開智日本橋学園中学・高等学校 一円 尚校長先生のお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
開智日本橋学園中学・高等学校(東京都 中央区)の校長、一円 尚先生のお話です。

番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。

Topics1:学校の概要

何ごとにも積極的にチャレンジ!安心して失敗できる環境

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは開智日本橋学園中学・高等学校の校長、一円 尚先生にお話をうかがっていきましょう。一円先生、よろしくお願いします


開智日本橋学園中学・高等学校
一円 尚 校長先生(以下、一円):

よろしくお願いします。

おおた:
まずロケーション的にはどういったところにあるのか教えていただけますでしょうか?

一円:
東京都中央区にある私立の学校でして、中央区にある学校はうちしかないんですね。

おおた:
そうですか!

一円:
私立はそうなんです。結構いろんな形で支援をいただいています。実際には、私立は中央区内とは関係ないのですけれども。

おおた:
唯一の学校だったらそうなりますよね。知らなかったです。

一円:
場所は、JRと都営浅草線の浅草橋駅から徒歩3分。馬喰町駅総武快速線の馬喰町駅からも徒歩3分です。3分というのは結構いい感じの距離なので、通いやすい学校じゃないかなと思います。あとは、都営新宿線の馬喰横山という駅から徒歩7分で、秋葉原からも10分ちょっとで歩けますので、つくばエクスプレスなどで秋葉原に着いてそこから歩いてくる子も結構います。(リスナーの)皆さんがどこに住んでいらっしゃるのかによりますけれども、交通の便は比較的よろしいのではないかと。

おおた:
かなり広い範囲から通学を。

一円:
東京・千葉ももちろんそうですが、埼玉も。いろいろなところから通っていただいています。

おおた:
周りの環境的にはどういう場所なのでしょうか?

一円:
下町という感じではあります。ただ、浅草橋は「人形の町」と言われていて、人形を売っているお店がたくさんあるんですよね。昔からの伝統工芸品、革細工の店とか、そういった店がたくさんあるので、昔ながらの江戸情緒というか…雰囲気は、とっても。近隣のお店の方からも色々な形で本校は支援をしていただいて、とてもありがたいです。

おおた:
確かに、江戸情緒っていうのはほんとにぴったりな言葉かもしれません。
学校の雰囲気、校風はどんな感じですか?

一円:
おおらかな校風じゃないかなと感じています。(中略)生徒には、勉強もそうなんですけれども、自分の関心があることには何ごとにも積極的にチャレンジしようよと(言っています)。私としては色々なことに挑戦を――失敗してもいいから色々なことに挑戦して、(そして)失敗してもいい、安心して生活できるような環境を作っていこうと。そういった学校の雰囲気であることをお伝えできればと思っております。

「自ら考え、判断し、主体的に行動する」が合言葉

おおた:
そういった場所にある開智日本橋学園さんですが、現在の学校の特徴としてどんなところが挙げられますでしょうか?

一円:
これは話し出せばきりがないのですが、ひとつだけ、一番のところを申し上げます。

本校には合言葉があるんです。「自ら考え、判断し、主体的に行動する」という文言です。うちの生徒はみんな意識しているし、我々教員もものすごく意識している。先生にあれをやれこれをやれと言われて動くのではなくて、次に何をするべきか、また、何をしてはいけないかは自分で考えて判断して行動しましょうと。それがうちの学校の一番大きな特徴です。

いろんな場面を生徒たちに自分で考えてやりましょうよと。たとえば部活動も、練習メニューなども全部自分たちで考えてやりましょうよと。学校行事も僕ら先生が作るんじゃないよね、君たちが自分のためにやるんだから、どういうふうにやればいいか、体育祭や文化祭も自分たちで考えてやりましょうよと。これを徹底的にやっています。これがうちの一番大きな特徴です。

要するに、(私たちは)ロボット人間を作りたくないんです。

おおた:
ロボット人間。

一円:
ロボット人間。指示待ち人間。言われなきゃ動かない。(今は)社会人でもそういう方々がいっぱいいるというのが特徴だと思うので…。(でも)この後、ロボット社会になってくるんですよね、世の中。いろんな場面でAIやらロボットやらそういうのが世の中に出てくる中で、「私は言われたことだけできますよ」ってそれで活躍できるわけがない。そうではなくて、状況判断とか次はどういうことをここでやればいいのかとか、そういうことを考えて動けるような人材を作りたい。これが本校の一番大きな特徴といえます。

校則も自分たちで決められる。活動することが楽しい学校

おおた:
そういうメッセージを常に発しながら教育している学校の雰囲気はどんな感じですか?

一円:
もちろん、私もことあるごとに生徒にこれを言っていますし、現場の先生たちもそれに基づいて生徒たちと色々接しているので、よく外部の方がうちの学校を、うちの生徒を見ておっしゃっているのは「明るい」「楽しい」と。この2つをよくおっしゃるんです。

明るい、楽しい。なんか押さえつけられて敷かれたレールの上で自分が動くのではなくて、自分でできる。それこそ学校の校則も全部自分たちで決められるというそういう学校なので、活動していて楽しい学校なんじゃないのかなとそういうふうに見ていて思いますし。まぁちょっと自慢になってしまうのかもしれませんけれども、明るく楽しんで学校生活を送っているなという子が多いんじゃないのかなというふうに思います。

おおた:
自分の内側から湧いてくる自発性を認められていれば、人間っておのずと明るく楽しそうに振る舞いますからね。

一円:
おっしゃる通りなんですよ。これが基本中の基本ですね。

おおた:
今の子どもたちは元気がないとか暗いとか言いますけれども、いやそれは周りの環境のせいなんじゃないのと。

一円:
本当にね!いや、いいことおっしゃいますね。本当にそう思います。

おおた:
ですよね。なるほど、それでは生き生きと子どもたちの個性が発揮されて、明るく楽しく、そしてだからこそ、時々騒々しく。大変でしょうけれども(笑)。

一円:
そうそうそう(笑)。いいんですよ。

おおた:
なんとなく想像がつきますよ。

一円:
でね、もうしょっちゅう、生徒は失敗しますよね。でも、いいんですよ。失敗しながら学べばいいので。

おおた:
本当ですよね。

一円:
失敗を恐れて何もやらせないというのはよくない。そこをものすごく大事にしています。そういう学校ですね。

おおた:
その雰囲気が先生の語り口からもすごく伝わってきます。

一円:
ありがとうございます。こんな学校です。

Topics2:沿革

時代を切り拓くDNA+ノーベル賞受賞学者の探究の精神

おおた:
そういうすごく明るく楽しそうな雰囲気の学校だということですけれども、この学校、そもそもどういう生い立ちからどのようにして作られてきたのか、ちょっと歴史の部分も教えていただきたいのですが。

一円:
これがちょっと難しいんですけれども、もともとは(本校は)日本橋女学館という名前の女子校だったんですよね。これの創立は1905年という日露戦争があった時ですから、非常に長い歴史を持っている。今これで開智学園という母体に2015年から変わって。そこから私は校長をやり始めたので、歴史が変わってはいるんです。ただ、日本橋女学館については、当時明治時代ですから女子教育というものはあまり重視されていなかった時代。その中で「いや、やはり女性の教育をしなければならない」とそういうふうに地元の有志、商業をやっている方が中心になって建てたのがうちの学校。ですから、時代の先端を行くんですよね。

おおた:
だからこの江戸情緒というぐらいの――当時はもっともっと江戸だったのでしょうし、1905年ってまだまだ――その中で商人たちがたくさんいる町の中で「女子であっても商いを学ぼう」という趣旨で作られた学校…

一円:
そういうことです。時代を切り拓くというような。そのDNAは間違いなく引き継いでいると思います。

もうひとつ、うちは開智学園という――開智学園はノーベル賞をお取りになった大村智先生、2015年にノーベル生理学・医学賞をおとりになった大村先生が実は開智学園の名誉学園長をやっていまして。開智という名前、実はこの大村先生に付けていただいたという歴史があるんです。

おおた:
ああ、そうなんですか。

一円:
大村先生のライフワークというかポリシーが、先ほど私が申し上げた「自分で動く」ということで。勉強も人に教わるんじゃないよと。自分で動くんだよと。これを「探究」というふうに我々は呼んでいるんですけれども。探究というのは、提唱していただいたのが大村先生で。しっかり引き継いだ上で、先ほど私が今申し上げた主体性、これも勉強においては「探究」という言葉になる。自分で勉強するということです。というような教えは、しっかり受け継ぎながらやっている。そういうような。

おおた:
なるほど。ノーベル賞受賞学者さんの探究の精神を直で引き継いでいるという。それはすごいですね。それを聞いただけでも。

一円:
だから今、学習指導要領で探究という言葉が出てきていますけれども、うちの学園はそれよりはるか昔から探究ということに取り組んでいるという。(中略)埼玉の開智中学・高等学校は開智学園のスタートですけれども。

おおた:
その時に、大村先生が名前を決めるときに関わったと。

一円:
そうです。そこからもう探究が始まっていて。それをより、うちの新しい学校で徹底してやろうということであったのが、この開智日本橋学園(です)。

おおた:
なるほど、よくわかりました。

MYPとDP、両方の課程を持つIB校

自分で勉強しようよ、自分で興味を持って自分でやろうよ。これを徹底的にやっている学校ですね。で、これって簡単にはできないんですよね。生徒に「興味を持って勉強しなさい」なんていくら言ったって…

おおた:
そうですよ、そうなんですよ。だからこれ、文化としてそれを作る雰囲気を作らないと。言葉で「探究をしろ」って言ったってできないですからね…。

一円:
文化もそうですし、授業でどういう仕組みを取り入れるかとか。こういうノウハウが詰まっているのが「IB」なんです。探究的な学びをやりたくて、うちは。

おおた:
リスナーさんの中には「IB」がわからない方がいらっしゃるかもしれないので補足しておくと、IBというのは国際バカロレア(インターナショナルバカロレア)、略してIBと呼ばれますけれども、ヨーロッパを中心として中等教育、大学に入る前の教育において行われている国際規格のプログラムみたいなものですよね。IBは高校の3年間だったりすることが多いと思うんですが、

一円:
正確に言うと中1から…本当を言うと小学校6年生からなんですが、中1から高1までの4学年がひとつの課程でMYP(Middle Years Programme)、高2と高3の2学年はDP(Diploma Programme)といわれる過程です。MYPとDP、両方やっているのがうちです。両方ともできているのは…

おおた:
珍しいんですよね。IBと言った時に、最後の2年間のを指している学校ではすごく増えています。その手前のMYPと呼ばれる段階も一緒にやっているというところはまだ。

一円:
まだ珍しいです。

おおた:
東京で2つというのは…?

一円:
東京都の私立の中で。

おおた:
そうやって浅草橋の土地で女性のための商業学校として始まったと。それはたぶん地域の文化も影響しながら作られた学校であって。そのDNAを引き継ぎながら、ノーベル賞受賞の大村先生の探究の精神を直で受け継いでいるハイブリットの学校であると。

一円:
はいその通りでございます。要約していただきました!

おおた:
しかもIBにも対応していて、すごい学校だと思います。

Topics3:保護者様へのアドバイス

お子さんの主体性を育むために――ご家庭へのお願い

おおた:
この開智日本橋学園流の教育のエッセンスみたいなものを何か一般のご家庭でも取り入れるヒントみたいなものを、ちょっと無茶を言って申し訳ないんですが、いただければと思います。

一円:
ちょっとくちはばったいのですけれども…
先ほど私が申し上げた「自分で動く」というのは、たぶんうちは一生懸命取り組んでいるのですけれども…そしてうちだけではなく、今日本中の学校がそういう生徒を育てようとたぶん思ってきていると思うんです。

その一方で、大変申し訳ない言い方なのですが、ご家庭の雰囲気は果たして子どもたちを自立させるようになっているのかどうかというあたりは…少々疑問を感じることがあるんですね。

もちろん、我々は子どもたちを学校の中でしか見ていなくて、ご家庭のお父さんお母さんは、子どもをすべて見ているわけで。「うちの子は自分で全然動けないからダメ」みたいな感じの感覚をお持ちになるのはそれはとてもよくわかるんですけれども、ただ、やはり子どもを自立させるということは、保護者の方はやはりちょっと今一度考えていただくというのが私はとても必要なこと(だと思っているんです)、

たとえば、(本校では)中学1年生で入学してすぐにガイダンス合宿に行くんです。そこでしばしば起きることが、たとえば生徒に「君、これを持ってきたか」と聞いたときに「いやわからない。荷物は全部お母さんが詰めてくれたから、僕わからない」と。学年が上になっても、宿泊行事でトランクに荷物を入れてトランクの鍵をお母さんが勝手にかけちゃって、それを知らずに本人が来てしまって、鍵が開かなくて困っちゃう。これ、現実に起きていることで。

なぜこれが起きるかというあたりを、もうちょっと子どものことを(1)して自分のこと・自分でやるべきことは自分でやらせるようにしてあげるような家庭環境を作ってあげないと、自立や主体性みたいなものは育めないんじゃないのかなと。私はそう思います。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

おおた:
今、すごくキーワードがあるなと思ったんですが。

「もう少しお子さんのことを信用して」とおっしゃいました。だけど親御さんとしては「いやいや、でもそうやって失敗しちゃったらどうするの」「(目的地に)着いてからからあれが足りない。これが足りないなんて困っちゃったらかわいそうだから、私がやってあげましょう」ということをおっしゃってると思うんですが、それが子どもを信用していないと。仮にそこで何か詰め忘れたものがあって現地に行ってからあぁどうしようとなっても、そこで子どもが対応すればいいわけじゃないですか。

一円:
そうなんですよ。おっしゃる通りなんですよ。それでいいんじゃないかという話で、そこで失敗したから学ぶことってたくさんありますよね。

おおた:
失敗したところでそれをちゃんとリカバーできるという信用があればおおらかに見守ることができるんだけれども、でも根本の前提として子どもを信用できていないというのが問題なんですよね。それをいうと「だって(うちの子は)まだまだこんな未熟なんだから仕方がないじゃないですか。どんなエビデンスをもって信用したらいいんですか」というような反応があるのかもしれませんけれども、親から子どもに対する信用・信頼って、何かしてくれたから与えるものではなくて、こっちからも前払いをしないと成り立たないものかなぁと。

一円:
本当におっしゃる通りだと思いますよ。

おおた:
先生のお立場からはなかなかご家庭のことに(対して)ちょっと(この内容を)言うのも微妙な立場かも知れませんけれども、今すごく重要なことをアドバイスをいただきました。自分で動けるように、自立させるように導かなければいけないし、そのためにはまず親が子どもを信用してあげなければいけないと、そういうメッセージかなと思います。

一円:
そう思います。本当にそう思います。

おおた:
校長室訪問、今回は開智日本橋学園中学・高等学校の校長、一円 尚先生にお話をうかがいました。一円先生、ありがとうございました。

今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
(私たちが責任をもって文化放送さんにお届けします)

こちらのフォームにご入力をお願いいたします↓↓