この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。
配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。
番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。
今回お届けするのは、
西武学園文理中学・高等学校(埼玉県狭山市)の校長である柴田 誠先生のお話です。
番組の聴取は下記より↓↓
【大切なお願い】
※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。
クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。
この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!
※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。
Topics1:教育理念
狭山の地でグローバル教育そして…
おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは、西武学園文理中学・高等学校の校長、柴田 誠先生にお話をうかがっていきましょう。柴田先生、よろしくお願いします。
西武学園文理中学・高等学校
柴田 誠 校長(以下、柴田):
よろしくお願いいたします。
おおた:
西武文理さんはどんな場所にあるのか、最寄りの駅とかアクセスの方法を簡単にお話いただけますか?
柴田:
西武文理は狭山市にございます。入間川(いるまがわ)のほとりにあって、非常に自然豊かな場所でございます。最寄りの駅はスクールバスが出ておりまして、5か所ほどございますが、一番近いのは新狭山・川越、ここから子どもたちが通ってきております。
おおた:
狭山って、あの「狭山茶」の狭山ですか?
柴田:
さようでございます。お茶どころ(=お茶の産地)です。
おおた:
お茶どころというぐらい豊かな自然がある環境の中に、素敵な学校が。
すごく校舎もきれいなイメージがあります。
柴田:
そうですね。非常に子ども達ものびのびと活動をしております。
おおた:
そういった環境にある西武文理さんでは、どういったことを大切にした教育を行なっていらっしゃるのか、校風や教育理念をおうかがいできればと思います。
柴田:
高校は開校以来41年、中学校も30年が経ちました。その中で、教育方針としましては、開校当初から「すべてに誠をつくし最後までやり抜く強い意志を養う」という非常に質実剛健的な教育方針でございます。具体的には、この狭山の地で、グローバル教育を40年/30年前から志しております。
またもうひとつは「ホスピタリティ教育」。これはなかなか一般的には聞きませんけれども、本校の創立者が非常に大事にしてきた教育理念でございます。
おおた:
今の学校の校内の雰囲気は――(柴田)先生が校長先生になられたのは…
柴田:
3年前です。
おおた:
3年前。先生は今の学校の雰囲気、生徒さんの雰囲気をどうご覧になられていますか?
柴田:
子ども達は非常に素直でのびのびと暮らしております。ほとんどの子たちが上級学校に進学したい子どもたちですので、朝、バス等で学校に通って、帰りのバスが出るまでは本校の敷地内・校舎内・グランドで色々勉強をしたり部活動をしたり、西部文理が大好きな子ども達が集まっている学校です。
Topics2:沿革
いち早く理数科や英語科を設置
おおた:
グローバル教育、(1)教育という少し聞きなれないキーワードも出てきましたけれども、こういった考え方はどのような背景・経緯で作られてきたのか、学校の生い立ちとか歩みのようなものをおうかがいできればと思います。
柴田:
本校の創立者は、佐藤 英樹と申します。現・理事長でございますけれども、もともと五十数年前に佐藤理事長は、料理人だったのです。調理の専門学校から立ち上がった学園なのです。
おおた:
そうですよね。もともと佐藤先生ご自身がお料理をされる方だった、そうでしたか。
柴田:
ええ。ですからお客様に対する心遣い=(1)を大事に、大事に学校を作ってきたという次第です。
おおた:
それが先ほどの「(1)教育」の原点なのですね。調理学校としての生い立ちがある西武文理さんが今はすごく進学校に…。進学校といっても、すごくユニークな教育に取り組んでいる学校というイメージが世の中的にも持たれているのではないかと思うのですが。どういう経緯でそのような変化が起こっていったのでしょうか。
柴田:
佐藤秀樹理事長が、時代、時代の先見性を持っておりまして、学校を作るときにも――41~42年前ですけれども――その頃から埼玉では早く、理数科や英語科といった学科を(作りました)。先進的なものをどんどん取り入れて子どもたちを育てるんだ、そういう気概をもってこの学園を創り始めたところです。
おおた:
1981年に高等学校を開設して、その時に普通科と理数科ができていて。その3年後には英語科ができて。普通科も作っているけれども理数科や英語科といったそれぞれ専門特化したようなコースも設けて。今でこそ特徴的な教育を行なうコースを設けることは一般的になってきましたけれども、それを40年近く前から行っていたというのがひとつの特徴になっているかもしれませんね。
柴田:
埼玉では本当に初めての学科設置だったと思います。
おおた:
それが40年ちょっと前で、さらにその10年後ぐらいに中学校も開設して中高一貫校になったのですね。
柴田:
はい、さようでございます。
<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?
中学・高校で混成クラスを編成。その理由は…
おおた:
もともと調理学校という生い立ちを持ちながら、普通科の高校を立ち上げ、さらに理数科・英語科というふうな、進学校的な立ち位置になっていくというのは、何か問題意識とか目指すところがあったのでしょうか?
柴田:
理事長がこれから――ちょうど子ども達の数も増えてくるタイミングでしたし、若い人たちをこれから教育しなければ日本の国が立ち行かないだろうというところでこの学校をつくりあげた次第です。
おおた:
1970年代に一気に高度成長期で高校進学率が一気に上がっていって。それまでは高校に行くの行かないのというところでひとつ壁があったわけですが、それが高校に行くのは前提で、その中で何を学ぶの?というふうに変わって来る時代において、いち早く多様なニーズに応えていくんだという改革をされたということですかね。
柴田:
30年前から、中学を立ち上げる時にはもう、グローバルな教育をこの狭山の地でしなければならんと。ずっと田舎の環境のいいところからグローバル、世界を見渡せる教育活動をする、そういう意気込みで色々な施策を展開してまいりました。
おおた:
私も今回の収録の前に御校のホームページを拝見して予習をさせていただいたのですが、その中に、イギリスのパブリックスクールをひとつの理想としておいてきたという佐藤先生の記述があったと思います。まさにイギリスのパブリックスクールはだいたい郊外にあって自然豊かなところで。それが狭山のイメージに合っていたのかなというふうにも思いました。
その中で名門パブリックスクール――たとえばイートン校などに代表されますが――そういったところの長所を生かしてという、それが今の学校にも通ずる部分があるか(中略)先生からご覧になって、そういったパブリックスクールと現在の西武文理さんとの共通点などうかがえればと。
柴田:
共通点は、高校をつくり中学をつくり、そのあと小学校も設立してございます。ですから、小学校からの生徒を12年間、西部文理の教育活動で育て上げるというひとつの流れが柱となっています。また、中学高校からも入って来る子ども達もたくさんいるので、その子たちと内進で進級して来る子たちに人間的な関係をきちっとつくらせる、社会的な人間性を育てるという意味で、中学も高校も混成クラスを今、実施しています。そういう流れでがんばっております。
Topics3:保護者様へのアドバイス
親の我慢や忍耐の力、胆力が試される時代
おおた:
そういった教育の理念、教育の姿勢みたいなものを何か一般のご家庭でも取り入れるヒント、子育てのアドバイスのみたいなものをいただければと思うのですが。
柴田:
ありがとうございます。本校はグローバル教育を根底にやってきている中で、私が強く感じている部分は、今、日本にも色々な国の方が入ってきてお仕事をされたり勉強をされたり(しています)。日本人が減る中で、我々が外国の方に頼りながら日本の社会を支えてもらっている、そういった立ち位置のこれからの子どもたちが、色々な意味でハングリーな子どもたちと同じ世代の子どもたちと勉強したりする中では、自分から壁を作らない(ことが大切)。言葉にしろ、宗教にしろ、肌の色にしろ、決して自分から壁をつくらず、逆に自分から仲間を作っていくような自主的な動きをこれからの子どもたちはしてもらいたいし、絶対に必要な力だと思っています。
ですから、自律的な――自分で色々なものを判断する上で、親がもう追い付けない世代ですよ、今の機器もそうですしSNSの色々な情報も。親の方が勉強しなければ遅れていくような時代ですから、それを考えると、親が前に出ずに、子ども達にある程度責任を負わせながら見守る、そういう「こらえる力」――親御さんたちが我慢をして待つ力、子ども達を信用しながら失敗してもいいからそれを見守る「我慢力」といいますか、私は最近、それを強く必要だなと感じています。
おおた:
先ほどすごく先生の素敵な言葉だなと思ったのは「自分から壁をつくるのではなく、仲間を作るんだ」と。これだけ多様で学ぶこともどんどん増えてきてしまっている中で、一人の人間がすべてを学べるわけがなくて、みんなで手分けをして学んでいって、それぞれが学んできたものを持ち寄って。そういう仲間がいれば、自分に足りないものを誰かが補ってくれて、誰かに足りないものを自分が補ってあげることができて、そういう仲間の中で生きていくような社会をこれから作っていかなくてはいけない。
そういった中で、子どもたちが壁を作るのではなくて仲間を作って、そしてそれを自主的にやっていけるようになるためには、それを「ああしなさい」「こうしなさい」といちいち親が指図をできるわけもなくて、次から次へと新しい知識や技術が生まれてくる中で、その中でみんなで手分けしてそれを自分のものにして、仲間を増やしていって。
子どもたちがそれを自分でできるようにならなければいけないわけだから、親御さんは、ある程度の失敗も想定をした中で、「あ、転びそうだな」と思ってもそこでぐっとこらえて待つと。
柴田:
さようでございます。
おおた:
そういう姿勢が、これからの非常に不透明で非常に多様で、だからこそ仲間が必要な時代を生きていく子どものそういった素質というものを伸ばしていく上では、親の我慢、忍耐力、胆力、そういったものが試されているのかもしれませんよね。そういう不安な時代だからこそ、親御さんもついつい手を出したくなって「あなた大丈夫なの?」と言いたくなる気持ちがますます高まっている一方で、だからこそそこをぐっとこらえる親としての強さみたいなものが試されているのかもしれないですよね。
柴田:
西武文理も、これからの時代を生きていく子どもたちにどんな力をつけなければいけないかと、色々先生方と相談はしているんです。
自立心もそうですし、創造的な力がこれからはやはり人間の存在価値につながっていくだろうと。
本校では、小学校もそうですし中学校もそうなのですが、卒業論文を書かせているんです。高校でも探究の時間をたっぷりと全員に課しています。ですから、これからどういう世界で自分が生きていくのか、そういう将来のキャリアにつながるような教育も、本校の小中高の流れのなかで子どもたちが将来を見つけてくれればいいなというところで、そんな探究活動――今は「文理探究」と呼んでいますが――そんなこともスタートしております。
おおた:
キャリアにつながるようなということでいくと、ちょっと無理やりなこじつけかもしれませんけれども、もともと御校が調理師学校というすごくプロフェッショナルな道に進んでいくことを前提とした学校としての生い立ちがあって、おそらく机上の学問だけではなくていかに世の中に自分たちが学んだ知識なり技術なりを生かしていくかというところが、生い立ちからあったんだろうなというふうに思います。
柴田:
そうです。
おおた:
それがお料理という形ではなくなったにしても受け継がれている考え方なのかなというふうに、今、うかがっていて思いました。
柴田:
ありがとうございます。本校のホスピタリティというのは、見ているだけではなく行動力を伴って誰かの幸せのために働きかけをしたりという大変実地な考え方だと思っております。
おおた:
よくわかりました。ありがとうございました。
校長室訪問、今回は西武学園文理中学・高等学校の校長・柴田 誠先生にお話をうかがいました。
柴田先生、ありがとうございました。
今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
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