サレジアン国際学園中学校高等学校 森下学校長・シスターのお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
サレジアン国際学園中学校高等学校(東京都 北区)の学校長・シスターである森下 愛弓先生のお話です。


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

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Topics1:学校紹介

共学化し校名も変更。PBL型授業を全教科で実施

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それではサレジアン国際学園中学校高等学校の学校長でありシスターの、森下 愛弓先生にお話をうかがっていきましょう。森下先生、よろしくお願いします


サレジアン国際学園中学校高等学校
森下 愛弓
学校長・シスター(以下、森下):
よろしくお願いいたします。

おおた:
今回はサレジアン国際学園中高さんのお話をうかがっていきたいと思います。まずどんな場所にあるのか、最寄りの駅やまわりの環境についてお話いただければと思うのですが。

森下:
最寄りの駅は赤羽駅です。そこからとにかくまっすぐ10分ぐらい歩くと「師団(しだん)坂」という心臓破りの…と言われている坂(中略)があって。それを上がってもらって、うちの校門に入ると皆さんほっとされるんですね。割と広々とした校舎内なので。

おおた:
そういったところにあるサレジアン国際学園中高さんということなのですが、先生からご覧になってこの学校はどんな学校、どんなところに特徴があるどんな校風だというふうに言えますでしょうか。

森下:
本校はこの4月に産声をあげたばかりの学校なんです。創立者の「良き市民たれ」の言葉を現代風に読み替えまして、21世紀に活躍できる「世界市民」の育成を目指した学校です。この目標を達成するために、心の教育――これは前身校から受け継いだものなのですが――を基盤としまして、4つの力をつけていきます。それはコミュニケーション力、考える力、数学・科学リテラシー、そして言語活用力です。サレジアン生にはこれらの能力をつけて世界で活躍できる市民になってほしいと願いまして、日々、教育活動にいそしんでおります。

ではどのようにしてこの力をつけていくかと申しますと、PBL型授業というものを全教科で実施することにその秘訣があります。PBL型授業というのは、教員が生徒の好奇心や向上心を起こすような問いをまずは出します。トリガークエスチョンと言われているこの問いには解答がありません。それに対して、どうすればその時の最善を選んで対処できるのかを各自が必死になって考えていくんですね。そこで考え続ける力をつけていきます。

次に、それぞれの考えをもってグループ活動に入ります。その中で論理的に・系統立てて自分の意見を述べていきます。その際、相手の意見を否定するような発言は厳禁です。禁止しております。しっかりと同級生の意見を受け止めていく。最後に、グループ内に一番論理的で納得のいく意見を出した人を選んで、その人がクラス全員の前でプレゼンテーションするという、そういう流れの授業なんです。

生徒たちはこの授業がすごく大好きで、授業が終わって休み時間になっても教室や廊下などで自分の意見を主張し続けています。一度考え始めたらその思考が止まらないという感じを受けます。それに触発されまして、図書室など色々なところで調べたり、iPadを使って統計をとったりして、さらに学習が深まっていっています。

また今年度から本科コース、インターナショナルコースが始まりました。特にインターでは帰国生が多く、教室や廊下などで英語での会話が聞かれまして、インターナショナルスクールとしての環境が作られております。こうした環境の中で世界市民として、世界で活躍できる力をつけて、生徒たちには羽ばたいていってほしいなと思っております。

おおた:
今は学校の名前が変わって、もともとは「星美学園」でしたよね。そういう学校で親しまれていたかと思うのですが、今年から名前を変えてということで、また、その名称を変更したことにともなっての学校としての思いやねらいをお話いただいたと思うのですが、学校の中の雰囲気や生徒さんの様子はどんな感じなのでしょうか。

森下:
すごく活気が出てきたと思います。今まで女子校だったのですが、男女共学になりましたので男子生徒が入ってきまして、すごく元気いっぱいの声が校舎内に響くようになりました。

Topics2:沿革

「愛情なければ信頼なく、信頼なければ教育なし」

おおた:
そういう新しい局面を迎えましたこの学校ですが、もともと星美学園という名前で親しまれてきた歴史も長かったので、そのあたりの含めて今の校風がどのように作られてきたものなのか、創立者のお話や学校の歩みみたいなところを聞いていきたいと思うのですが。

森下
本校の創立者はドン・ボスコと言われているのですが、19世紀に北イタリアのトリノで活躍された方です。産業革命の中で労働者として使われ――小さな大人と言われていたのですが――学校にも行けなかった(人です)。中学生ぐらいの子どもたちを預かって愛情をこめて世話をし、教養をつけさせて良い市民として世の中に送り出していました。彼は進取の気性に富んでいまして、たとえば当時、最新型の印刷機を導入しまして、それを使いこなせるように生徒たちに教えていました。また、創設当初から世界をいつも意識しており、現在、本校の姉妹校は97ヵ国に広がっております。

当時の禁圧教育、つまり、生徒たちを規則でしばりつけてそれを守らない生徒に罰を与えて統制をとっていた教育をドン・ボスコはものすごく嫌っていました。(中略)そして独自の(1)教育法というものを編み出しました。それは「愛情なければ信頼なく、信頼なければ教育なし」というドン・ボスコの言葉に要約されております。ドン・ボスコが教えた子ども達は、自分が一番ドン・ボスコから大切にされていたと本気で思っていたのだそうです。

おおた:
ああ、それぞれが、それぞれにそういうふうに思っているということですね。それはいいですね。

森下:
はい。

おおた:
一人ひとりと結びつきを持っていて それぞれの生徒が「ドン・ボスコは自分のことが一番好きなんだ」というふうに思ってくれる、そういう一対一の関係を皆さんと築いていたということですよね。

森下:
はい。また、ドン・ボスコは生徒たちが自分達で良いことを選んでいけるように指導していました。たとえば、ドン・ボスコが――帽子をかぶっていたのですけれども――(自分の)帽子を机の上に置いておくだけで、大人がいなくても、生徒たちは、100人以上の子どもたちが机に座って静かに自習ができる、そのぐらい信頼をして、子どもたちは何が大切なのか、いいものを自分たちに入れていく・選んでいくということを学んでいたようです。

おおた:
先ほど先生がおっしゃっていた禁圧教育が締め付け・恐怖によって子ども達をコントロールしようとするのに対して、ドン・ボスコは、まず自分が子ども達を信頼することで、そうすると子ども達もドン・ボスコの信頼に応えなければならないと思って、そこに帽子が置いてあるだけでもそこにドン・ボスコの存在を感じながら自分を律することができたというお話ですよね。素晴らしいですね。

森下:
サレジアン国際学園は、この創立者の教育の原点にもう一度立ち返って、生徒たちが自分で考えて、自分で自分の中にある能力を引き出して、その時の最善を選べるように指導をしています。

おおた:
サレジオという名前がつく学校って日本にもいくつかありますよね。同じドン・ボスコに由来していて。男子校の場合は「サレジオ会」という…

森下:
修道会がもとになっていて。うちはサレジアン・シスターズという女子修道会がもとになっています。創立者は同じドン・ボスコです。

おおた:
神奈川にあるサレジオ中高さんであったり、大阪の大阪星光さんもサレジオ会ですよね。
今年から名前が変わったということなのですが、差し支えない範囲でお答えいただければと思うのですが、どういう狙いをもって今回、こういった共学化と名称の変更を行ったのか、おうかがいできればと思うのですが。

森下:
きっかけになりましたのは、イタリアから――イタリアにサレジアン・シスターズの本部があるのですが――総長が日本にやってきたのです。その時に、学校を見て、幼稚園・小学校・短大まで男女共学なのになぜ中高だけが女子校なのか?という疑問を持たれたのです。 世界97カ国に広がるサレジアン・シスターズの学校はほとんどが男女共学ですよ、ドン・ボスコの教育を男子にも伝えなさいとそういうおすすめをいただいて。それがきっかけでした。

おおた:
そういうことなのですね。総長さんは女子修道会ですから女性の方なのですね。

森下:
はい。

おおた:
もともとはドン・ボスコの修道会として男子の修道会と女子の修道会とがあったのですが、今は共学化が進んでいるということなのですね。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics3:保護者様へのアドバイス

まず、子ども達が大事にしているものに興味を持ちましょう

おおた:
ではそういったドン・ボスコの教えを今に伝えるサレジアン国際中高流の教育のお話を今、聞いてきたのですが、その教育のエッセンスを何か一般のご家庭の中でも取り入れるヒントみたいなものをいただければと思うのですがいかがでしょうか。

森下:
わかりました。私はいつも、ご家庭には「とにかく子供たちに考えさせてください」とお願いをしています。答えを大人が出すのではなくて、生徒自身が考えて自分なりに結論を出してそれを周りにきちんと説明ができるようになるために、大人は子どもが考えるためにきっかけになることを発信して欲しいということです。

たとえば、携帯を買ってほしいと子どもが願う時に「なぜそれが欲しいのか」とか「どうして必要なのか」をしっかりと聞いてほしいと思っております。「友達が持っているから」では納得はいかないですよね。ではどうしたら自分の主張を論理的に述べて相手を説得させられるのかをきちんと考えてほしいと思っています。そのためにはやはり大人の質問が大切になってくるのではないでしょうか。

先日、中学生が私のところに来たんですね。自分の「推し」の色が決まっていて、その色をぜひ自分の髪の毛に一部分だけいれたいと言ってきたんです。私は、それが学校に何の必要があるのかという素朴な疑問を持ったので、なぜそれが学校に必要なのかの理由をしっかり考えてプレゼンをしてほしいとお願いしました。担任からは、本人はその後、色々と考えていたという報告がありましたが、本人は説得できないとあきらめたのか、未だに綺麗な黒髪です。

おおた:
それはぜひ(先生のところに)来て欲しいですけれどもね。

森下:
そうなんです。来て欲しいんですけれども。そういう考えさせるきっかけを伝えてもらえたらなとご家庭には伝えております。考える習慣がついてきますとさらに深めていきたいという望みがでてくるんですね。そしてこの考えていく習慣こそがこの、解答のない、不測の事態が多発している21世紀の問題を解決していく力のもとになると考えています。ぜひご家庭でも「なぜ」とか「どうして」と疑問符をなげかけて、お子様たちがしっかりと考えられるように訓練をしてほしいといつも申しております。

おおた:
先生、そこで質問があるのですがいいですか?「なぜ」とか「どうして」という質問って、言い方・問い方・ニュアンスによっては子どもからしてみると攻撃されていると思うことがあるじゃないですか。「なんでそんなものが必要なの?」みたいな言い方だと「ああ、これは否定されるんだな」と。

そこに、ドン・ボスコのようなまず子供に対する信頼があって、本当に(話を)聞くよと、大人のほうがフラットに、子どもが多少変なことを言ってもそれをばかにしないではなから否定しないでちゃんと話を真剣に聞いてあげるというそういう信頼感がないとなかなか答えづらいところが子どもにとってもあるんじゃないのかなと思いまして…そこの上手な、なぜとかどうしてという問いの伝え方のコツみたいなものがあればうかがいたいと思ったのですが。

森下:
ああ、そうですね…。やはり、日頃からの子どもとのかかわりだと思うのですけれども、よく私たちが研修会で言うことは、「まず、子ども達が大事にしているものに興味を持ちなさい」と言われるんですね。それこそ子どもたちの「推し」(であれば)「どんな推しが好きなの?」とかそういう言葉がけをしながら…

おおた:
どういうところが好きなの?とちゃんとそこに興味を示してあげるということがなければ。「そんな、推しとかいっても…」とばかにしてしまうと(子どもは)そこから先、言いたくなくなってしまいますものね。

森下:
はい。まずは興味・関心を持っているということを示して。

おおた:
ありがとうございます。ついつい大人の価値観で「何が面白いの?」というリアクションをとってしまいますものね、意識していないと。それが意外と子どもを傷つけていることもあろうと思うので、そういうことのないように日頃から一緒に、普段から興味を持って、一緒に面白がって子どもの話を聞いていると、どうして?なぜ?と聞いた時にも率直な考えを言ってくれて。それでも足りなければ「もうちょっと考えてみる」ということが自分でできるようになっていくと。素晴らしいですよね。

森下:
本当にそのとおりだと思います。ありがとうございました。

おおた:
ありがとうございます。校長室訪問、今回はサレジアン国際学園中学校高等学校の学校長でありシスターの、森下 愛弓先生にお話をうかがいました。森下先生、ありがとうございました。


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