんです。芸術に触れさせる。美術でしたら、案外、現代アートですと小さなお子さんもいっぱい体験ができますし、楽しんでくれると思います。

やはりそうやって感性を(育む)何かチャンスを与えないと。芸術というものは一生、私は大事なもの(だと思います)。欧米では、本当のエリートは芸術、美術を知っているとよく言われているように、小さなころから見させるということをお子さんにぜひさせてあげていただきたいと思います。

おおた:
小さい時から本物に触れる。(中略)本物に触れることによって、見た瞬間・触れた瞬間にああ、これは本物だというふうにわかるようになっておくと言いますよね。それと同じように小さなころから本物に触れることによって、ああこれはいいものだ、これは本物だというような、理屈ではない部分での感性を養っていくということが人生を支えていく。これは自分の進むべき道なんだ、これは良いものであるというふうに感じ取れる、その感性というのはいくら理屈をこねてもわからないものが見えてくるんですね。

石川:
その通りですね。

おおた:
アドバイスを2ついただきました。
1つは、思春期を迎えたお子さんの前では親御さんは(6)であれと。本気で子供に向き合ってはいけないと。(6)であるぐらいの余裕を意識的に持つことが大事だよと。あともう一つは、特に小さなお子さんをお持ちの親御さんは、どうせ子供という風には思わずに小さい時からぜひ本物の芸術、理屈では割り切れない美しさ・正しさそういったものを感じさせる本物に触れさせることが子供にとっての財産になるという話でした。

校長室訪問、今回は女子美術大学付属高等学校・中学校の校長、石川康子先生にお話をうかがいました。
石川先生ありがとうございました。

今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
(私たちが責任をもって文化放送さんにお届けします)

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