この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。
配信内容を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。
番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。
今回お届けするのは、
武蔵野大学中学校高等学校 (東京都 西東京市)の校長、中村 好孝先生のお話です。
番組の聴取は下記より↓↓
【大切なお願い】
※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。
クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。
この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!
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Topics1:学校の概要
スポーツパーク、そして図書館機能を備えた学習棟を新設
おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは武蔵野大学中学校高等学校の校長、中村 好孝先生にお話をうかがっていきましょう。中村 先生、よろしくお願いします。
武蔵野大学中学校高等学校
中村 好孝 校長先生(以下、中村):
はい、よろしくお願いします。
おおた:
(中略)まず学校がどんなところにあるのか、最寄りの駅や周りの環境を教えていただけますでしょうか。
中村:
本校は東京都西東京市にございます。最寄りの駅といたしましては三鷹駅、武蔵境駅、それから吉祥寺駅からはバスがたくさん出ております。それから、田無駅からは歩いて15分ぐらいの距離のところにもなっております。環境としましては、大学と同じキャンパス内、キャンパスを共有しておりますので、非常に自然豊かで広大な土地の中に学習環境があるといった感じでございます。
おおた:
大学と一緒で、すごく緑が豊かなきれいなキャンパスですよね。
中村:
はい。
おおた:
学校の最近のご様子はいかがでしょうか。
中村:
実は学校法人武蔵野大学は来年、2024年に100周年を迎えるのです。この100周年に向けて、今、大学も中高も一緒になって、キャンパスの色々なところに100周年を記念したような装飾などがお目見えしてきておりまして。特に中高に関して言えば、これはパンフレット等にも載せておりますが、新しい施設を2つ作ることにしておりまして。
ひとつは地下に400台の自転車がとまる駐輪場を完備したスポーツパーク。地下の上がスポーツパークで、人工芝、バスケット、バレー、ハンドボールができる運動施設ですね、そういったものをつくる。そしてもうひとつは、現在うちは大学と一緒の図書館になっておりまして、実は学校を一歩出てから改めて入るという立地にあるのですが、これをようやく大学と中高で分離しまして。中高のほうは図書館機能を備えた新しい学習空間として4階建てのガラス張りの最新鋭のデザインを模した新しい空間を作ります
おおた:
一棟新しく作るんですね、中高用に。
中村:
そうです、そうです。スポーツパークが来年、新しい図書館機能を備えた学習空間の4階建ての建物が再来年できる予定になっています。
おおた:
楽しみですね。
中村:
あとは、今のは施設面ですが、生徒の様子が一番だと思うのですが。
おおた:
ぜひ。
中村:
私は就任3年目になっておりまして、昨年は「熱量」をテーマにしまして、やはりコロナ禍で失われてしまった色々な学校ならではの行事とか取り組みがありますが、それをできる限りの中でどうやって熱量をあげていってあげられるか、非常に大事なことだと思うんですね、健全な育成のために「熱量をあげていく」ということに昨年から取り組んでおります。
去年の例で言えば、文化祭、うちは「樹華祭(じゅかさい)」と申しますが、樹華祭のあとに後夜祭という、まさに大学みたいですが、夕方に集まって全員がペンライトを持って非常に盛り上がるイベントをやったり。
おおた:
それはもともと学校の文化としてやっていたことだったんですか?
中村:
いややっていないです。
おおた:
新しく。
中村:
はい、生徒の熱量をあげてあげようと。いかなる教育活動にも熱って必要だと思うんです。受験においても体力とともに熱量が非常に重要になってまいりますので、あらゆるところでプラスの成果がでるような形で我々としては熱量をあげていこうと。
こういう活動をしますと、色々なところに気づいたり物事をやったりできる子どもがどんどん増えて行くのではないかなと思っています。プレゼンをする子たちというのが非常にうちは多いんですね。中1の時から色々な学習をしておりまして、オープンスクール等でも本人たちが司会をし、取り仕切ってやってくれたりしています。
一方で、派手なところだけではなくて、私はこれを一番の、本当に誇りに思っているところですが、ちょうど去年だったか、お手紙をいただきました。学校に。ちょうどうちの学校の正門を歩いていたお母さまと小さなお子様が転んでしまったと。うちの学校の目の前で。ちょうどうちの生徒がそこを通りかかって、すぐ「どうしたの」「大丈夫だよ」と声をかけて、持っていた絆創膏を貼ってくれたと。そういう姿、一つ一つの姿がうちの学校に熱量とともに息づいているところじゃないかなと思っていまして、そういうお手紙をいただく、親切とか思いやりとか、そこに表れているというのは非常に嬉しいし、そういったお手紙をいただくことがあります。うちが派手なところだけではなくて一番大切にしたいところを生徒が実践してくれているかなと思っています。
おおた:
本当ですね、そういったとっさの時に体が動くかどうか、そういう体ができているかどうか、すごく難しいし口で言って伝わるものではないと思うので、日々の生活の中でそういった身体性が培われていくものだと思うんです。そういった身体性をもった生徒さんたちがいらっしゃるという。
Topics2:沿革
仏教精神を根幹とした人格の育成を理想とする学校
おおた:
そういった武蔵野大学中高さんですが、もともと、どういった方がどういった目的で作った学校なのか、歴史の側面から教えていただいてもよろしいですか?
中村:
本校の学祖は高楠順次郎(たかくす・じゅんじろう)というかたです。1866年に生まれた国際的仏教学者です。仏教精神を根幹とした人格の育成を理想に掲げて、武蔵野女子学院がうちの母体なのですが、それをつくられたかたです。女子教育の必要性と女性の社会進出を約100年前に問われて、それを形にすることをされたかたです。
お生まれは広島県の現在の三原市です。私もこんなこと本当にあったのかなと思うのですが、もともとは農家の沢井家というところのお生まれで、高楠、それは簡単にあとでご説明しますが、7人きょうだいの長男なのですね。ですから旧家だったそうなのですが、なかなかそれでも生活は余裕があったわけではなかったみたいで、14歳で小学校の教員として働き始められています。
その後、21歳の時に西本願寺が京都に創設した、現在の龍谷大学にあたるところに入学されて、そこから養子に行かれるんですね、神戸に。そこが高楠家で名字が高楠になられたと。その後は高楠家の援助でオックスフォード大学に行かれたり。帰国したあとは東京帝国大学、現在の東大で教鞭をとられたりされた。非常に行動的でもありグローバルで活躍されたかたでございます。
おおた:
当時海外に留学というのはケースとしてありますが、オックスフォードに留学というのはなかなか珍しかったのではないでしょうか。
中村:
はい。本当に常に新しいこと、新しいことをグローバルの視点から見られた方なので、だからこそ、世界基準でみられた時に、日本では女子教育がまずこれからは必要になるということを…と想像しております。
おおた:
おそらくそういう海外も見た上で、では我々の精神の拠り所というところもあって仏教を学問分野としても専門化していったというところもあるのでしょうか。
中村:
龍谷大学さんにおられた時にそのきっかけはあるというふうに思いますね。
おおた:
学祖がまずすごい、そこから女子教育が必要だということで作られて、今は大学まである総合学園になっていると思いますがどんな順番で?
中村:
もともとは武蔵野女子学院からのスタートなので、中高が最初なんですね。しかもそれがどこにできたかというと、築地本願寺はおわかりでしょうか、築地本願寺の中に最初は作られたわけなんです。その後、短大、短大が改編して大学に代わっていくという流れなのです。
おおた:
なるほど、ありがとうございます。
Topics3:保護者様へのアドバイス
ありがたいなという感情を持ち、苦しいなと思うことをやりとげ…
おおた:
そういった歴史を持つ武蔵野大学中高さんですが、その教育のエッセンスを一般のご家庭でも取り入れるヒント、あるいは子育てのアドバイスのようなものをいただければと思うのですがいかがでしょうか。
中村:
ありがとうございます。先ほど申しましたように、学祖が仏教者であったこともありまして、本校は、浄土真宗のみ教えを教育活動の基盤にした宗門校と言われるものです。
おおた:
宗門校ですね。
中村:
はい。当然入学したら宗門に入らないといけないということでもなんでもなくて、我々の基盤はそこにありますよということなのですが、これを毎朝、放送で朝拝(ちょうはい)を全校生徒がやるんです。
その中に、これは放送で流れるんですが、そのなかに、ぜひ、こういう時代、AI時代だからこそ人としての関わりとか想いとかチャレンジも含めて大事なものを私たちは毎朝聞いております。それが学祖が奨励しています「五戒」――いましめというよりも諭すということで教えてくださっているのですが――これが皆さん本当に改めて基本に思っていただきたいなと、いい言葉だなと思いますので、ちょっとこの5つを読み上げますね。
おおた:
ぜひ教えてください。
中村:
・今日は少なくとも一度、ありがたいなという感情を持ちましょう。
・今日は少なくとも一度、苦しいなと思うことをやりとげてみましょう。
・今日は少なくとも一度、人に譲りましょう。
・今日は昨日よりも新しい、何かの知識や技能かを自分のものにいたしましょう。
・今日は少なくとも一度、にこやかに語りましょう。
という5つを毎朝、本校の生徒、もちろん教員もですが、聞いております。これがずっと伝統的に本校で大切にされて続いていることでございます。
おおた:
すごくシンプルだけどいいですね!これを毎朝、こうやって自分に語り掛けていたら、どこかでそうしようと思いますものね。
中村:
たとえば朝、たとえば気分がイライラしていても、こういう言葉を聞くことによって心を落ち着けて一日のスタートを切っていく、こういったものは非常に、全部5つじゃなくていいのですけれども、そういうことを各ご家庭でやるというのはひとつ、何かしらいいんじゃないかなと思いましてご紹介させていただきました。
おおた:
とてもいいですね。あんまり年頃になってから押し付けられると親子の関係だと難しいというところもあるかもしれませんが、それこそ小さな頃からこの5つ、今日もこれを頑張ろうねと言いながら、一日が終わって夕食を食べながらとか寝る前なんかに、どんな時に有難いなと感じた?とかちょっと苦しいなと思ったのはどんなこと?やりとげた?とか、どんなところで友達に、お年寄りに、小さい子に譲れた?だったり、どんなことが今日できるようになった?身に付けることができた?どんなふうに楽しい時間をにこやかに過ごすことができた?なんて、この5つの要素を親御さんが意識して聞いてあげるだけでもだいぶ違いますよね。きっとね。
中村:
違うと思います。どんどんAI化して目に見えない人ともつながっていくことができる、それがしかも国内だけでなく世界中とつながれる、なかなか保護者の方が自分のなかで全部を知ることは難しい時代になってきておりますが、だからこそ、お子様たちが(1)していくために、各ご家庭で大切にしたいことを常に語り掛けておくと、そういうことを意識するという習慣があると、たくましく育って行ってくれる、そういったところに不安とか思わずに「うちの子は大丈夫」というふうな形でできてこないかなと思っています。
<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉の組み合わせは何でしょう?
おおた:
親自身が「うちの子は大丈夫」と。親自身の不安が軽減される、それは重要ですよね。
中村:
今見ていますと、保護者のかたも子どもさんをより信頼することも大事だと思いますので。
おおた:
おっしゃるとおりです。非常にいい5つの観点をいただいて、私も明日からやろうかなと。今日からやらないとですね。そう思いました。ありがとうございます。
校長室訪問、今回は武蔵野大学中学校高等学校の校長、中村 好孝生生にお話をうかがいました。中村先生、ありがとうございました。
今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
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