2020年5月30日に実施された、聖学院中学校の学校説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
1. Only One教育
スクールモットー清水先生(副校長):
本校は、Only One for Othersというスクールモットーを持っております。場所は山手線の駒込駅にございます。他者のために、社会のために、本当にかけがえのない一人ひとりの賜物を生かしていく人間を育てる、そういう学校でございます。
オンリーワンという言葉は、大変もてはやされる言葉になりましたけれども、それよりもナンバーワンという言葉もよくお聞きになるのではないでしょうか。
子供たちが育つ中で、人よりも速く、速く。そして一番になること――もちろんそれも大事かもしれません。しかし、お子さんが生まれて今日に至るまで、かけがえのない大切な存在としてお父様・お母様はお育てになられたと思います。子どもたちにはそれぞれの「宝」があります。聖学院は、その宝を、学校で見つけ、育み、そして他者のために用いる、そういう人になってほしいと考えております。
3つの力―人間力・思考力・国際力今の時期だからこそ求められる力は、この3つの力(=人間力・思考力・国際力)と考えております。国際力は言わずもがなですけれども、思考力、そして人間力、どのような時にあっても最終的には人柄が重要になってきます。
では中学高校の6年間、どのように育つのでしょうか、。
男の子たちの中には――ひょっとしたらこれは男の子だけではないかもしれません――若者に共通する言葉のひとつは、自分に自信がない、あるいは自分自身の価値や生きる意味に大変悩む時期ではないでしょうか。
お子様はこれからこの6年間のなかで思春期を迎え、人生の土台をどういうふうに作ればいいのかを大変悩む時期になります。だからこそ、自尊感情であったり、自己肯定感をしっかりと育むことが重要になります。
校名の由来
聖学院という学校は、114年前にこの駒込の地に創立されました。
学校名も聖学院という学校名は「聖学」の「院」と、初代校長の石川角次郎先生が命名しました。聖人を生み出す学校として、キリスト教の教えを根幹にし、聖書の教えをしっかりと毎日ひもときながら、一人ひとりには神様がおつくりいただいた最高傑作として「賜物」があるということに気が付いてほしいと考えています。
キリスト教にはいくつかの宗派がございますが、本校はプロテスタント校です。青山学院さんや明治学院さんと同じようなプロテスタントの男子校です。
「神を仰ぎ、人に仕う」という建学の精神は、まさに聖学院が114年間、最も大事にしてきたことがらでございます。
毎朝の礼拝本校では、毎朝礼拝の時間をもちます。わずか15分ですけれども全校生徒が講堂(チャペル)に集まって、心を静めて1日を始めるのです。
申し上げましたように、多感な時期です。友達とうまくいかないこともあるでしょう。朝、お母さんに小言をいわれる時もあるでしょう。なぜ自分はこんなことができないんだろう、人と比べて自分はどうなんだと思うこともあるのではないでしょうか。
しかし聖書の言葉、神様の言葉は一人ひとりに呼びかけます。
そしてともに祈ること、自分自身に与えられた賜物に「あなたが」気が付くことが重要です。
ああでもない、こうでもないと言われることが多いと思います。けれども、男の子たちは心の中で自尊感情がしっかりと芽生え、「こうする」と思えた時に、神様が自分を育ててくださっていることに感謝する思いが聖学院の子どもたちの中に芽生えてくるのでございます。
男の子の特徴さてここで、男の子の特徴を3つほどお出ししたいと思います。
毎年多くの生徒たちと出会わせていただきますけれども、特徴的なことがあります。
■ゆっくり
ひとつめは「ゆっくり」だということです。特に小学校の上級学年から中1中2の頃には、教育学の方から言わせても、男の子と女の子では、スピードが違うと言いますが、お父様、お母様いかがでしょうか?
男の子たちのゆっくりさというのはむしろ悪いことではなくて、このスピードを私たちは大事にしたいと考えています。やらないのではないのです。男の子なりのスピードがあります。男子校として、男の子たちのスピードを教員たちはしっかりと受け止めて、確実にのびる・確実に育てることに、中1、中2の時は特に注力しております。
■プライドが高い
男の子のプライドはどこに根拠があるかわからないとおっしゃるかたもありますが、突然、こんなことがやりたい!あんなことがやりたい!と言うのも男の子です。夢を持つということもあるかもしれません。それが今の現実とかけ離れていることもあるでしょう。しかし――特にお父様は、一度や二度は自分のプライドや夢をまわりの人に「僕はこんなふうにするんだ」「あんな人になるんだ」と話し、皆に「えー」と言われた経験がおありでしょう。そのプライドは、男の子を自信とそして努力につなげていきます。
■頑固
3つ目は頑固だ、ということです。この頑固も、プラス評価をすれば「一度決めたことは自分でしっかり続ける」ということにもなります。6年間の生徒たちの成長を見ていると、まさに自分で一度決めたことをやり通す。その力強さも男子にはございます。
こういう男の子の特色を私たちはしっかりと踏まえながら、一人ひとりのかけがえのない賜物をまずは生徒自身が気づき、教員たちも一人ひとりのその素晴らしさにともに気づきながらそれを引き出して育むことを大事にしています。
聖学院という学校で自分自身の土台(をつくる)6年間を過ごして欲しいと思っています。どの子にもやればできる、素晴らしい宝が神様から与えられているのです。ぜひこれからの貴重な6年間でそれらを伸ばしていただきたい、発見していただきたいと考えています。
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