昭和女子大学附属昭和中学校 真下校長先生のお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校(東京都世田谷区)の校長である真下峯子先生のお話です。


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。

Topics1:大切にしていること

改革の6年間を過ごした生徒が今春卒業

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは、昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校の校長、真下峯子先生にお話をうかがっていきましょう。

真下先生よろしくお願いします

昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校
真下峯子
校長(以下、真下):
よろしくお願いします。

おおた:
昭和女子中高といいますと、学校の場所は、最寄りの駅はどこでしょう?

真下:
田園都市線の三軒茶屋駅です。
三軒茶屋駅から歩いて7分ほどです。

おおた:
大学と同じキャンパスで。

真下:
そうですね。大学、それから小学校、こども園、中高…

おおた:
全部ひとつのキャンパスになっているわけですよね。

石川:
なおかつ、ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウも隣に。

おおた:
色々な幅広いお子さんたちがそこに集って学んでいる環境の中に、中高もあると。
昭和女子中高ではどういうことを大切に教育を行なっているのでしょうか?

真下:
私は2年前に着任しました。その時に生徒がたずねてきました。

「校長先生、6年間、私達はSHOWA NEXTという動きの先頭を走ってきました。今までの昭和中高は『敷かれたレールの上をちゃんと走りなさい』『はみ出してはいけません』という教育だったのが、『自分でレールを敷いて自分で行きなさい』という教育に変わりました。校長先生が代わったので、そこのところが違うふうになりますか?」と生徒が聞いてきました。

そういうふうにさせてもらえなくなっちゃうんですか?と心配してきたのだと思います(が、)「まったくそんなことはありません。どんどん自分達が考えていいと思うこと、やりたいと思うことを――心配だったら先生に相談しながら――どんどんやってください。チャレンジしてください」と話しました。

私は、女の子たちがもっともっと(1)をもってどんどん色々なことに取り組むといいと思って、ずっとこれまでも教員生活を送ってきました。考えてみれば女子校というのは、言い切ってしまうとジェンダーフリーの環境なんです(男性はいないですから)。やろうと思えばできないことはない、のびのびやって構わない環境なので。

学校が方向転換――もともと基本的な理念は変わらないんですけれども、生徒が自分達で取り組んでいることを大切にしようと、7年前に方向転換を(しました)。(その環境で)育ってきた人たちが今年の3月に卒業していきました。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

思慮ある力強き婦人を育てる

おおた:
その6~7年間で、先生がご覧になった学校の雰囲気はどう変わりましたか?

真下
外から見ている方にお話をうかがうと、昭和というのは固くてしかたがない学校だと…

おおた:
それは「以前は」ということですね。

真下:
はい。「ねばならない」「失敗させない」というふうに先生方が子どもたちを守りすぎていて、子ども達が自分達で何か考えるところまではいかないうちに卒業してしまうというふうに思われていたらしいのです。

ただ、7年前に学校の方向を大転換して、もともとの教育理念――学校設立の理念はどこにあるのかと考えた時に、(中略)創設者が学校を作った時には、第一次世界大戦で荒廃した世の中を背負っていけるような女性を育てましょうと、そういう理念で設立したそうですので。

まさに「思慮ある力強き婦人」と言葉にあるように「頑張れる人になりなさい」というのが、もともとの設立の時の思いですので。それも100年前に。


Topics2:変革

たくましい生徒さんが育つきっかけを作ったのは…

おおた:
(中略)7年前に方針転換――本来でいえば建学の精神に立ち返ろうということなのかもしれませんが――SHOWA NEXTという形で方向転換を明確に打ち出したきっかけ、問題意識は何だったのですか?

真下:

まさにそれは坂東(眞理子)先生です。

おおた:
(中略)(坂東先生が)どのような方なのかを、リスナーの方のためにご紹介いただてもよろしいですか?

真下:
女の子たちが(2)を乗り越えて色々なところで活躍しなさいということをずっとお仕事にしていらして。行政にいらした時も、男女共同参画にいらっしゃいましたし、今は昭和女子大学のほうも改革されていて、大学も大いに変わってきて、チャレンジする学生たちがすごく増えています。坂東先生の呼びかけに応える学生がどんどん出ています。

おおた:
坂東眞理子先生というものすごくパワフルで明るい、リーダーシップのある方が、ある意味旗を振って、きっかけをつくり、そのコールに対してレスポンスをする生徒さんたちが増えてきて、学校の雰囲気が変わっていったということなのですね。

真下:
私が着任した時に「(自分たちが)パイオニアです」と言ってきた(冒頭の)生徒がその見本ですよね。

おおた:
イメージしたようなたくましいお子さんたちが巣立っていったということなのですね。

<確認クイズ>
(2)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics3:沿革

文学者が作った学校

おおた:
先ほど、「もともとの理念に立ち返ろう」といったお話もあったのですが、建学の精神や教育理念、歴史も振り返りながらどうやって現在の昭和女子ができてきたのかというお話をうかがえればと思うのですが。

真下:
学校が今年で創立102年ですので、いつの時代(に設立されたの)かと申しますと、第一次世界大戦で世界が荒廃し、戦争で疲弊した社会が立ち直って平和とか文化とか愛、戦争のない平和な社会を作る、女性がそれを背負っていくのだということで、人見圓吉(ひとみえんきち)という創立者が考えて設立した学校で。

開校の辞に「目覚めたる女性として」「正しき女性として」「思慮ある力強き女性として」という言葉が述べられているんです。荒廃した時代を背負っていくのは女性だと。(中略)世の中を照らせる光となれる女性を育てる学校にしたい、ということで設立されたようです。

おおた:
人見圓吉先生は、どのようなバックグラウンドの先生だったのですか?

真下:
人見東明(ひとみ・とうめい)という別の名前を持っていらして。詩人、文学者でした。トルストイ(注:ロシアの文豪)やタゴール(注:インドの詩人)の教育を、生きていくというそこのところをライフワーク、研究対象にしていらしてご自身の教育理念も作られました。

おおた:
1920年代、第一次世界大戦が終わったあとの日本ですと、ちょうど教育の大衆化も起こってすごくたくさん学校も作られた時期ですよね。ですからちょうどこの数年間は「100周年です」という学校さんがたくさんあるのですよね(笑)。

真下:
そうなんです(笑)。

おおた:
その時は日本の経済がぐっとまた力をつけている時期で、わりと実業家がつくった学校が多いという印象があるのですが、その中において昭和女子さんは文学者がつくった学校だというのがひとつユニークな点ですよね。

真下:
私が前にいた学校もそうなのですが、女子校というとお裁縫学校――女性が(3)つけるというふうにしてできた学校(が多いのですが)、昭和女子大の人見先生は文学者として、教養を持った女性が世の中を背負っていくのだと――すごく素敵なメッセージですよね。

おおた:
もともとは(日本)女子高等学院として作られていて。これは大学が先にあったわけではなく、中等教育――高等女学校の範疇で始まっているということですよね。

真下:
そうです。高等学校ができて、そのあと中学校ができ、大学ができて、こども園ができて初等部ができて。

おおた:
そういった形で中等教育の部分を(日本でいうところの中学・高校の教育)から始まって拡大してきたという、そういう歴史がある学校なのですね。

<確認クイズ>
(3)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics4:親御さんへの子育てアドバイス

良いところを見つけてほめる。そのためには…

おおた:
ではそういった文学者が作った学校――なかなか私も思いつかないぐらい、意外と珍しいケースだと思うのですが――そういった素敵な背景を持っているこの、昭和女子中高流の教育を、ちょっと無理があるお願いかもしれないのですが、家庭の中でもそのエッセンスを取り入れるとしたら、どんなアドバイス・ヒントをいただけるでしょうか。

真下:
ご家庭では、お子さんを大切にしているのは当たり前なのだと思います。でもその大切にする仕方――昭和中高では、生徒たちのことを大切にして、(その大切にするやり方は)なにかというと、何しろ良いところを見つけてほめていきましょうと。

特に女の子ですから、できないことももちろんあるのですが、いいところをどんどんこちらが見つけてほめていきましょうと。見つけるためには、よく(4)いないといけない。(4)なければほめられません。子ども達はリップサービスを見抜きますから。

おおた:
本当にそうなんですよね。下心でほめてもすぐ…

真下:
(それでは)だめですから。要するに、ちゃんと(4)ていて、本当に理解してほめてくれていることが大切。昭和の教員たちはよく(4)、いいところを見つけてほめましょうという教育活動をしています。ご家庭でも同じだと思います。特に思春期の女の子たちは本当に鋭くてリップサービスを見抜きますから。ちゃんと(4)たうえでほめてくれることが自信につながって、自信がひとつふたつ増えて行くことにつながって、たくましくなっていくのです。ですので、ご家庭でよくお子さんのことを(4)て、いいところがあったら急いでほめてあげる。それだと思います。

おおた:
ありがとうございます、そうなんですよね。世の中的にも「ほめる子育て」みたいなことはだいぶ言われるようになっていますが、よくほめると自己肯定感もあがって、だから勉強をするようになるという、そういうなにか損得勘定で親が下心を持ってやろうとしても、これは見事に見抜かれるんですよね。

真下:
そうです。

おおた:
ですから、本当によく子どもをて、最初のうちは「どこがこの子のいいところなのかな」と意識しながら探すのかもしれませんが、だんだん親の見る目が豊かになり、解像度が高くなっていくと、次から次に「あ、すごい、すごい!」というところが見えてくる。

逆に言うと――これは子育てに限らずだと思うのですが――嫌いな人がいるとその人の嫌なところばかりが見えてくるじゃないですか。(でも)素敵だな、というふうに思っているといいところばかりが見えてくる、そういうサイクルになっていくのかなと。

子どもってどうしてもできていない部分とか未熟な部分がたくさんありますから、親としてはそういったところをなんとかしなければならないと思って、欠けている部分を補おうというふうについつい思ってしまうのですが、それよりも、わが子の素敵だなという部分を素直に認めて言葉も出してあげるということが自然にできるようになっていくと、きっと、自然に次から次へとそういうところが見つかっていくのでしょうね。

<確認クイズ>
(4)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

視線だけで感じてくれるようになる

おおた:
(中略)親がちゃんと見て、素直に親が「ああすごいな」って思っていると、たぶん、言葉にしなくても視線だけで(子どもは)きっと感じてくれますよね?

真下:
ええ。目が語る(ので)…。

おおた:
先ほどのリップサービスとは逆で、ああ、この親はちゃんと見てくれているということが伝わって、それが自信につながって――先生はさっき「たくましさ」とおっしゃいましたが――生きる力につながっていくということは、きっとありますよね。

真下:
要するに見ているということは、ある時点からある時点に変わることがわかるんですね。(5)。だから、ほめるとしたら(5)なんです。その時点の切り取ったところのすごさではなくて「こうだったけどこうなったね」「こんなに成長したね」と。

私は理科の教員なのですが、動物を飼っていると――今、サンショウウオを飼っていますが――もう、日々成長していくんです。昨日とくらべてこれだけになったね。という褒め方かなと。保護者としても教員としても、生徒を見ていて、生徒が進化していく・成長していくその(5)。

<確認クイズ>
(5)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

思春期の子供が反抗して大変な時、向き合い方のコツは…

おおた:
(5)とか進化とか、理科の先生らしいワードが飛び出してきましたが(笑)。そうなんですよね。その時点、その時点のスナップショットのようなものをほめるのではなく、ずっと見ているからこそわかる変化に焦点をあてて、そこを評価してあげるというのか、気づいて認めてということが成長意欲をさらに高めることにもつながるのでしょうし、そういった視点で昭和女子さんでは生徒さんたちと関わっていらっしゃるということですね。ありがとうございます。他には何かございますか?

真下:
教育の世界で仕事をしている幸せは、今申し上げたことなんです。生徒の成長の過程の部分。
ご家庭でも同じだと思います。

おおた:
教育のプロ、先生がたの一番のモチベーション、やりがい、それは…特に中高の時期は…

真下:
大化けしますので。

おおた:
それを目の当たりにすることができるのが先生というお仕事の醍醐味だということだと思うのですが、もちろんそれはご家庭で親御さんにとっても醍醐味でもあって。ついつい親はその責任感ゆえに「なんとかしなければ、この子を」というところに目が行きがちではあるのですけれど、いやいやこれだけ変わっているじゃないかと(5)に着目して「本当にすごいな」と感動してあげているということが、子どもにとっても嬉しいし、親としての喜びでもあるということでしょうか。

校長室訪問、今回は昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校の校長・真下峯子先生にお話をうかがいました。
真下先生ありがとうございました。


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