実践女子学園中学校高等学校 湯浅 茂雄 校長先生のお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
実践女子学園中学校高等学校 (東京都 渋谷区)の校長、湯浅 茂雄先生のお話です。

番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

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Topics1:学校の概要

渋谷駅徒歩10分、緑豊かで運動会も開ける校地

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは実践女子学園中学校高等学校の校長、湯浅 茂雄先生にお話をうかがっていきましょう。湯浅先生、よろしくお願いします


実践女子学園中学校高等学校
湯浅 茂雄 校長先生(以下、湯浅):

よろしくお願いいたします。

おおた:
(中略)まず学校がどんな場所にあるのか、最寄りの駅や周りの環境を教えていただけますでしょうか。

湯浅:
本校は渋谷区の文教地区にございます。渋谷駅から徒歩10分、表参道駅から徒歩12分というところです。六本木通り沿いにありまして、実践女子大学・同短期大学部と同じ校地にあります。青山学院と國學院大學に隣接しておりまして、静かで緑豊かな校地です。

この緑豊かな環境は、本校が皇室の御料地(ごりょうち)を頂戴したということもあると思います。明治32年には麹町の元園町(もとぞのちょう)に創立されたのですが、生徒が多く集まって手狭になりましたので、新たな校地が必要となり、明治36年に現在の校地に移転してきました。

運動会もこの校地でできます。また、3階建ての体育館ではたとえば高等学校3学年全クラス対抗の球技大会を同時開催できるような広さがあります。ですから、渋谷駅から10分という場所にありながら、緑豊かで静かでゆったりとした環境は、初めて本校を訪れてくださる保護者の皆様や生徒さんが必ず驚かれるポイントです。

そのような場所にあります。もちろん近くには、渋谷の地名にも関わる、金王八幡宮(こんのうはちまんぐう)でありますとか、渋谷の氷川神社もごく近くにございます。

おおた:
そういった立地にある実践女子さんですが、最近の学校の様子についても教えていただけますでしょうか。

湯浅:
本校の生徒はとても礼儀正しいです。身についていないとすぐにはできないことだと思っておりますが、本校の生徒はしっかりとあいさつができます。また、思いやりの気持ちを行動や言葉で表現できるやさしい生徒たちで、誇らしく思っています。そのような生徒たちがのびのびとした環境で切磋琢磨できる、という環境自体が自慢できる教育環境だと考えております。

最近の出来事としては、本校は昨年11月にユネスコスクールに認定されました。渋谷区の中高一貫校としては本校が初めての認定でございます。ですので、今年度から本格的にその活動が始まっております。

生徒たちがユネスコ委員会を作って、生徒主体で自主的に世界的な課題、問題に取り組んでいます。たとえば、今年は6月5日が「世界環境デー」だったのですが、それにあわせて翌週の1週間を「実践環境WEEK」として、特にプラスチックごみとどのように向き合っていくかという問題について、中高全校でさまざまな角度から考えていきました。秋には、10月11日に「国際ガールズ・デー」があり、そこに向けた準備を進めているところです。

おおた:
先生、ひとつうかがってもよろしいですか?ユネスコスクールはどのような条件を満たせば認められるものなのでしょうか。

湯浅:
まずひとつは、生徒の――教員がいくら言っていてもだめなのです――生徒の主体的な活動をユネスコ本部の理念に従って、SDGsもそうなんですね、すぐには解決ができないようなものについて問題意識を戦わせて――考え方っていっぱいありますがそれを否定せずに、自分の考えをまとめて発表していくという取り組みです。

おおたさんが聞いてくださったように、ユネスコスクールに至った背景がありまして。本校の目玉のひとつに探究教育の授業を実践する「未来デザイン」という授業があるのですが、それが母体となっていまして。現在では、25名の先生方、もちろん専門も教科も年齢も男女も違うのですが、25名の先生方で教科横断型の授業を展開しているものです。単発のものではなくて中1から高2まで体系的にプログラムが組まれています。

おおた:
素晴らしいですね。

湯浅:
たとえば高1では、海外を含む選択制修学旅行をこの3月に実施できたのですが、生徒それぞれがこの「未来デザイン」で培った問題意識をもって場所を選んで、沖縄とシンガポールとニュージーランドなのですが、それぞれの問題意識で国を選び、問題意識を深め、現地で学んで、さらに問題意識を高めて。

(そして)高1では体験するわけですが体験しっぱなしではなく、高2で発表できる内容に仕上げて、講堂で、ちょっと負荷のかかる場面で発表をして完結する、このような未来デザインの取り組みが高く評価されて、ユネスコスクールの認定に至りました。申請すればもらえるというものではないんです。

おおた:
ですよね。

湯浅:
取り組みが評価されての認定です。

おおた:
単発のものではなく、しっかりとそうした特徴のあるカリキュラムに地道に時間をかけて体系的に取り組んでいることが評価されての。

湯浅:
そうですね。数学の先生が数学を教えるわけではないので。大変、先生のチームワークも大切と思いますけれども、生徒が本当によく自主的に動いてくれていると思います。

おおた:
とてもよくわかりました。ありがとうございます。

湯浅:
あと、少し付け加えたいのは…

おおた:
お願いします。

湯浅:
渋谷に立地していることを活用しない手はないので、渋谷という立地を生かした企業連携や授業のプログラム、留学生をたくさん招いての異文化体験プログラムを、渋谷でフィールドワークをやって、普段私たちが気づかないような外国の方から見た違和感や面白さということを勉強することであったり、渋谷という立地を生かした教育プログラムを(実施しています)。

おおた:
いいですね。

湯浅:
もうひとつは、本校は併設校を持っているということも特色ですので、実践女子大学、短期大学部との連携もこの3年間でものすごく進んでまいりました。

おおた:
いわゆる高大連携ですね。

湯浅:
そうですね。生徒もそれこそ「未来デザイン」の授業にも大学の先生が問題によっては参加して、あるいは講師として授業をしてくれるような形もできるようになっております。

おおた:
渋谷という立地、大学が併設されているという2つのリソースを活かした教育が行われているということですね。

湯浅:
はい。

Topics2:沿革

若き女性の大きな志。高い志が本校の原点

おおた:
そういったユニークな教育実践をされている実践女子さんですが、どのような方がどういう問題意識を持って作られた学校なのか、生い立ちの部分もうかがっていってよろしいでしょうか。

湯浅:
本校は明治32年(1899年)、近代女子教育の先駆者のひとりである下田歌子によって創立された学園です。今年度で125年の歴史がございます。

下田歌子は、まだ明治ですので、いまだ女性の社会的地位がほとんど問題とされなかった時代において、いち早く女性の地位向上を目指した方です。そしてその基礎が女子教育にあることを確信していた人物でした。

下田歌子は安政元年(1854年)――ペリーが2回目の来航を果たして日米和親条約を結んだ年なのですけれども――、岐阜県恵那市岩村という城下町で、「知新館(ちしんかん)」という藩校がございましたが、その教授職であった平尾鍒蔵(ひらお・じゅうぞう)という方の長女として生まれました。

5歳で和歌俳句を詠み――その短冊が実際に残っておりますけれども――7歳にして漢籍を読み始めたと伝えられています。とても聡明な長女で、勉強をしたかったのですけれども、女性ゆえに藩校で学ぶことはできなかったということで、女性の学び舎が欲しいという思いが募っていたようです。

明治4年に16歳で東京に出てくるのですね。お父さんは先に東京に行っていましたので、そのあと、ふるさとを離れます。そのあと皇室に入ったりするわけですが、その折、下田歌子少女は高い志を抱いて上京しました。志(こころざし)を遂げることができないのならば私は二度とふるさとに帰らないという強い決意を表明した歌が残っています。この志は、28年後に、女性のための学び舎である本校を創立することで結実します。

その点から本校は、若き女性の大きな志。高い志が本校の原点であることをとても大切に考えています。

もう1点、教育理念がありますが、明治32年に本校を設立する文章の中で

 まことに揺籃を揺がすの手は、
 以て能く天下を動かすことを得べし

(と言っています)。揺籃(ようらん)、すなわちゆりかごを揺する手――当時では女性の手ですよね――女性の手、母の手が世の中も動かすんだという言葉を述べていまして。

今風に学園で言わせていただいているのは「女性が社会を変える、世界を変える」(です)。こういう志をもって学んだことを活かし、実践し、世の中に貢献しなさいと。それが建学の精神、「女性が社会を変える、世界を変える」というのが本学園の建学の精神です。

そして、この建学の精神にのっとって、中高の具体的な教育方針としては、下田先生の人柄そのものだと思いますが、「堅実にして質素、しかも品格ある女性の育成」を掲げています。なので生徒たちは「良識を養い、実践を尚び、責任を重んずることを日常の心がけとする」ことをずっと教育目標としてやってきました。そうしたところからこの学校の姿がございます。

おおた:
下田歌子さんって非常に有名で、すごくエネルギッシュな女性だというイメージがありますが、まさに下田歌子さんをロールモデルとしたような教育が行われているということかと思います。

Topics3:保護者様へのアドバイス

挑戦こそが「志」を見つけだすきっかけとなる

おおた:
そういった実践女子さんですが、その教育のエッセンスをなにか一般のご家庭でも取り入れるヒント、子育てのアドバイスのようなものをいただければと思うのですがいかがでしょうか。

湯浅:
先ほど本校の原点が「若き女性の高き志」だということを申し上げました。少しこれにからむのですが、すぐに変わるような志は志とは言わないと思います。やはり、長く続く思いでなければならないと思いますし、私利私欲だけに関わるようなものも志ではないと思います。

そして志は、遠くを見つめる目を持っていると考えます。ですから、志はすぐに見つかるものではないかもしれませんが、高い志を追求することはとても大切だと思うんです。

ですから、お子さんが決して自分の(1)を小さく見積もらないように応援していただきたいと思いますし、失敗するかもしれませんけれども、さまざまなチャレンジをさせてあげていただきたいと思います。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉の組み合わせは何でしょう?

テスト

湯浅:
その過程でたぶんお子さんは色々なことに挑戦させることによって今まで気づかなかった自分を発見することになると思います。志を見つけることにつながると思います。

これは単にご家庭の問題ではなく、さまざまなチャレンジをする機会を設けるのは学校の役目でもあると思うんですね。ですので、生徒さん達がさまざまな体験やチャレンジをできるように、さまざまな工夫や努力をしております。

その際に、ご家庭との連携が欠かせないと思うんですね。ご家庭と学校が手を携えてお子さんの高い志の醸成に取り組んでいきたいと思っています。

おおた:
さまざまなチャレンジといってもなかなかご家庭の中で用意できるチャンスは限られてしまうところがあるでしょうから、そういうところは学校という組織・機関を上手に使ってと言いますか、学校がすごく頼りになるところがあろうかと思います。家庭が学校と連携し、協力し、力を借りながら子どもにさまざまなチャレンジをしてもらえる環境を学校とご家庭が連携して作っていこうと。

もともと最初から「これがやりたい」というような明確な志がない人も、目の前にある色々なチャンスを活かしてチャレンジをしていく中でこそ志が見つかるのではないかと。

湯浅:
はい。そのような手助けをする。生徒さんが色々なチャレンジができる場であるのが学校の役目であると思っておりますので、それは学校だけ動いてもできないので、保護者の皆様との連携がやはり欠かせないと思っております。

おおた:
そしてチャレンジをすれば当然失敗するわけで、そこも当然、ご家庭が理解しなければ子どもたちがチャレンジできなくなってしまいますので。

湯浅:
お父様お母さまは心配ですから、ちょっと先取りしてしまってチャレンジにならないことも多いかなと思いますので…

おおた:
世の中の色々な子育ての本や記事を読むと「成功体験」と言われがちなので、失敗させてはいけないんじゃないかと思うかもしれませんが、特に思春期の多感な時期はどんどん失敗をして、それはどんどん宝になっていきますから。

それをご家庭も理解して、学校はチャレンジをして失敗してもいい場所だと親御さんこそがご理解いただくと、子どもたちが自らの志に気づくチャンスが増えていくというお話とうかがいました。


校長室訪問、今回は実践女子学園中学校高等学校の校長、湯浅 茂雄生生にお話をうかがいました。湯浅先生、ありがとうございました。

今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
(私たちが責任をもって文化放送さんにお届けします)

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