この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。
配信内容を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。
番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。
今回お届けするのは、
ドルトン東京学園中等部・高等部 (東京都 調布市)の校長、安居長敏先生のお話です。
番組の聴取は下記より↓↓
【大切なお願い】
※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。
クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。
この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!
※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。
Topics1:学校の概要
「ハウス合宿」を実施しました
おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それではドルトン東京学園中等部・高等部の校長、安居長敏先生にお話をうかがっていきましょう。安居先生、よろしくお願いします。
ドルトン東京学園中等部・高等部
安居長敏校長先生(以下、安居):
はい、よろしくお願いします。
おおた:
(中略)まず学校がどんなところにあるのか、最寄りの駅や周りの環境を教えていただけますでしょうか。
安居:
住所で言うと調布市になるのですが、もう東の端、世田谷区に隣接をしております。一番近い駅は小田急線の成城学園前駅、そこからバスで6分程度です。
学校の周りがちょうど森になっていまして、国分寺崖線という小高い丘の上にあるんです。本校の校舎半分がずっと森で覆われていて、その向こうが若干、崖(がけ)になっているような、そんな立地です。
おおた:
ああ、いいですね。
安居:
そうですね。都心に近いといいながら森があるんか、みたいな感じで。
おおた:
そうですよね。しかも抜けている都いうことですよね、向こう側が。いいですね。
安居:
抜けてます、抜けてます。もともと某通信会社の土地だったもので、それが一気に売りに出て、一から整地をして校地を作ってあるので。周りにそんな大きな建物もないし、新しくできた建物が何棟か集まった一角みたいな感じです。
おおた:
そういった恵まれた立地にあるドルトンさんですが、最近の学校の様子を教えていただければと思うのですがいかがですか?
安居:
開校して5年目になって、まだ全学年揃ってはいないんですけれども、本校は縦割りの「ハウス」というもので学校生活を生徒たちが送っているんですね。で、先日、5月25・26日と、これまでコロナでなかなかできなかった「ハウス合宿」というものを1泊2日で(実施しました)。
中1から高2までの5年生までが、伊豆の修善寺と千葉の九十九里浜と山中湖に、3方面に分かれて2つのハウスずつが、生徒が独自に企画した1泊2日の合宿をやって。一番象徴的だったのが、高2生・5年生の両ひざの上に中1の男の子が乗っかってごはんをたべていたみたいな写真があって。ああ、ハウス、縦割りはいいよねみたいなそんなイメージでした。
おおた:
それは面白い光景です(笑)。ほかにも何かございますか?
安居:
ラボというか探究の時間をカリキュラムの中に組み込んでいるので、外部の人と一緒になってたとえば映画製作をしたり、色々なイベントをやったりということがだいぶ深まってきたような、そんな感じです。
Topics2:沿革
学び方は自分で決める。それが「アサインメント」
おおた:
そういった活気のある学校の様子が伝わってきたわけなんですけれども、まだできて5年ということなのですが、どういった経緯で作られた学校なのかですとか、5年とはいえ、歴史――コロナとだいぶ重なっちゃってるのであれですけれども――どういう歩みを経てきたのかですとか、学校の教育理念ですとか、あるいはドルトンってそもそも何なのかということを含めておうかがいできればと思うのですが。
安居:
承知しました。学校名が「ドルトン東京学園」という、この校名に、今おおたさんがおっしゃったことが全部込められていて。
まず、後ろに「東京学園」と付いているのは、前身の学校が「東京学園高等学校」といって目黒にあった、130年ぐらいの歴史のある商業系の男子校だったんですね。初めて日本で私立の商業高校を作ったという、初めて何かに挑戦した学校だったというので。そしてそこの学校が男子校で、将来どうするかみたいな話になって、そこで河合塾と話がまとまって。
ドルトンというのはアメリカで100年前に生まれた「ドルトンプラン」という教育なのですが――おおたさんも本に書いてくださったように――50年ぐらい前に名古屋と東北沢で幼稚園、ドルトンスクールを河合塾がやっていて、それの上をつなぐ中高ができたらいいねと。小学校はアフタースクールで引っ張っていましたので、そういう思いが結果として形になって出来上がったということで。
おおた:
どうですか、この5年間はどんな5年間でした?
安居:
毎年、1学年ずつ中1が入ってきて…というふうな中で、先生も順番に、生徒にあわせて人数を増やしていくという立て付けできたのですが、ドルトンプランそのものが、正解がないというのか、形があるものではなくてあくまで原理・理念なので、それを日本の一条校の枠組みでそんなにぶっとんだことはもちろんできないわけで。文科省のいわゆる学習指導要領に基づく範疇で、コンテンツはその通りなんだけれども、学び方、生徒の学びに向かう姿勢をドルトンプランそのものの「自ら考えて行動して結果を積み上げていく」という、自分ごとにするということを、ずっと試行錯誤しながらやってきた、そんな感じです。
おおた:
ドルトンプランについてご存じないリスナーの方もいらっしゃると思うので、ベースのドルトンプランというのはどういう理念のものなのかをうかがってもいいですか?
安居:
すみません、(説明が)遅くなって。ヘレン・パーカーストという女性が100年前に、当時のアメリカがいわゆる工業社会で、ロボットのような次の働き手を生み出すということで、画一的なことを子どもに徹底するということをやっていて、それに疑問を感じたパーカーストが「鋳型にはめない」――子どもというのは自由な考えでやりたいことを深堀りできる環境を与えるのが学校の使命です、ということで、「自由」と「協働」という2つの大きな原理をもとに。
自由というのは、学びに向かうところが自由。自分のとことん納得いくまで時間をかけて学びに没頭できるという自由がある程度保障されている。協働というのは、とはいえすべてのことをひとりでできるわけではないので、他者と協働してより良いものを目指していくというふうな、そういう社会性を育むのが大事だということで、その二本柱。それを「ハウス」「アサインメント」「ラボラトリー」というもので具体化する。
ハウスというのは縦割りの異学年の集団で、色々な生活を送るという意味。アサインメントは教科の学びと考えていただいていいのですが、これこれの教材を1か月間であなたはするのよといったら子どもたちが、じゃあ私は数学が得意だからこれはちゃちゃっとやっちゃおう、この日までにやろう(と。そして)時間がかかるやつは毎日コツコツやろうといって、自分がどういうふうな形で学びに向かうか、それを仕上げるかを子ども自身が自分のペースで考えてやれるという。それを先生と契約=アサインメントするという。ラボというのはそれをとことん深めるような実験室が自分にもあるという、そんな感じです。
おおた:
ラボラトリーは直訳すれば「実験室」という言葉ですけれども、別に理科のことを言っているわけではなく、教科の実験室。専門の教室があって。
安居:
そうです、そうです。だから部活動もラボの一種みたいなとらえ方をしていて。たとえばサッカーが好きな子はサッカーを探究する。だから、うちの場合は部活動というのも「試合に出て勝つ」ということが目標ではなくて、そのスポーツを楽しんだり深堀りするということも含めて部活動と位置付けています。
おおた:
よくわかりました、ありがとうございます。
Topics3:保護者様へのアドバイス
子どもは大人が思う以上に気づき、感じています
おおた:
そういったユニークな教育、理念に基づいた教育をおこなっているドルトン東京学園さんですが、その教育のエッセンスをなにか一般のご家庭でも取り入れるヒント、あるいは子育てのアドバイスのようなものをいただければと思うのですがいかがでしょうか。
安居:
本校の教員もそうですが、大人が、自分の価値観が――持っていますよね、大人は――それを子どもに「こうしたらいいよ」「こうするべきだよ」と子どもに、大人のロボットみたいにさせるのではなくて、普段の学校生活もそうですが、子どもに「どうしたいの」「どういうふうにあなたは考えているの」「次はどういうふうな道を進むの」とすべて(1)で子どもに問いかけることを大事にしているんですね。
<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉の組み合わせは何でしょう?
そこで子どもたちは自分で考えて、ああそうか自分はこうしたいんだったよな、じゃあこういうふうに調べてこういう行動をしようかといって、自分で考え、調べ、決めて行動して、そのリフレクション、振り返りを自分で内省して…というそのサイクルを繰り返す。その時に自分だけでは足りないものを、他者に「壁打ち」をするように質問したり尋ねたりアドバイスをもらうという。そういう、学校の中で学びに向かう姿勢が家庭でももちろん、家族に対してとかきょうだいに対して同じようなことでいけると思いますので。
大人が決めたレールに子どもを乗せない。
まず、レールを敷かないということかなと思いますね。
おおた:
大人、特に親は、もう無意識のうちに子どもの前にレールを置いてしまって、ああ、いけないいけない、と(なりがちです)。
安居:
それはよかれと思ってたぶん置かれているんだろうと思うし、親心はもちろん、私も人の親ですのでわかりますが、そこをちょっとぐっと我慢をして。今の時代はそのレールが必要かもしれないけど、子どもが将来、5年後・10年後、どんな時代になっているか、どんな社会かわからないから、レールは何本でもおいておこうとか、そのレールはもっと柔軟でいいんじゃない?みたいな。そんなイメージかなと思うんですけど。
おおた:
そのレールが仮にうっすら置いてあっても、子どもの意思で方向を変えられるようになっているとか、そういう柔軟性が必要だということですね。
安居:
そうです、そうです。
おおた:
さっきから(言われていることは)、自分で「考えて」「調べて」…?
安居:
「決めて」「行動する」その結果を自分で振り返る。このサイクルの繰り返しです。
おおた:
今、5つ挙げていただきました。考えて、調べて、決めて、行動して、振り返るという、大きくわけるとこういう段階があるわけですが、その都度、その都度、周りで見ている大人としては「あなたはどうしたいの」と。こうしなさい、ではなくて疑問形で尋ねてあげることによって、子ども自身が自分の中にあるものに気づいて次のステップにいけるように寄り添ってあげると。先ほど先生は「壁打ち」なんて表現もされていましたけれども、そういう「壁」になってあげる。
安居:
やわらかい壁、柔軟な壁、あたたかい壁…かな?
おおた:
ですね。そういうスタンスで親御さんがお子さんに接してあげると、ドルトンプラン的なエッセンスがご家庭の中でも少し取り入れられるのではないかと。
安居:
子どもって、大人が思う以上に気づいているし感じているし、待つというのが大人は結構苦手かもしれませんが、じっくり子どものやることを見たり、待ったりしてあげると「できるな」というのは思いますよね。
おおた:
ほんとですよね。逆に驚かされるというか、先回りしようとしていた自分はなんと愚かだったんだろうと(思ったり)。
安居:
そう。子どもたちに気づかされるというか、自分をこう、ああそうかそういうこともあったんだよなとか、新たな発見を子どもからもらうって結構あったりしますものね。
おおた:
ありますよね。よくわかりました、ありがとうございます。
校長室訪問、今回はドルトン東京学園中等部・高等部 の校長、安居長敏生生にお話をうかがいました。安居先生、ありがとうございました。
今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
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