渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 田村校長先生のお話・穴埋め式まとめノート②

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(千葉県千葉市)の校長である田村哲夫先生のお話(全4回)の第2回です。

※その他の回をお読みになる場合は、下記リンクをご利用ください。
第1回 第3回 第4回


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

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Topics1:自調自考の力を伸ばす

新しい学校」を目指した背景

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
(前略)今回は対談の2回目ということで、学校の歴史や歩みについて触れていきたいと思います。そもそも先生がこの渋谷教育学園幕張中学校・高等学校、どんな経緯で創立をされることになったのかというところからうかがっていきたいのですが。

渋谷教育学園幕張中学校・高等学校
田村哲夫
校長(以下、田村):
開校したのは1980年代の初めなんです。

おおた:
高校ができたのが1983年でしたね。

田村:
その時に「新しい学校」という夢があったのですが、その夢のもとになっている社会情勢の変化があるわけです。

80年代というのは、ご存じのように、日本の社会に期待するものが、世界中から色々な形で出てきた時代と重なっています。そういう、世界から期待されている役割に応える必要がある。それができる教育になっているかなと。

特にティーンエイジャー、いわゆる10代――青春時代の教育がそういうものを目指しているのかどうか。つまり「世界を舞台にして活躍できる日本人」という考え方が、ちゃんと教育の場に浸透しているのかどうか。この点で見ると、日本は残念ながら非常に遅れていたと言わざるを得ません。

そこで私は――学校そのものが凝り固まってしまっていましたから――もっと自由にものを考えられる、そういう人間を育てないと、(生徒が)活躍する舞台をグローバルと考えた場合に(中略)(1)」とか「(2)」とかそういうことを伝えることが教育であってはいけない。多様であることが実は非常に大切なんだということを伝えていくことが、教育の現場で最も求められることになるんだろうと考えました。

<確認クイズ>
(1)(2)に当てはまる言葉の組み合わせはどれでしょう?

テスト

「自調自考」を教育の中心の目標として挙げた理由は

おおた:
1980年代に(そのように)考えられた。

田村:
ええ。「多様である」ということを言葉で言うにはどのように言ったらよいだろうかと考えて、3つの言葉を考えたんです。

ひとつが「自調自考」。
自調自考というのは、自分をしっかりと調べて、自分をしっかりと考える。(つまり)自己認識ですね。これが「(2)」だよと。

自分というのは、自分に対峙する者として、周りにいっぱい人がいます。実はそれが全部違う人たちなんですね。それぞれが自分のアイデンティティ――自分が持つ本来の物をそれぞれが持っている。(それが)みんな違う。それを自覚して、自分は自分で学ばないと。

教育というのは、学ぶという言葉が「まねぶ」から生まれたというように人の真似をするんだけれども、真似をするということにとどまってはいけないので。自分というものは――真似の仕方というものは人によってみんな違う。自分がわかることによってそれができるわけです。

自分に自信を持つ。これは「自己肯定感」という言い方もあります。そこから教育が出発する。

これが、「自調自考」という言葉を教育の中心の目標として挙げた理由なんです。

<確認クイズ>
(2)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics2:国際人としての資質を養う

「国際人」を敢えて教育目標に掲げた意味

田村:
そのことを強く進める力が、グローバルな――国際的な感覚ですね。(先ほど言った)色々な違う人がいるというのは、日本だけでなく世界中にいる。これがとても大事です。グローバリズム。

「国際人」という言葉を使ったのは――実は、国際人とは不思議な言葉で、英語にならない言葉なんです。英語では国際人と言えないんですよ。たとえば、(中略)国際金融基金は英語に直すとJapan Fundで「国際」なんて言葉は使っていないんです。

つまり「国際人」というのは、ヨーロッパやアメリカの人達からしてみると「(3)」の人なんです。(3)ではない人は、特殊な人。国際人になれというと(3)の人になれということになるので、言葉にはならないわけです、欧米では。

その状況をよく理解しておく必要がある。(3)の人になろうよ。それが、国際人になることだと。日本語で言えばね。


おおた:
なるほど、そういうことなのですね。

<確認クイズ>
(3)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics3:倫理感を正しく育てる

倫理観とは実は…

田村:
そして3番目が、倫理観。
これは、実は、日本の「(4)」を表しているんですね。

おおた:
そうですか!初めて知りました。
何度もこの(教育目標の)3つの言葉をうかがっていると思うのですが。
そうですか…(4)なんですね。

<確認クイズ>
(4)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

田村:
これはどこで見つけることができるかというと、内村鑑三が書いた「代表的日本人」という本(です)。その中に、中江藤樹という人が代表的な日本人として採り上げられているのですが(その中に書いてあるのは次のような話です)。

馬喰(ばくろう:馬の世話をしている人)のお客である武士が、五百両のお金を忘れて、馬につけたまま降りてしまうんです。そして宿に入って休んで、お金がなくなったことに気づく。馬喰はもう帰ってしまったから、どこにいるのかわからない。これ(五百両)は藩のお金ですから(紛失したら)切腹しなくてはならないので、大騒ぎになります。

そのように騒いでいる最中に、馬喰が五百両を持ってくるんです。「馬にくっついていたので、お届けにあがりました」と言って。武士は感謝感激して、五百両の半分をやると言ったら、(馬喰は)「とんでもない」と。「では百両をやろう」と言ったら(またしても)「とんでもない」と。

何かお礼をしたい。そうでないと気持ちが収まらないと言ったら、「では十五文(帰ってからここに来るまでにかかる通常の代金)をもらいます」と言って、十五文をもらって帰っていったそうです。

その話を聞いた武士の上司が感激して「いったいどうしてそういう人が出てくるのだ」ということで、後日、その馬喰に聞くんです。(すると)「人間というのは正直に、まっとうに生きなければいけない」ということを、中江藤樹という先生がいて、先生が村でそういう教えをしていると。その教えをしっかりと、その近辺の人たちは守っているのだと(馬喰が言ったそうです)。

中江藤樹のことを「近江聖人」とも言います。近江の国で活動した聖人。儒学者ですね、江戸時代の。これは別に中国から学んだのではなく――儒教は中国から学んでいるけれども、人間の生き方を、藤樹先生が自分の考えで作ったものを周りの人に伝えている。それがその馬喰の行動になっているんですね。

それを「高い倫理観」という言葉で私達は伝えようとしていたんです。

Topics4:校長講話

毎年アップデートしています

田村:
(以上が本校の)3つの教育目標です。

おおた:
「自調自考」「国際人」そして「高い倫理観」という3つのキーワードがあって。
そしてそれを田村先生が直々に「校長講話」で生徒さんたちに伝えていて。
私も一度授業に参加させてもらったことがありました。

「校長講話」というと、一般的には”お説教”のようなものをイメージされる方が多いと思うのですが、田村先生の校長講話は、6年間分の「(5)」がきちっとあって。本当に文字通り古今東西のお話が色々な引き出しから出てきて。本当に、エンターテインメントのように聞けて、すごく勉強になる。いつかDVD化してくれないかなって思っているのですが(笑)。


田村:
これ、実は毎年少しずつ変わっているんですよ。ですから、DVDにしてしまうと固定してしまうので…遠慮しているんです。

(その代わり)いつでも公開していますから、ご覧ください。
親御さんが、時々聞きに来ていますよ。

<確認クイズ>
(5)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics5:期待と課題

進学校になったことで感じる難しさ

おおた:
そんな渋谷幕張ですけれども、現在の学校の形に至るまで、どんな変遷があったのでしょうか。

田村:
進学校になってしまったということは、いい意味でも悪い意味でも、なかなか難しいなあと。
教育がそういう方向に志向されてしまうという。

おおた:
なるほど。期待がそっちに偏ってしまったりしますものね。

田村:
教員も生徒も、難しいですね。
だから、そこをなんとかうまく「(6)」いきたいなと思っています。

<確認クイズ>
(6)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

進路を実現するだけにとどまらない学校でいたい

田村:
それは、否定はしませんよ。
希望するところに進学したいという生徒たちの希望を叶えるという意味では、重要な役割ですからね。
だけどそれだけというふうに考えてしまうのは、寂しいじゃないのと。自分の人生にとってね。

おおた:
本当ですよね。それ以外のもっと――「もっと」と言っていいのかわかりませんが――別の次元の、人生における価値があるよということを先生は伝えたいのですものね。

田村:
そうです。違いがある、多様性というのはそういうことなんです。

おおた:
そういうことですよね。これが大学受験のためだけというふうになってしまうと、大学に合格する以外のことが全部「無駄なこと」「悪いこと」になってしまう。そうすると、教育の形が変わってしまいますものね。


田村:
必要でないことだと言われてしまう。それが非常にこわいですね。
進学も実現しなければいけないのだけれども、それにとどまることを許さないという「(7)」があるというような、そういう学校にしたい。生徒がそういうふうに思ってくれる。
進学は大事にするけれども、自分の人生も大事にする。

おおた:
きっと校長講話でそれが伝わっていて、だからこそ進学実績だけではなくて、色々なところで突き抜けた生徒さんの活躍が。

田村:
そうなって欲しいと思っています。

おおた:
なっていると思います。

<確認クイズ>
(7)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

いかがでしたか?
渋谷教育学園幕張中学校・高等学校の田村哲夫校長先生のお話・次回(第3回)配信分のテキストは こちら からご覧いただけます。


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