この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。
配信内容を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。
番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。
今回お届けするのは、
東洋大学京北中学高等学校(東京都 文京区)の校長、星野 純一郎先生のお話です。
番組の聴取は下記より↓↓
【大切なお願い】
※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。
クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。
この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!
※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。
Topics1:学校の概要
文化祭でピーチ姫に扮した校長先生が語る「生徒さんの良さ」
おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは東洋大学京北中学高等学校の校長、星野 純一郎先生にお話をうかがっていきましょう。星野先生、よろしくお願いします。
東洋大学京北中学高等学校
星野 純一郎 校長先生(以下、星野):
こちらこそよろしくお願いいたします。
おおた:
(中略)まず学校の立地について最寄りの駅ですとか、周りの環境ですとかについて教えていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
星野:
最寄り駅は三田線の白山駅になります。およそ6分程度でございます。他に、南北線の本駒込駅、こちらが徒歩10分、あるいは丸ノ内線の茗荷谷駅からですと17分、千代田線の千駄木駅からですと19分ぐらいのところにございます。
私たちは東京大学の科学系研究室訪問と言うのもやっているのですが、ほぼほぼ似たような今申し上げたような距離感覚のところに東京大学もございますので、学校から歩いて行っています。また同じく東京大学の附属施設である小石川植物園、その真ん前にあるのが私どもの学校でございます。
おおた:
そういった立地にある東洋大学京北中高さんなんですけれども、学校の中のご様子最近のご様子はいかがでしょうか。
星野:
ちょっとお恥ずかしい話を…ここだけの話ということで。
実際にはここだけにはならないと思いますけれども(笑)。
おおた:
はい、みんな聞いています(笑)
星野:
ここだけにはならないのですが、ちょっと恥ずかしい話をさせていただきます。9月の23、24日に文化祭を行ったのですが、開会式で実は私、ピーチ姫のコスプレをしました。
おおた:
マリオブラザーズ。
星野:
マリオとルイージに扮したのは、実行委員長や副委員長です。その時、私が開会宣言をするのですが、その開会宣言の言葉も「キノコ王国と京北祭を守るためにクッパと戦うぞ」という形の開会宣言をしました。
おおた:
ピーチ姫が「クッパと戦うぞ!」って言うんですね。
星野:
そう、私が「クッパと戦うぞ」って言うんです。
おおた:
いろいろねじれていて(笑)
状況がちょっと想像しにくいんですけれども(笑)
星野:
そんな状況の中でこれだけでしたら笑い話で、おおたさんにお話しするほどの話でもないのですが、実はこの前の部分で録画撮りをしてそこから当日に移るという、そういう仕掛けになっていたんです。
その時に、実は跳び箱を使って、その跳び箱を――私もこういう歳ですのでちょっと不安定というかうまく登れなかったりする部分もあって――その時に実行委員長・副委員長がその補助をしてくれたり、着替えも手伝ってくれたり…
おおた:
衣装を着る校長先生に、ピーチ姫の衣装を着せるお手伝いをしてくれて。
なかなかシュールな(笑)
星野:
私ちょっとこうやって太ってますので(笑)ちょっと着れなかったりするところもあったんですが、「先生ちょっとここを細めてください」とか言われながら着替えていったんですけれども。
そういう二人の委員長実行委員長たちがそのひとつの典型なのですが、思いやりがあって相手を気遣うことができる。そういう気持ちを強く持っているのが本校の生徒たちだと、私は思っているんです。
おおた:
これもちょっと余計な質問になっちゃうかもしれないんですけども、その、先生がピーチ姫に扮するというアイディアは誰が考えたのでしょうか?
星野:
実行委員長です。「生徒全員から拍手が来ますから」「何日も話題になりますから」とのせられて、出ました。
おおた:
それで生徒さん達の反応はいかがでしたか?
星野:
えー、あの、変な話なんですが…その後、廊下ですれ違うと「ピーチ姫!」と言って手を振ったりする生徒がいます(笑)。
おおた:
大成功じゃないですか(笑)
Topics2:沿革
創立者は著名な哲学者にして「こっくりさん」の研究者?!
おおた:
そういったなんだか愉快で楽しい学校の雰囲気が伝わってきましたけれども、そういった学校がどういった方によって作られて、どういう歴史を経てきたのか、そういった部分もうかがってきたいなと思うのですが、いかがでしょうか?
星野:
その前にひとつだけ、おおたさんに質問させていただきたいのですけれども、こっくりさんってご存知ですか?
おおた:
こっくりさん。小学生の頃やりました。
星野:
実はこのこっくりさんについて何回も実験を行った方がいるんですね。そしてさらにそれを心理学的な医学的な見地から――こっくりさんというのは、その当時信じられていた迷信とか霊とかそういったものではなく、実は人の細かい動き、これが動かしているんだというふうに言ったのが、哲学博士の井上円了という方なんです。これが実は――別名「妖怪博士」とも言われていますけれども――私どもの創立者です。
この円了先生ですが、実はふたつの学校を設立しております。ひとつは、哲学館。ひとつは、京北中学校。それぞれが今の東洋大学、そして京北中学校高等学校というふうに呼び名が変わりましたけれども、それぞれ今発展しているというのが今の状況です。
おおた:
哲学館という、私塾みたいなもの。
星野:
おっしゃる通りです。
おおた:
哲学者である井上先生が、その哲学を学ぶ人たちを集めたというところと、それとは別に京北中学という――当時は旧制中学だと思いますけれども――別々に作っていたということですね。同じ創立者が。なるほど。
星野:
この円了先生は哲学博士でいらっしゃるのですが、基本的な考え方は「諸学の基礎は哲学にあり」というものであります。これは本校もそれから東洋大学もそうなのですが、今の建学の精神として残っている内容です。
この「諸学の基礎は哲学にあり」っていったいどういう意味なのかということなんですけれども、当然哲学ですから、学問として古典をきちっと学んでいくということは当然重要なことなのですが、学祖が目指した哲学は、古典も大事なんだけれども、さらに思想や精神を伝播する術として、他に応用する能力も身に付けなければならない。そういうふうに説かれたのが井上円了博士なんです。
もっと言いますと、対話を経て社会に貢献できる、そういうふうな方向性を考えさせる、行動させる。そういうプログラムでもあると言えると思っています。よりよく生きる。そういうことが私たちのテーマでもあり、哲学でもあると言えます。以上です。
おおた:
なるほど、ありがとうございます。有名な哲学者さんが学祖であるということなんですが、その先生が哲学の先生が真面目に大真面目に「こっくりさん」の現象について研究されたというのは、ちょっとくすっと笑ってしまうところがあって。
星野:
そうですね(笑)
おおた:
さっきのピーチ姫ともちょっと通じるところがあるかなという気がしないでもないですけど(笑)
星野:
ちなみに私も妖怪は大好きです、個人的には(笑)
おおた:
いや、私も妖怪とても興味がありますよ。人間の内面を映し出しているものですよね。
星野:
おっしゃる通りです。
おおた:
哲学者でありながら、妖怪博士でもあったという、ちょっとやっぱりユニークな…
星野:
存在ですね。
おおた:
そうですね。なるほど、ありがとうございます。
Topics3:保護者様へのアドバイス
「哲学は実際上人生を向上するの学なり」の現代的意味は
おおた:
そういった歴史の中で現在につながっている東洋大学京北さんなわけですけれども、その教育のエッセンスを何か一般のご家庭でも取り入れるヒントやアドバイスのようなことをいただければと思うのですが、いかがでしょうか?
星野:
私たちは「本当の教養を身につけた国際人の育成」を目的にしています。
ここで申し上げます。本当の教養と言うのは、たくさん知識を知っているかなど、あれこれはわかっているからというのではなくて、先ほども少し触れたのですけれども、よりよく生きるために新しい状況、未知の状況――たとえばコロナ禍の状況もそうですけれども――そういうふうなものに遭遇しても、その時に適切な行動を選択できる、そういう能力を私たちは本当の教養というふうに呼んでおります。
自らの見識や知識を鼻にかけて「これは知っている」「あれは知っている」というようなことを自慢するのではなく、謙虚な人格者であるということを私たちはこの中の言葉に込めています。
つまり、もっと言うと、「知らないことを知ろうとする」「知らないからこそ知ろうとする」そういう力を持った人こそが、私たちは真の国際人であると考えています。
もう少し、ちょっと具体的に申し上げますと、実は今、5年目の取り組みでやっている内容なのですが、中大連携「未来の科学者育成プロジェクト」というのがあります。これは東洋大学の食環境科学部や生命科学部の先生と一緒に中学3年生が1つのテーマを徹底的に研究していくというプログラムです。
おおた:
高大連携というのはよく聞くのですが、「中大連携」なのですね。
星野:
中大です。中3と大学の先生、院生も加わりますけれども。昨年の夏――1年ぐらい前になりますけれども、立教大学で行われた哲学学会だとか、秋には特許庁で実施している海外向けの知的財産研修なんかもやっているのですが、これもいずれも高校2年生が英語で世界に発信をしています。
また、この春、3月には日本脳外科学会、これは中学3年生が高校1年生になってから発表しているのですけれども、日本脳外科学会でも発表しています。
さらには、ハワイ島での大規模フィールドワークっていうのを、今年秋からこの秋休みの時期に実施したのですけれども。こういうことも含めて今進めています。
今後、私自身今年出張したのですが、オランダ王国立のライデン大学、ここへの授業参加とか、お隣の国ベルギーにあるEU日本政府代表部だとか、あるいはNATOの日本政府代表部、こういったところへのプレゼンだとか、オックスフォード大学の体験授業などにも来年度以降正式にプログラム化していく予定です。
私がここで、皆さんにも、あるいは自分自身にも言える1つの大事な要素としては、私としてはたくさんのこういうふうな体験を用意しているので――もちろん用意されていなくてもそうなんですが――私は、子供たち・生徒にはいろいろなことにチャレンジしてほしいと思っています。
先ほど申し上げた円了先生の「奮闘哲学」という書物の中に「哲学は実際上人生を向上するの学なり」とあります。要するに、一生懸命勉強するのは何のためかというと、みんなのため、役立つためなんだという考え方があるわけですけれども、そういう向上するにはに当たる部分をたくさん私としては用意して、(子どもたちには)とにかく今いるところからもう1歩、歩いてほしい。もう1歩(1)側を自分で選んで体験していて欲しい。そのことが私の考えている内容です。
<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉の組み合わせは何でしょう?
おおた:
ありがとうございます。もう1歩(1)側を体験してほしいというふうに、親の立場として子どもにそれを望む場合に、親としては…具体的にというのはお答えしづらいでしょうけれど、どんなところを?
星野:
たとえばですが、危ないからといって触らせないのではなく、危なくてもその熱さ・温度を知ると言うのでしょうか。私も子供がいるからそういう経験がありますけれども、はんだごてに触っちゃって火傷する(のは怖い体験ですが)、それによってはんだごてがどういう性質でどういう温度になっているかということを体感したり、それこそ電気のコンセントに指を突っ込んだことを私も子どもの頃、ありますから、感電したりするということを経験する。そのことによって痛みとかも知ることができる、そういうふうに私は思っているので、まぁそういうマイナスの体験ではなく、今私が申し上げたプラスの意味で、私たちは学校では用意しているので、そういうことに一つ一つチャレンジしてほしいなというのが私の考えです。
おおた:
そうすると、親の立場で、子どもがもう1歩外側を歩けるようになってもらう。そういうサポートをするとするならば、もう1歩外側を歩きなさいよと口でいうよりは、子どもたちが何か1歩外に踏み出そうとしているときに、親としてつい危ないよって言っちゃいそうになるところをぐっと堪えると言うところが大切だったりするのかもしれませんね。
星野:
おっしゃる通りです。その通りですね。
おおた:
わかりました。ありがとうございました。校長室訪問、今回は東洋大学京北中学高等学校の校長、星野 純一郎先生にお話をうかがいました。星野先生、ありがとうございました。
今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
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