この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。
配信内容を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。
番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。
今回お届けするのは、
日本大学豊山高等学校・中学校(東京都 文京区)の校長、松井 靖先生のお話です。
番組の聴取は下記より↓↓
【大切なお願い】
※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。
クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。
この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!
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Topics1:学校の概要
自分の好きなことを楽しみ、お互いを認め合い受け入れる
おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは日本大学豊山高等学校・中学校の校長、松井 靖先生にお話をうかがっていきましょう。松井先生、よろしくお願いします。
日本大学豊山高等学校・中学校
松井 靖校長先生(以下、松井):
よろしくお願いいたします。
おおた:
(中略)まずは学校がどんなところにあるのか、立地や最寄りの駅などを教えていただけますでしょうか。
松井:
本校は日本大学豊山高等学校・中学校、東京都文京区大塚、駅でいいますと地下鉄有楽町線の護国寺駅の出口から徒歩「15秒」…
おおた:
目の前ですものね。
松井:
もう雨が降っても傘をさす必要がないぐらいの距離のところにありまして。「多少の雨が降っても傘をささないのは、イギリスの紳士か豊山の男子か」といったような…
おおた:
(笑)
松井:
…そんなところにございます。護国寺という大きなお寺さんの一角に位置しておりまして、その護国寺さんも、隣に皇族専用の墓地である広大な「豊島岡御陵」があるのですが、そちらに隣接していますので、都心にありながらも、タヌキでも住でいそうな、そんな緑豊かな環境にあります。
おおた:
本当ですよね。あの一帯は、都心ではあるのですけれども、高い建物もちょっとあの一帯だけないですものね。
松井:
そうですね。
おおた:
そういった場所にある日大豊山さんですが、最近の学校のご様子はいかがですか?
松井:
コロナも終息したとまではまだまだ言えない状況ではありますけれども、学校行事のほうは通常に戻りつつあります。4月までは生徒にも「大きな声を出してはいけないよ」とか「密になって行動してはいけないよ」と指導していたこともあり、4月までは校内もなんとなく静かな雰囲気でしたけれども、今は特に行動制限も設けていませんので、休み時間や放課後などは、特に声変わり前の中学1年生の一桁高い周波数の声というか…
おおた:
(笑)
松井:
というか、超音波級のですね、楽しそうな声が校舎中に響き渡っているとそんな状況でございます。学校行事も通常に戻しつつありますけれども、毎年夏休みに行っていた17日間の海外語学研修も再開することになりました。
おおた:
ああ、よかったですね!
松井:
先日、参加希望者を募ったのですけれども、コロナ前だと定員ちょうどか定員より若干多めにとどまっていた希望者だったのですが、今回は倍率も定員の3倍を超える非常に多くの生徒が応募してきました。
おおた:
コロナ以前ですと「まあ行こうと思ったらいつでも行ける」とそうは思っていなかったでしょうけれども、海外で勉強ができるということの価値の高さは、コロナ禍を経験したからこそ反動的に盛り上がっているかもしれませんね。
松井:
そうですね。円安とか国際情勢もこのような状況ですし、物価高もある中で、見積額も例年の1.5倍ぐらいになり、これは集まらないだろうなと思っていたらとんでもない、3倍を超える人数が集まりました。
おおた:
そうですか、素晴らしい。
松井:
本校は、先ほども申し上げましたように、駅から徒歩15秒と交通の便がいいということもありまして、東京都内はもちろんですけれども、埼玉だとか千葉だとか神奈川など、通学範囲が非常に広範囲にわたっていますね。そんなこともあって、色々な生徒がいるかなと。元気な生徒もいれば、男子校だけれどもおとなしい生徒もいますし、スポーツが得意な生徒もいれば苦手な生徒もいる、そんな中でやっていますけれども。
本校はマスコミや受験雑誌でもそうなのですが、スポーツの強豪校として紹介されることが多い学校なのですが、事実、本校の水泳部は非常に頑張っていまして、高校なんかは特に全国4連覇・5連覇とか。一昨年の東京オリンピックにも現役の生徒が出場しており、確かにスポーツの強豪校として紹介されることが多いには多いのですが、
その一方で、スポーツからちょっと離れて、この間はヘラクレスオオカブトをギネス級の大きさに育てて話題になった生物部の生徒もいますし、鉄道部なんかは鉄道模型のジオラマを作って鉄道の専門雑誌に紹介されたり。スポーツ以外でも頑張っている生徒がいるという感じで、コロナもあけてそういう活動もずいぶんできるようになってみんな頑張っているといます。
さまざまな生徒がいる中で、自分の好きなことを思いきり楽しむと。そしてお互いの趣味や特技、特長を認め合って受け入れることのできる、そんなおおらかな生徒が多いんじゃないかな、そういう学校じゃないかなと思っています。
Topics2:沿革
「強く 正しく 大らかに」
おおた:
学校の中の生き生きした様子が伝わってきましたけれども、そういった日本大学豊山さんの学校の歴史についてもうかがえますでしょうか。
松井:
まず、学校の歴史を語る上で(お話しなければならないのは)校名ですよね。豊かな山と書いて「豊山(ぶざん)」と読むのですが、この由来からお話しますと、明治36年、今からちょうど120年前になるのですが、真言宗の「豊山派」という仏教の宗派が、その宗派の子弟(ご子息ですね)の教育機関として、大本山護国寺の敷地内に旧制の豊山中学校を開校したのが始まりということなのです。
おおた:
なるほど…
松井:
そういうことですので、当時は宗派の教育機関として、お寺の跡継ぎを育てるといった要素が強い学校だったようなのですが、その後、昭和29年に学校運営が、宗教法人から学校法人日本大学に移って、今では宗教とはまったく切り離された日本大学の附属中学・高等学校となって現在に至っています。
おおた:
昭和29年ということは太平洋戦争のあとということですね。
松井:
そうですね。だから来年でちょうど、日本大学としての創設から70周年を迎えます。運営が日本大学へ移行する話し合いの中で、歴史ある豊山という名前はなんとか残してくれませんかという(話があり)それではぜひ残しましょうということで、そのまま豊山という名前が引き継がれました。
おおた:
そういうことでしたか。知りませんでした。
松井:
たぶんどこの学校でも、それぞれの学校の創立者・誰々先生というのがあるのかなと思いますけれども、本校に限らず、日本大学が直接運営している直属の――正付属高校・正付属中学といいますけれども――それの多くは他の学校であるような創立者=誰々先生という人物が実はいるわけではなく。
運営大学である日本大学の創立にかかわった明治政府の初代司法大臣、いまで言う法務大臣にあたると思うのですが、山田顕義(やまだ・あきよし)伯爵を学祖として、「自主創造」という日本大学の教育理念のもと、それぞれの付属校がそれぞれの校訓を定めてそれに基づいた教育を展開していると、そういうことになります。
おおた:
それで、学校の校訓としては?
松井:
それぞれの付属校が自主創造のもと校訓を作っているわけなのですが、そんな中、本校は「強く 正しく 大らかに」を校訓にしまして。全国に26の日本大学の付属校があるのですが、その中の唯一の男子校として、本校の旗印に教育を進めているところでございます。
Topics3:保護者様へのアドバイス
「最良のサポーター」になってあげてください
おおた:
そういった歴史的背景をお持ちの日大豊山さんですが、その豊山さんの教育のエッセンスを、なにか一般のご家庭でも取り入れるヒント、あるいは子育てのアドバイスのようなものをいただければと思うのですがいかがでしょうか。
松井:
今、特に東京オリンピック以降でしょうか。ジェンダーフリーやダイバーシティという言葉が叫ばれている昨今ですが、そんな中で男子教育というと、その言葉だけがひとり歩きしてしまって「今の世の中ではちょっと時代遅れなんじゃないの」と思われる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれないと思います。これは男子校だけじゃなく女子校も同じようなところがあるのかなと思っておりますけれども。
その誤解を解くためにも申し上げておきたいのが、ジェンダーフリー、ダイバーシティが求められる今の時代だからこそ、人間教育を展開できる学校であるということではないかなと思います。
男子校の豊山でしかできない、他の共学校ではとうてい真似のできない人間教育が行われているという自信、自負がございます。
私自身も日大豊山高校の卒業生なのですが、私自身が豊山で育んだ自分なりの人間力についてちょっと紹介したいと思います。実は私、スポーツ強豪校といわれる日大豊山の生徒でありながら、スポーツは大の苦手で、体育の授業とか体育大会はなるべく自分に順番が回ってこないように逃げ回っていたんですね。
特に、水泳(が強豪の)豊山なのですが、私の最も苦手なのが水泳でして。泳ぐどころか水に浮かぶのも一苦労といった大の運動音痴。そんな私が高校時代にはまったもののひとつに、アマチュア無線という趣味があるんです。
今はインターネットの時代ですからすたれてしまった趣味なのですが、当時は「趣味の王様」と呼ばれるほど空前のブームでした。豊山高校に在学中は、物理部に「無線班」というのがありまして、私はそこに所属していたのですが、自宅から大きな無線機を持ち込んで、当時の古い校舎の屋上に竹竿と針金を使ってアンテナを張って、世界中の人と交信したということであります。
放課後、授業が終わると、たとえば隣の席に座っていた野球部の生徒は甲子園を目指してグラウンドに行くし、こちらの隣にすわっていたバスケットボール部やバレー部の生徒はインターハイを目指して体育館へ行くし、水泳部の生徒は世界大会を目指してプールへと練習に向かう中、私はどうかというと、仲間と一緒に電子部品を買い漁りに秋葉原の電気街へ(笑)。
おおた:
(笑)
松井:
まさに、元祖秋葉系オタク、そんな感じでしたね。こんな活動の中で、自分なりの人間力を育むことができたのかなと思っています。おそらくはたからみれば、なんてオタクな青春時代だろうと思われるかもしれませんが、実は、当時のクラスメートたちはそんなオタクの私たちは、他の運動部の生徒たちと分け隔てることなく受け入れてくれました。
もしかしたら共学校だったら煙たがられていたのかな、そういう存在だったのかなという私でしたが、男子校の豊山ではしっかりと市民権を得ることもできましたし、プロとか大学のスカウトに注目されるほどの野球部の生徒とか、オリンピック候補になっていた水泳部の生徒とか、そんな子たちも私のオタクな趣味に興味をもって、何かにつけて色々と話しかけてくれました。
そういった同級生たちの中には、その後、大手のホテルチェーンの生え抜きの社長になった野球部のOBもいますし、オリンピックの競泳の日本代表の監督も務めて今は日大の教授をやっている水泳部の友人もいますし、政治家としてある自治体の首長を務めているクラスメートとか、映画監督が私の代で2人いましたかね、ヒット曲を手掛けているクラスメートもいると。
そんなクラスメートも、卒業から半世紀経っていますけれども、あんなに目立たないオタクだった私と今でも付き合ってくれるということでしょうかね。
おおた:
何か、子育てアドバイスのようなものはいただけますか?
松井:
たとえばスポーツにもいろいろな競技、種目があるのと同じように、たとえば、同じ陸上競技でも短距離もあれば長距離もあり、高跳びもあれば砲丸投げもあるのと同じように、人間力にもいろいろな人間力があるのではないかなと思います。
うちの子は「ここは得意なんだけれどもここな苦手で」とか、「うちの子はちょっと変わっていて」なんてことがあるかもしれませんけれども、それはもしかしたら、大きな(1)になるんじゃないかなと。たとえば競技人口が少ないスポーツなんかは、その競技をリードしていくようなパイオニアになる可能性を秘めているのと同じように、その分野のエキスパートとして活躍できる(1)となり得るのではないかなと思います。
<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉の組み合わせは何でしょう?
松井:
ですからご家庭でもぜひ、自分のやりたいことを自由にやらせてあげる、そんな環境を整えてあげることも大事なのではないかなと思いますので、ぜひ「最良のサポーター」になってあげてもらいたいなと思います。
おおた:
ありがとうございます。親心としてはつい、なにかメジャーなところに行って欲しいとついつい思ってしまって、子どもの好みが理解できなかったりということもあろうかと思いますが、ニッチでもいいから好きなことを突き詰めていくことを応援するサポーターであってほしい、そんなアドバイスかなと思いました。
校長室訪問、今回は日本大学豊山高等学校・中学校の校長、松井 靖先生にお話をうかがいました。松井先生、ありがとうございました。
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