日本女子大学附属中学校 椎野校長先生のお話・穴埋め式まとめノート②

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
日本女子大学附属中学校(神奈川県川崎市多摩区)の校長である椎野秀子先生のお話(全4回)の第2回です。

※その他の回をお読みになる場合は、下記リンクをご利用ください。(配信後、順次追加していきます)
第1回  第3回   第4回


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。

Topics1:創立の経緯

日本初の総合的な女子高等教育機関として創立

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
(前略)今回は対談の2回目ということで、日女(日本女子大学附属中学校)さんという学校が、どんな創立者がどんな問題意識で創立した学校なのかという歴史の部分からひもといていきたいと思います。

日本女子大学附属中学校
椎野秀子
校長(以下、椎野):
ありがとうございます。これ、お話し出したら止まらないんですけれども(笑)、創立者は成瀬仁蔵(なるせ・じんぞう)と申しまして、女子校ですけれども男性の創立でございます。1901年に日本で初めての総合的な女子の高等教育機関としてスタートいたしました。

私が嬉しく思うのは――この時は大学は女性のためのものではなかったので、正式名称は「日本女子大学校」なのですけれども――女子大学校ができると同時に附属の高等女学校もスタートしている。つまり、スタートから一貫教育の学校であり、それが脈々と、ちょうど120年続いているということでございます。

おおた:
今回は(この番組の)10分ほどで約120年分の歴史をお話いただくということで…

椎野:
そうですね!

おおた:
まずは、日本初の「総合的な」というところで言うと、たとえば英語だけとかそういう高等教育機関は以前にもあったけれども、色々なことが学べる、いわゆる総合大学というような形での女子大学は初めてだったということですね?

椎野:
はい。なんとなく自然発生的に5人とか10人から始まった…というのではなく、1901年の最初の創立のところで、女学校の生徒を入れて(1)名の規模で始まっているんです。

そして「日本の改革には女性の教育こそ大切」という創立者の考えになんとか賛同してもらおうと政財界を巻き込んで、成瀬仁蔵の気持ちが日本中につながり、志(こころざし)を持った女性たちが日本中から集まってきてスタートいたしました。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

創立者・成瀬仁蔵先生の思い

おおた:
先生、ひとつ質問していいですか?成瀬仁蔵先生はどのようなバックグラウンドの方なのでしょうか。

椎野:
もともとキリスト教の牧師をしていらしたのですけれども、まず大阪で女子教育を、そして新潟で女子校を作ったりされ、(その後)(2)に留学して女子学生たちがのびやかに本当の学問をしている様子を知った時に「日本は遅れている。(このように)人間をきちんと育てていく女性の教育機関なくして国は興らない」と考えた人物です。

おおた:
大阪では梅花学園の先生でいらっしゃったのですよね。

椎野:
そうです、そうです。

おおた:
プロテスタントの中でも「会衆派(かいしゅうは)」と言われる、同志社とか神戸女学院と同じ系列の。プロテスタントの中でもよりリベラルな教派ですよね。

椎野:
はい。そうした宗教心のあつい牧師というスタートなのですが、(創立する時に)ひとつの宗教に特化した学校としてあることよりも、もっと大いなるところ…というのでしょうか、入り口は色々なところで(中略)宗教心や大いなるものへのまっすぐな気持ちや、そこに自分を照らしてということは大事なのですが(中略)、入り口をひとつに狭めていないところで教育をすべきだと考えたのが本学の始まりでございます。

<確認クイズ>
(2)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics2:建学の精神

「自念自動」

おおた:
建学の精神や理念はどういったところにあるのでしょうか。

椎野:
一番最初に掲げましたのが「自念自動」――自分で念じて自分で動くというもので、「念じる」という字はかなり強いイメージを伝えるかと思うのですが、それを中学校の言葉でいうと「自ら(3)、自ら(4)、自ら行動できる」人を育てる、となっています。

私が(中略)すごいなと思うのは、成瀬は、亡くなる直前に告別講演というものを開いているのですが…

おおた:
これは(成瀬先生が)自分の死期を悟って、その直前に、最後に皆さんに伝えたいことがある、と講演会を開いたという…?すごいですね…。

椎野:
そうです。その当時、死を悟って、自分の生き方や死生観を考えながら「いよいよ、このあとを継いでいくのはあなたたちこの学校で育っている娘たちだ」というメッセージを、亡くなる1カ月ちょっとぐらい前に、(生徒たちを)集め、大隈重信とか色々な人物を前にして1時間ぐらい話したというようなことがあって。

<確認クイズ>
(3)(4)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

「三綱領」

椎野:
そこ(告別講演)の後半のところで、学校の「三綱領(さんこうりょう)」と呼ばれる「信念徹底」「自発創生」「(5)」という言葉が成瀬によって出てきたと言われています。

おおた:
(中略)まさに魂の講演会だったわけですね。

椎野:
ありがとうございます…素敵な(表現を)。まさに魂の講演会だったと。

おおた:
今でてきました「三綱領(さんこうりょう)」とは…

椎野:
「信念徹底」する自分自身の生き方と、内から湧いてくる「自発創生」の気持ち。そして、自分を貫いていこうとする時に――前回(第1回)でご紹介した3年生のスピーチではありませんが――「(5)」(つまり)社会の中で自己を活かしていくということなくして、自分の信念徹底はできないという形で。

よく成瀬が言う言葉に、あなたの天職――生きる道というのは職業に限らないと思うのですが――はなんだろうかと思った時に、私達が日々、中学生の生活であっても「(5)」という最後の言葉があって初めて、ふくらんで、広がって、世の中に通用していって活用できる力になっていく…というのはあるなと思っております。

<確認クイズ>
(5)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

今も受け継がれる創立者の心

おおた:
それはこの番組で前回(第1回)、先生がバイオリンのお話をしてくださいましたけれども――御校では1人1台バイオリンを使って授業をすると。

バイオリンには「これが『ド』である」「これは『ミ』である」といった明確なボタンはないので、音には幅があります。だから自分の音を出し、同時に、周りの皆がどんな音を出しているのかということを聴きながら、それに合わせながら弾かなければいけない楽器だと…

椎野:
そうです、詳しくありがとうございます。やはり、自分の音も大事なのですが、耳で聴いてみんなと奏であいながら自分の音をかい探っていくというその喜びがあって初めて「(6)女性」につながっていきます。

おおた:
ですからまさに今の「三綱領」が、バイオリンという授業の中にも、その魂が今でもそういった形で受け継がれているわけですね。

<確認クイズ>
(6)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

人格を育てる三段階

椎野:
そうですね。成瀬は、学校で何を育てるかといった時に、人格を育ててこそ――人格教育こそ学校の魂だと。(そして)人格を形成するには学びにも3つの段階がある、と成瀬は書いています。

勉強の第一段階は、私達が知識を教えて諭すように、受け止めていく。それを印象・Impressionといって。だいたいその段階で「私、知ってる」となるんですね。勉強ってだいたいそういうものですよね。

でも「知ってる」って本当に知っているの?となった時に、やはりそれは単なる第一段階にしか過ぎなくて。自分の中に落とし込んで、構成し直して「(7)」となる。簡単に言えば「知る喜び」の次に「(8)喜び」がある。その構成していくConstructionの段階が、学びを本物にしていく。

ただし、それでは終わらなくて。これこそ――中学校で実践しておりますけれども――Expression(つまり)発表。それを果たしてこそ、本当の学びとして、学校を作っていく段階が一つひとつ重ねられるというふうに考えます。

<確認クイズ>
(7)、(8)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics3:自治

寮生活の中で育まれた文化

椎野:
発表というと、スピーチのように「口で発表する」ことだけのようですけれども、成瀬は、最初から行動に起こす、活動を含めてのということで考えておりましたので、このすべての、具現化として寮生活が当初からありました。

寮が(9)生活の場所。学生たちが(9)で寮生活をまかなっていくということをしていて。(中略)(今は)寮生活は送っておりませんけれども、中高の生活の根幹の、大きなもうひとつの柱になっています。

おおた:
そうですよね。御校の雰囲気として(9)、生徒会活動もすごく活発で熱心で、というところも拝見しました。

もともと、寮があったのですね。当時、交通も今ほど発展していませんし、家から通うことがなかなか難しかった、その中でおのずと寮に住むことになって。そこで、ただ大人に管理されるのではなくて、生活を自分たちで治めていこうということが学校文化の礎(いしずえ)になって、今にもつながっていると。

椎野:
そうです。

<確認クイズ>
(9)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

おおた:
さきほどお話のあった、人格教育の三段階…3ステップは、最初は教科書どおりの知識を得ていくところから、たとえばひとつの言葉であれば(次のステップでは)その意味を自分の中で再構成する。実感のともなった言葉として自分の中に落とし込んで。それを今度は行動をともなった自分なりの表現として使ってみる。英語でいう「Meaning」から、自分の経験を伴った「Sense」に変えていくという。

椎野:
ああ、はい。

おおた:
そしてそれがExpression――言葉だけでなく行動と先ほどおっしゃいましたし、さらにその行動が連なっていって、ひとつの「生き方」にもつながっている意味を込めているんだろうなと…。すごく深い、そこまでを含めて全部が学びであるよというのが、御校の教育姿勢なわけですよね。


いかがでしたか?
日本女子大学附属中学校の椎野秀子校長先生のお話・次回(第3回)配信分のテキストは こちら からご覧いただけます。


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