八雲学園中学校高等学校 近藤 彰郎校長先生のお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
八雲学園中学校高等学校(東京都目黒区)の校長、近藤 彰郎先生のお話です。

番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。

Topics1:学校の概要

人を大切にする「生命主義」の学校

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは八雲学園中学校高等学校の校長、近藤 彰郎先生にお話をうかがっていきましょう。近藤先生、よろしくお願いします


八雲学園中学校高等学校
近藤 彰郎 校長先生(以下、近藤):

近藤です、よろしくお願いします。

おおた:
まずは学校はどんな場所にあるのかを教えていただいてもよろしいですか?

近藤:
東急東横線、渋谷から向かって自由が丘の一つ手前に都立大学駅があります。そこから徒歩で7分のところに。住所で言うと目黒区八雲になります。そちらに存在しています。

おおた:
周りの環境はどんな感じなのでしょうか。

近藤:
まさに住宅地の真ん中にあるという形になります。駒沢公園まで約5分ぐらいで行ける、閑静なところです。

おおた:
そうですね。すごく落ち着いた昔ながらの住宅街、邸宅地というふうな環境でありますよね。

近藤:
はい。

おおた:
ではその八雲学園中高さんなのですが、先生からご覧になって、学校のどんなところが特長だというふうに言えますでしょうか。

近藤:
学校にはそれぞれの教育目標、建学の精神があると思います。八雲学園は84年目の学校になるのですが「生命主義」――具体的に言うと、自分の命、他人の命、そして授かった命をとにかく大事にしていこうと。これがもう本当に教育の理念になります。くくって言えば、人を大切にしていこうと。これを基本に学校で色々なことを学んでいくという形になります。

これをたとえば学校の朝礼で――コロナでなかなか朝礼ができませんが――毎回、全校生徒を集めて私が最初に挨拶をするんですけど、84年間唱えられた「心によろこびを持ちましょう」と。これはリーダーが「心に喜びを持ちます」と言うのに呼応して応えるのですが。そして「強い身体(からだ)になりましょう」「立派な生活をいたしましょう」と毎朝唱えて、学校生活を始めています。(中略)

おおた:
これがずっと創立以来朝礼で…

近藤:
創立以来、言っていますね。

おおた:
これは面白いですね。

近藤:
先生たちも生徒も一堂に会してやるので、私もこの言葉を言います。自分に対しても「心によろこびを持っているか」「立派な生活をしているか」は確認というか、こんなことを朝の始めにおこなっている学校です。

おおた:
ひとつ質問してもいいですか?「立派な生活」というとどういうことなのかなとちょっと思うのですが、たとえばどんなことなのでしょうか。

近藤:
生命主義と申し上げましたが、立派というと、立身出世も立派のひとつかもしれない。人間として立派な人間になるという意味ですから、もうひとつのくくりとしては「人にやさしく、自分に厳しく」と。これを入学の時から、繰り返し、繰り返し言っています。

おおた:
単なる生活習慣ということだけではなく、生き方としての立派な生活というふうな捉え方をすればよろしいんでしょうか。

近藤:
そうだと思います。

Topics2:沿革

昭和13年から英語教育を開始

おおた:
そういった伝統を持っている八雲学園中高さんですが、そもそもどういった方がこの学校を創立されてそしてどういう歩みを経て その歴史の部分を教えていただきたいと思います。

近藤:
創立の経緯のお話をさせていただきます。先ほど84年目と言いましたが、創立は1938年(昭和13年)、当然戦前ですけど、に創立をされております。創立者は近藤敏男と申します。近藤敏男は山口県に生まれ、成人し結婚してから、そのあと、シアトルに移り住むわけです。戦前、1920年代の頃ですね。そこで事業を興し、不動産業をやったりホテル経営をしたり、そういう中で、ある程度は成功をおさめていたのですが、その1920年代前後にかけて、色々な日中戦争も始まり、世界が戦争に向かっていったという状況の中でその財を全部売り払って日本に引き揚げてくるんです。

そしてまた日本で貸家を何百軒も持ったり。当時は不動産というと土地ではなくて家を作って貸す。貸家です。

商業的に言えばアメリカでいわゆる映画やなんかを見ていましたので、映画館を作り、そのうちのひとつとして八雲学園を創立しているんですよ。創立当初は女子校です。本人は山口県を出て、英語の勉強もろくにしないで海を渡って仕事をしたわけです。言葉が通じないことが体験として非常に重かったと思うんですね。そこで世界で活躍していくためにはやはり言語が大事だということで、昭和13年から英語教育を始めているんですよ。

おおた:
なるほど。

近藤:
これ(英語)を誰が教えたのかというと、(中略)日本はイギリスと親交がありましたのでイギリスの方々がたくさんいたんです その方たちにネイティブの先生として来ていただいて、英語教育を昭和13年から始めていたんです。女子校というのは、奥さんも一緒に行ったものですから、女性の立場、人権がまったく違ったんですよね。

おおた:
なるほど、そうですよね。当時の日本の状況とアメリカの状況では同じ女性でもこんなに立場が違うのかと実感されて帰ってきたのですね。

近藤:
参政権はその頃、日本ではないですよね、当時日本は。しかしアメリカは1920年代に女性にも参政権があったんですよね。それを見ているので、女子も教育をして活躍していってもらいたいということで女子校を始めたんです。

おおた:
では本当に、山口からアメリカに渡って色々なカルチャーショックを受け、でも最先端のビジネスみたいなものもかなり大変なことはあったでしょうけれども、その中でビジネスマンとしての腕も磨いて、帰って来る中でさまざまな事業を展開する一つとして、女性をエンパワーしなければいけないということもひとつの問題意識として持って帰ってきたと。

近藤:
その中で、歴史的に言うと実は、昭和13年に年創立して16年から20年まで戦争になっちゃうんですよ。太平洋戦争。

おおた:
そうですよね。

近藤:
(戦時中は)英語を教えることも話すことも全部禁止です。非常に辛い時代があったんですけど、いいか悪いかは別として終戦、敗戦を迎えて、日本はアメリカが日本を全部治める。アメリカはすごい国でですね、将校たちの家族をこの焼け野原に、翌年には全部迎え入れるんですよ。それに気が付いて二代目校長――菊枝先生とおっしゃるのですが――が直に行って、自分たちの子どもたちに英語を教えてくれということで、英語教育をまた再開しているんです。

おおた:
GHQの将校のご家族、ご婦人みたいな方々にお願いした。

近藤:
そうなんです。

おおた:
また目の付け所がすごいですよね。

近藤:
そんな形で英語教育、それが今の時代は国際化・グローバルな時代ですから、変遷はありますが、教育的にはそれを受けている学校です。

サンタバーバラにはグローバル教育の拠点「八雲レジデンス」

おおた:
なるほどよくわかりました。ありがとうございます。先ほど女子校としておこったと言う話がありましたが、近年、共学化をされてということがすごく大きな変化かなと思いますけれども、そのへんの経緯、どういうご判断をされたのかということも差し支えなければ教えていただいてもよろしいですか?

近藤:
私もこの学校に赴任して44年になります。(中略)女子校として40年間やりました。で、ただ、社会的な変化でいうと、法律的には男女共同参画とか整備はされているんですね。今の時代はね。実際にそれがそうなっているかどうかはまあこれは時間がかかると思うんですけれども、そんな中でこれからの未来を見据えた場合に、やはり男女が共にいて協力し合って生きて行かなければならないということで言えば、それを教育の現場で小学校、たとえば男女共学でやってきたところで離すというのもひとつの方法でしょうけど、(男女を)一緒にして理解を深めていくと。お互いをリスペクトするような人間関係をつくっていくというのも大事かなと。

私自身は、実は男子校育ちなんですよ。大学は法学部。社会に出て社会人としても男社会で生きてきた。だから、もうちょっと早くから色々なことが女性についても理解できていればよかったんじゃないかなということもありまして、先生たちの同意を得て、5年目からやりました。男女共学になりました。

おおた:
あともうひとつ、先ほど、創立者の方がアメリカで事業をされていたということをおうかがいしましたが、確かあれですよね、サンフランシスコかどこかに学校の施設がありましたよね…?

近藤:
うちは今、サンタバーバラ、カリフォルニア、ロスアンゼルス空港から1時間半ぐらいのところにある丘陵の一角に5万坪の土地を30年ぐらい前に買って、そこに60人ぐらいが泊まれる施設を作って中3生を毎年全員送り、高校生の1カ月プログラム、9カ月プログラム、こういうのを用意して体験型のグローバル教育をおこなっています。

おおた:
自前の施設がカリフォルニアにあるんですものね。シアトルではありませんけれども、西海岸に、創立者ゆかりのところに施設を構えてという。5万坪で60人ってまた贅沢だなという気がしますが(笑)

近藤:
丘陵なので、ほんとうに眼下には太平洋が見渡せて、後ろを見ると1000メートル級の山々が連なっているというような、本当にちょっとビッグな。

おおた:
ですよね。

近藤:
サンタバーバラというところは全米でも犯罪の発生率が少ない安全なところなんです。

おおた:
そうなんですか。

近藤:
マイケル・ジャクソンのネバーランドがあった地域です。

おおた:
ああ、なるほど。では素晴らしいところにそういう施設があって、中学3年生は全員がそこで過ごすことができるんですね。うらやましいですよね。

Topics3:保護者様へのアドバイス

体力、気力、知力。大切なのはその〇〇

おおた:
そのような歴史があり、そして創立当初から英語教育をはじめとするグローバル教育をされてきたという八雲学園中高さんでですが、最初に生命主義というお話もありましたけれども、八雲学園中高流の教育のエッセンスを何か、ご家庭の中で子育てに活かすヒントみたいなものとしてアドバイスをいただければと思うのですが、いかがでしょうか。

近藤:
今、時代は人生100年と言われていますけど、しかし私が考えるのは、100年なんですけれども人は生きる時代を選べません。簡単に言うと与えられた時代を一生懸命生きる以外にないんですね。

おおた:
本当ですね。

近藤:
そして世の中、どんどんどんどん変わっていきますから、柔軟な考え方、色々な価値観を許容できるようなそういう柔軟性も必要だというふうに思います。で、その時に必要なのは、今の時代は何を求められているんだと。学習することも大変大事なのですけれども、でもね、体力。気力、そして知力――知識と言ってもいいのですが。3つ、どれも必要なんですが、お母さんたちにも言っているのですが、まず「(1)を間違えないでくださいよ」と。

おおた:
(1)

近藤:
自分なりの体力がなければ、気力を増そうと努力をしてもどこかでへたりますよと。知力も出てきませんよと。全部大事だけれど、まず、体力。自分に合った体力なんですよね。自分に合った体力、弱い人は弱い人なりに体力を増していく、こういうことをまずやってください。その中から気力が出てくるから。そして、最後は知力。気力と体力をもって知力を大いに自分の中に育てていただいて。その上での将来。生きる力というのが出てくるんじゃないかなと。これを八雲学園では説明会でも保護者会でも生徒たちにも言い続けています。

おおた:
本当ですよね。どうしてもこういう複雑な時代に生きていると、倒錯してしまう、何か結果の部分、先生が(1)というふうにおっしゃった最後の成果の部分に速くいこうとする、それがゆえに(1)をすっ飛ばしてしまって土台が揺らぐという。その中で体力気力が充実していないのに「速く成果を出しなさい」と求められた子どもたちは辛くなってしまって。

近藤:
そうです。消耗してしまう。

おおた:
ですよね。その(1)を間違えないでくださいねと。そしておそらくその、体力もその人なり、気力もその人なり、その進み具合・歩みもその人それぞれのあるかと思いますけれども、そこで成果を急ぐんじゃなくて(1)にその人なりのペースで歩いていけば、その人なりの知力を得て3つが揃い、そしてそこに将来を生きていく力というものがその人なりのものが備わるはずなんだという。そうしたら、その人なりの素敵な人生、満足できる人生というものをきっと生きることができますものね。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

懸命を「賢明」に変え、前を向いて明るく生きよう

近藤:
はい。生き方として、100年選べない時代を生きるので、一生懸命頑張るということは大事ですけれども、もうひとつ、けんめいという言葉は「賢明」という言葉もありますよね。たとえば自分が困難にあった時もああだめだとへたるのではなくて、頭で色々なことを考えて、こんなことができるのかなということを考えながら、前を向いて明るく生きるということが心の中もそうなんですけど、大事かなと。

おおた:
そうやって賢く明るくふるまって、逆境においてもそこに対して前を向いて、ふるまって、またその人なりに乗り越えることができた時っていうのは、それがものすごく自信になるし自分の人生の一部というふうに強く感じられますしね。

近藤:
そうですね。

おおた:
なるほど。一生懸命のけんめいを賢く、明るくというふうにとらえるという。ああ、面白いですね。ありがとうございます。校長室訪問、今回は八雲学園中学校高等学校の校長、近藤 彰郎先生にお話をうかがいました。近藤先生、ありがとうございました。

今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
(私たちが責任をもって文化放送さんにお届けします)

こちらのフォームにご入力をお願いいたします↓↓